東電という会社にはほとほとあきれてしまいます。 世界史に残るような原発事故を起こしておきながら当事者意識というものがあるのでしょうか。
記事は昨年9月(2014年9月3日)に原発作業員がいわき地裁に「危険手当が支払われていない」として東電とその下請け会社を訴える裁判を起こしたのですが、その第一回の口頭弁論に関するものです。
東電の見解は「東電は発注者だから下請け会社の賃金の支払いに対する責任はない。 責任があるという法的根拠を示せ。」というものです。
東電は大量の汚染水漏れに悩まされ肝心の廃炉作業になかなか手が回らず、やっとほぼ無傷で残った4号機の使用済み燃料プールから燃料の運び出しを終えただけでいまだに見通しがたたない状況の中で、当初3000名規模だった作業員が今や8000名規模まで増えています。 一方で劣悪な労働条件や見通しのない場当たり的な作業に嫌気がさしたベテランの作業員は次々と職場を離れています。
人集めに困った東電は労働賃金の10、000円の上乗せを社長自ら報道発表したほどです。 しかし、危険手当といった支払い方ではなく労務費の増額という形で下請け企業に支払われるため、使い方は受注業者に任されているという態度なのです。
一方、除染作業に関して環境省は「危険手当」を明確にして、受注企業に末端の作業員に支払うことを義務付けています。 このことは報道などでも明らかにされて一般に認知されているため受注会社はごまかせません。
原発事故による放射能の放出はいまだにつづいています。 ガスで1日あたり2.4億Bq、さらに放出が続いている汚染水は膨大で、セシウム137:70億Bq/日、ストロンチウム90:100億Bq/日、トリチウム:1200億Bq/日が日々海に放出されています。 原子力規制委員会はトリチウムはどうせ取れないんだから、貯蔵タンクに保管している汚染水もアルプスでセシウムやストロンチウムなどを取ったら海に流してしまえと乱暴なことを言っていますが、このトリチウムの量と言ったら830兆Bqという膨大な量です。 この放射性物質の放出を1日でも早く止めなければなりません。
この困難な大事業を成功させるための第一条件が使命感を持った腕利きの作業員をどれだけ集めることができるか、作業員が働き甲斐、やりがいを実感し、つらい作業に見合った十分な賃金と、安定した生活が保障されることです。 廃炉事業は今後100年かかる事業です。 8000名を超える労働者を投入しながらの大事業です。 そこを統括する東電がここから逃げてどうするのでしょう。 今のように問題が起こるたびに問題の本質をはぐらかし本題から逃げていては会社の存在価値はありません。 廃炉事業も放射性廃棄物の保管・貯蔵の事業も投げ出されてはかないません。
2月6日にいわき市で「フクシマ原発労働者相談センター」が開設されました。
原発作業員の労働問題の相談・支援にあたるというものです。 原発にはたらく労働者を社会的にサポートできるこのような団体が今後増え、みんなでささえることが大切でしょう。
私たちの安全を支えているのは彼らなのですから。