来日して、さまざまな場所で講演をしたり、かつての旧交を温めたりしていたアウンサンスーチー女史。
そのローマ字転写による表記は、
Aung San Suu Kyi
三カ所に分かち書きがあるのは、音節単位で便宜上区切っているだけで、姓、名、ミドルネームなどを区別しているわけではありません。
ミャンマーでは、モンゴルなどと同様に、姓とか名字という概念がなく、人々はただ一つの名前をもっている。したがって、アウンサンスーチーも全体で「名」であって、アウンサンが姓ではないということです。
ただ、お父さんの名前がアウンサンなのであたかもアウンサンが姓、スーチーが名のように見えるのですが、たんに自分の名前の中に父の名前を取り入れたというだけのようです。
ところで、アウンサンスーチーの最後の「チー」が、ローマ字転写では「Kyi」。
ミャンマー文字の音素を一つ一つ忠実に転写すると、たしかにKyiになるのですが、音はCi(チー)になる。その結果、ローマ字から音を再現しようとするとアウンサンスーキーになりがちです。
ミャンマー文字をローマ字化するときに、一音素一文字で対応させるのではなく、発音をローマ字で拾うようにすれば、こうしたことは避けられます。しかしそうすると今度は、ローマ字からミャンマー文字を再現することができなくなるので、どっちもどっちなのでしょう。
昔、キンポ空港のキンポ(金浦)はKimpoと書いていました。
しかし、ある時期にハングルのローマ字転写法が定められ、ハングルのキョックは常に「g」で写すことになったため、すべての表示がGimpoに改められました。
ところが、キョックは、語中ではg音ですが、語頭ではk音なので、金浦のような場合、実際の発音と表記が合わなくなる。さらに言えば、Gimpoはギンポよりはジンポと読みたくなってしまう。
ミャンマー文字とハングルは、似たような問題を抱えているようです。
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興味深くもあり、どーでもよくもあり(笑)
パスポートを作るとき、好き勝手なローマ字表記を申告していいようです。
朴さんはPark、李さんはLeeと書く人が多いですが、李はYiとかIも見たことがあります。
ヤンさんはYoungを好む場合が多いようですね。
金さんでGimと書く例は出会ったことがありません。地名のような強制力はないようです。
むしろ有気・無気の区別ができないローマ字の限界のほうが問題かと。
サンスクリットのローマ字綴りをみてるとh文字が入ると有気なのかしらん?
李さんのハングル綴りとか
タイ人もキョは苦手で、トキャオというような不思議な発音をします。
韓国人は長音の概念がないので、トキョになりがち。