買ってみてひさびさに、心底びっくりしました。
も の す ご い 完成度の高さです。
ぜんたいのシルエット、たたずまいから、
髪の毛一本ぶんの、細部に至るまで。
柴田文江さんのデザインが、誰が見ても「感じがいい」のは、
「日本のデザイン」だからではないか とおもっています。
「かっこいいデザイン」「とんがったデザイン」「本質を突いたデザイン」は、
「外国のデザイン」というイメージがあります。
あるいは、「外国っぽいデザイン」。
日本車より外車のほうが、「かっこいい」と言われる。
ちょっといいデザインの日本車は、
「日本車離れしたデザイン」とホメられる。
そして、柴田文江さんのデザインは、
「いわゆる日本のプロダクト」の手法でできています。
日本のインハウスデザイナーが、
長い時間をかけて熟成してきた、構成やテイストを、巧みに活かしている。
完成度はすごく高いのだけれど、
全体の雰囲気やディティールは「見慣れた雰囲気」なので、
受け入れやすく、わかりやすい。
そしてここ大事なところですが、
「使いやすく、品質が高く、高価ではない」。
いやぁ、才能ってあるもんですね。
現代のインハウスデザインの、
光も闇も、すべて飲み込んで「消化」して、
なおかつここまで「昇華」させることができる人。
この体温計は、
「デザイン小物」ではなく、
「アノニマス」でもなく、
「スーパーノーマル」でもない。
ただただ、 単なる 「いい体温計」 です。
やっぱひと味違うね、とか…
プラスマイナスゼロ、メタフィスなんかも、
よく知らない人が見たら、外国製品に見える。とか…
べつに、外国、あるいは外国風のデザインが優れていて、
日本のがダメ ということはないんですが、
そういう図式は「地元」だからかな、とおもいます。
ナポレオンも、家ではただのおっさんだった。
日本では、日本製のモノ=日本デザインが、たくさん流通するので、
レベルの高いものも低いものも、ぜんぶ見えてしまう。
いいものもあるけど、だめなものも多いので、全体的には印象悪い。
かたや、外からのデザインは、
きれいな上澄みのところしか入ってこないので、
体裁のいい、キレイなところしか見えてこない。
家で「ぷぅ」とオナラしてるところは、想像がつかない。
ま、それはともかく、日本と、たとえば欧州のデザインに、
テイストの違い、雰囲気の違いがあるのは、間違いないです。