Pa'Lante!(パランテ!)

ジャズじゃ、ロックじゃ、サルサじゃ、ソウルじゃ、ファンクじゃ、歌謡曲じゃ、ジャージャー。

クラーク=ボラーンとエレガンスと血の匂い。

2005-12-11 10:26:58 | Jazz / Cross Over
ケニー・クラーク=フランシー・ボラーン・ビッグ・バンド(Kenny Clarke - Francy Boland Big Band)

「Three Latin Adventures」

再度とりあげます。

どうやら、このアルバムは「Fellini 712」(1968)と「Latin Kaleidoscope」(1969)の2 in 1CDですね。
多分、今は単品で売ってると思います。

そんで、細々と7~8年聴き続けて、最近、ようやく分かったんですが、これは、相当、血腥いんだな、きっと。

洗練された文化は、相当に物騒で、野蛮な暴力の上に成り立っている。
まぁ、そんな印象のサウンドです。
ここで聴けるビッグバンド・サウンドは相当に洗練されていて、良く練られたもの。普通に聴き流していても、知的な「エレガンス」は感じられると思います。まぁ、ビッグバンド・ジャズですからね、エレガンス、と言っても表層に存在する感じじゃなくって、内在するって感じですけど。
で、そのようにエレガンスが感じられる音楽な訳ですが、何か「洗練」「優雅」という魅惑だけじゃないのよ。美しいけど、どこか怖い。そんな感じの音。
そういえば「エレガンス」という様式は、「野蛮」を隠す為の装置でもあるなぁ、とか思う訳です。つまり、背後には「流血」だなと。
(コノ人達が実はマフィアだ、とか言ってるんじゃないですよ。・・・そうかもしれないけど。)

サウンドとしては、ラテン・パーカションやドラムによる、割と呪術的な(おぉ、スゲェ言葉だ)空間作りがあり、そこに、分厚いビロードの如きリード・セクションが覆い被さり、時折、突き抜けるブラスが咆哮する、という印象。でも、トランペットより、トロンボーンが中心のブラスですね。(という事で明るい音ではないです。)

しかし、実に見事な音楽だと思います。
直接、肉体的・生理的に訴えかけて来る部分(要するに娯楽的でダンス・ミュージック的要素)と、ノーミソ経由で訴えてくる部分(ゲージュツ的って言うんですか)が絶妙に両方あって、飽きない。
「カッコいい」という割とウスッペラなコトバで褒めてもいいし、何か難しい偉そうな言葉で褒めても、どっちもありな、そういう音楽ですね。
要は、どっちの聴き方もできるって事。

お勧めです。
コメント
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