散歩道・４２～一本杉公園

　多摩センター駅から南に2キロほど行ったところに　“一本杉公園”　がある。この公園の北側にある一本杉球場は高校野球地区予選などに使われる整備された野球場。実は昭和60年にここで、あの名投手江夏豊さんの引退式が行われている。昭和59年に現役引退した江夏さんには、所属したどの球団からも引退セレモニーが行われず、喧嘩別れのような形で球界を去ることになった。そこで雑誌社や名球会有志などが中心となって、江夏さんには縁もゆかりも無い東京のはずれのこの市民球場が選ばれ、引退式が行われることになった。当日は収容人数1万5千人をはるかに超える2万人が駆けつけたが、球団主催ではなかったため　“たった一人の引退式”　と呼ばれることになったようだ。いかにも江夏さんらしい。
　さて球場のレフト場外付近の小高い丘にスダジイの巨木があり、これは昭和49年に多摩市天然記念物に指定されている。幹囲は3.6メートル、高さ16メートル、枝張り11メートルで、離れて見ると綺麗な半球状になっている。このスダジイも江夏さんの引退式の静かに見ていたのだろう。ここは南大沢ではないが、走って来られる距離なので　“南大沢77景”　のひとつとしたい。

アキノノゲシ・１～花

　淡いクリーム色が魅力的な「アキノノゲシ（秋の野罌粟）」。キク科アキノノゲシ属の一年草もしくは二年草で、大きくなると背丈は1.5メートルを超える。日当たりの良い野原や荒れ地で、風に揺られている姿がいかにも秋らしい。