犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ソウルのタクシー事情~合乗

2006-10-17 06:44:33 | 韓国雑学
 日本のタクシーと韓国のタクシーの違いはいろいろありますが,一つは自動ドアでないこと。
 まあ,自動ドアは日本以外にめったにないから,日本のほうが特殊なのかもしれません。一時,自動ドアのある模範タクシーを何台か見かけましたが,最近はほとんど見ません。お客さんのほうが慣れていないから,かえって危ないのかも。

 違いのもう一つは,一人でタクシーに乗るときの位置。最近では日本同様,後部座席に乗る場合が多いのですが,以前は,一人なのにもかかわらず助手席に乗る人が多かった。

 その理由は合乗(ハプスン)。相乗りです。

 韓国の景気がよく,タクシーが売り手市場だったとき,方向の同じお客さんをいっしょに乗せることがありました。今でも,夜にはときどきあります。
 後部座席に乗ると,合乗したときに,先に降りにくい。助手席に乗ったほうが便利なわけです。

 相乗りと言っても,料金を割り勘するわけでなく,正規料金をめいめいからとります。運転手丸儲けの制度です。でも客のほうも空車が来るまで延々と待つよりましだということで文句も言わず乗ります。

 タクシーは景気のバロメーターですね。

 10年前,為替危機が来る前の韓国は景気がよかった。それで,夜のタクシーが非常につかまえづらかった。

 冬のことでしたが,氷点下の寒空でタクシーがつかまらず,死にそうになったことがある。韓国の本格的な冬を迎えたのが初めてで,防寒装備が甘かった。ソウルの冬の必需品であるマフラーも手袋もなく,薄手のバーバリーコートしか着ていませんでした。
 夜中の12時半,すでに地下鉄もなく,繁華街の道路沿いは客同士でタクシー争奪戦が起こっていました。

 私は比較的近場で方向も悪い。運転手は遠いところに行く客を選んで,乗車拒否。ちっとも止まってくれません。

 韓国人は大声で行き先を叫んで止めようとする。当然合乗です。私も真似をして,遠慮がちに「トンブイーチョンドン(当時私が住んでいた街)」を叫びました,声が小さかったか,発音が悪かったか,寒空に虚しくこだまするのみ。
 夜はしんしんと冷え込んでいく。氷点下10度以下だったかもしれません。このまま倒れたら,ほんとに死んでしまう。

 40分ぐらいそうしていたでしょうか,幼時からの思い出が頭の中を走馬灯のようにめぐり始めたとき,やっと一台の模範タクシーをつかまえることができました。

 その後,二本指を突きだして「二倍!」と叫ぶ裏技とか,万ウォン札を二枚ふりかざすという荒技を身につけ,好景気のソウルの夜でも何とかタクシーを拾えるようになりました。

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4 コメント

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 (犬鍋)
2006-10-20 07:37:29
バンコクに行って嬉しいのは、昔の車が見られること。私が学生時代に乗っていたTE71カローラなんかが今も健在で走っているのを見るとうれしくなっちゃいます。



その点韓国はつまらない。

ポニーなんてぜんぜんないし、エクセルも。



耐久性に難があるんでしょうか。



古い車に乗り続けるのは、単に貧乏臭いとしか思われないし。
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20年近く前のタクシーは (hgn)
2006-10-19 22:11:57
まだまだ,現代ポニーが主力でした。緑色でしたっけ?88の直後,90年前後の話です。10年ほど前,久しぶりにソウルに行ったら,タクシーがセダンに変わって大きくなっていたのが印象的でした。

ガラスが割れていたり,床に穴……,というのは,生憎(笑)韓国では遭遇しませんでした。その代わり,バンコクでは,これでもかというくらい乗りましたね,そう言うタクシー。

バンコクの話ですが,あと壊れているところと言えば,それは速度計。これは動いてる方が珍しいくらいでしたね。最近は時々しか見ませんが。

フロントガラスにピーッとヒビが入っているのは,今でも珍しくありません。アレ,日本のと材質が違いますよね。日本のは,あそこまでいったら粉々になっていると思いますから。
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20年近く前 (犬鍋)
2006-10-18 07:58:41
88(パルパル)の前の韓国はぜんぜん違った、とはよく先輩駐在員から聞きます。



タクシーもガラスが割れたままだったり、床に穴があいてたり……。



またいろいろご紹介ください。



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ハプスン (hgn)
2006-10-17 21:09:28
もう20年近く前のことです。光明市のアパートに居候したことがありました。

夜になると,バスも少なくなるので,ハプスンのタクシーを拾うしか帰る手段がなくなります。しかし,タクシーはなかなか市外へは出てくれないので,正直に「クワンミョン!」と言っても,なかなか止まってくれないんですね。

で,タクシーが来ると「ケボン!」「ケボン!」「ケボン!」と怒鳴るのです(開峰はソウル市の一番外れです)。で,大抵は最後の3人目だか4人目だかの客になって家路に就きます。で,1人降り,2人降り……

結局最後の1人になって,開峰のバスターミナルを過ぎ,目的のアパートが近づいてくると,「なんだ光明か」とか「市外じゃないか」と何度言われたことか……

今となっては,あのハプスンも懐かしい思い出です。さすがのバンコクでも,相乗りは見たことがなかったです。
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