無精髭

無精者の日記です

中国に先を越された原発防衛-集団的自衛権に思う

2014-06-27 22:31:09 | 日記

「中国国家核応急弁公室の副主任で、国防科技工業局応急安全司の姚斌司長は、原発事故に備えて300人規模の緊急救援ナショナルチームを結成する計画を明らかにした。5月12日、一財網が伝えた。

ナショナルチームは大規模な原発事故が発生した場合、事故現場を封鎖し、危険にさらされているスタッフを救護するなどして、影響を最小限に食い止めることを主要な任務とする。チームは技術支援、応急修理、放射線観測と防護、除染、医療救援などの専門家で構成し、最新機器を装備する計画だ。また、訓練のための基地も建設するという。

姚司長は「事故の規模が大きく、省など地方では対応しきれないときや影響の広がりが懸念されるとき、ナショナルチームが出動する」と説明した。

中国の原発は50年の歴史があり、現在は19基が稼働しているほか、29基が建設中。多くの専門家が、福島の原発事故以降、中国政府が事故対応を重視するようになったと指摘している。」

 これは中国メディアが発表したものですが、なぜか日本では検討すらされているのかさえ分かりません。 報道されているのは原発輸出や再稼働の話ばかりです。 

 福島第一原発事故の原因について前回のブログに書きましたが、あそこまで事故を大きくした原因に、メルトダウンに至るような大事故を想定していなかったということがあります。 原発のオペレーターはブラックアウト(全電源喪失)時の訓練を全く受けておらず、圧力容器の爆発を防ぐための最後の手段であるベントを実施するために暗闇の中で懐中電灯で配管図面とにらめっこしながら解放弁の場所を探さなければならなかったのです。  炉心水位がどんどん下がってメルトダウンの危機が迫っているときにです。  

 「ビデオは語る」 東京新聞原発取材班 副題「福島原発 緊迫の3日間」 は東電が当初公開を拒否していた吉田所長率いる福島第一の事故現場と東電本店を結ぶテレビ電話のビデオを書き起こして出版しました。  この内容を読むと本当に泣きたくなります。  冷却水を喪失して消防車で給水していて、そのガソリンがないというのに現場と本店の社員とであちこち手配しているのですが電話もつながらず、警察にかけてもだめ、などとやっているのです。  全電源喪失で原子炉の水位や圧力を見るためのメータや弁の開閉のための電源を確保するため車のバッテリーを外してきて使ったりしているときにも、外部からのバッテリーの手配に運転手が避難指定地区に入れないからどこで受け渡ししたらよいかとか、入ってくる人への放射線教育をどうするとかを事故対応の第一線である現場の社員や吉田所長が本社社員とやり取りしているのですからあきれてしまいます。  東北の大部分が放射能汚染で廃墟にならんとしている重大事故のさなかであれば自衛隊のヘリで運ぶとか国を挙げた対応ができたはずでした。  ところが現実には自衛隊の救援隊にさえ放射線防護の教育を現場でしなければならないようなありさまでした。  驚くべきことです。  官邸さえ情報が届かず、当時の管総理が東電本社に怒鳴り込んだ話はマスコミでも報道されましたが、国の命運さえ左右される事態のさなか事故現場はなすすべなく右往左往せざるを得ない情けない現実が赤裸々につづられています。

 驚くべきことにこの状況は今でも変わりません。 再稼働の条件にはこの非常事態の対策は含まれていないのです。  審査を通った原発はどんなことがあっても重大事故は起こさないという前提でことが進められているのです。  これでは事故以前となんら変わりはありません。 新潟県知事が主張しているように現在のままでは自治体がいくら立派な避難計画を策定しても机上の空論です。  なぜなら、福島第一原発事故時、避難地域に入ってくれる運転手が確保できなかったからです。  運転手本人が了解しても会社は社員の安全が確保できないとして拒否したのです。 当然のことです。  国が本気で住民の命を守るためには、非常時に現地に派遣できる人材を法律で決めておかねばなりません。  事故対応のための物資運搬も同様です。  新潟県知事は国が責任をもって法律をつくり、輸送手段の確保や避難を現実的に実施するための様々な法整備をしないかぎり自治体は有効な避難計画の策定は不可能と指摘しているのです。  

 集団的自衛権の閣議決定が目前に迫っていますが、国民の生命・財産の確保にこれほど無関心な安倍内閣が決める集団的自衛権の本当の目的はなんなのでしょうか。 取ってつけたような漫画で国民をだますことは許せません。