茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

『日本の藍』

2009年10月01日 | Weblog
若松に鶴文様筒描古布の表紙も
眺めても眺めても見飽きぬ美しさでしたが
この中表紙の藍の葉っぱは
ちょっとお茶に似ていて
あ、緑なんだ・・・
これがどうなって藍になるのか
とても心惹かれました

藍の種はお米の三分の一ほどの大きさ
3月、ツバメの帰還を合図に
種まきが行われ
5月、20㎝ほどに育った苗は
大きな畑に移植され
7月、立葵の花が一番上まで咲き上がると
いよいよ藍刈りです

鎌で刈った藍は
機械で1.5㎝ほどに刻まれ
二日ほど天日干しで乾燥されます
その後大型扇風機で庭一面に吹き飛ばし
葉と茎に分けるそうです
製茶のラインのようにすべて機械化されてなくて
さらにここから先4ヶ月
この砕かれた小さな葉っぱ(葉藍)が
すくもと呼ばれる染料になるまで
水を打ち、切り返し、布団を着せ
大切に発酵を完成させるのです

本書では
この一年間の仕事が
たくさんの写真と共に紹介されており
藍と共に生きる人の想いが丁寧に綴られています

第二次世界大戦中
お腹の足しにならない藍も禁止作物となりましたが
藍は一年草なので
一年でも種を取り損なうと絶滅してしまうのです
「藍を愛していた祖父は危険を承知で畑を守った」
密かに藍を育て続けていた人達がいたから
今日、ジャパンブルーの伝統が続いているのです

身の回りの藍染めの和布たちからも
藍の声が聞こえてくるようです



『日本の藍 伝承と想像』
日本藍染文化協会編
日本放送出版協会
2002年5月発行