何ともはやの一週間でした。
火曜日の朝、春の陽気と満開を告げる天気予報を見ながら、
夜にお花見をしようと彼女と別れました。
しかし、実現せず。ストップをかけたのは、目に見えない悪者でした。
その夜から翌日にかけて、久々に天井を眺める自分がいました。
子供の頃住んでいた家は、天井が薄い木板を貼り合わせた作りになっていて、
一枚一枚に縦切りの年輪が模様を描いています。
今は実家も立て替えていますから、はっきりどんな模様だったかを思い出すすべはないのですが、
うなされる感じ、というのが記憶にひっかった模様の思い出です。
そういえば、『スケバン刑事』という和田慎二先生の漫画で、
河川敷で最期を迎えた山深い田舎の少女のダイイングメッセージが「大きな鬼」と言ってたような
記憶があります。
息絶え絶えにみえ上げた渓谷の荒々しい岩壁が、鬼の顔に見えたというのです。
そんな感じの、天井模様。
しかしマンションのシンプルな壁紙は、見上げていても何ら想像する世界は広がりません。
ただ、今週から始まった連続テレビ小説「花子とアン」で、主人公の花ちゃんが
目をつぶれば鳥のように舞い上がり空から自分の家を眺めてみたり、
熱にうなされれば、魔神に変身した牧師さまから説教されたりするがごとく、
天井を見る私にも、小学生の同級生と彼女と会社の同僚が一緒に話しているシーンが見え、
自由に体が跳ねた頃のランニング感覚が蘇って高校のグラウンドを走っている実感できるのでした。
この話、どこに行き着くのやらと危惧されているかもしれませんが、
ご心配ありがとうございます。
少し元気になりつつあります、って、そんな心配はしてませんか。
時制はもどる火曜日の昼、ランチに行く直前に背中を悪寒が走り食欲が失われました。
こりゃ早退しようと思うほどのモチベーションダウンで、仕事を早く終えるために
食事をせずにパソコンを叩き続けて役4時間。
汗かいてました。薬箱にある、今時珍しい水銀体温計をクルクル回して温度を下げる手間も
もどかしく、とはいえ人前で測るわけにもいかず、トイレの個室に入って脇に挟むと
38度5分あります。
すぐに病院、お医者さんもふんふんという顔で、鼻の奥に棒を突っ込んで粘膜検査、
20分で出た結果がインフルエンザ陽性(B型)でした。
ウィルス様、体内滞在中、というわけです。
一人で医者や病院に出かけるようになって以降しか確信はありませんが、
インフルエンザだと言われたのは初めてです。
これまでも急な悪寒で同じ検査を受けたこともありましたが、いつも陰性でした。
つまり、私もついにインフルエンザー、ってそのときはふざけていられません。
職場のみんなに移ってないかを心配しつつ、数日の戦線離脱は確実なので業務の引継ぎを
慌ただしくこなし、家に帰ったあとにやっていたのが、
「天井眺めと想像散歩」なんですね。
話をもう一度子供の頃に戻すと、天井の板目が鬼の目のように見えたのは、
やはり熱にうなされて布団に寝ている時でした。
わたし、けっこう体がヤワな子で、しょっちゅうダウンしていた記憶があります。
38度、39度はしばしばで、朦朧とする頭で、板目の鬼は笑ったり、凄んだりします。
しかも、急に宇宙の果てまで遠ざかる様子を見せたかと思えば、
大音声で目前に迫ってきたり。記憶をデフォルメして書いているのですが、
もし目の前で自分の子供がそんなことでうなされてたら、きっと親はハラハラしてたんだろうと
今なら想像できます。
ただ、そうだなあ。
体が熱くなって、だるくて動けないので布団にいるしかなくて、
頭もひどい状態なのに、それほど嫌ではなかった。
次に風邪をひいたとき、”ああ、きっとまたあの鬼に会える”と考えたりしていました。
耐える自分が愛おしかったのか、小さな身にはこの上ない超常体験に心が震えたのか、
説明はうまくできません。
今回のインフルエンザでは最高39度2分まで上昇しまして、
そのときはけっこう頭が揺らいで、子供の頃の病気を思い出していました。
花に酔いしれる宵が、目に見えぬウイルス様によってブレーキをかけれれましたが、
久々に想像の翼を広げる室内のお楽しみを頂いています。
あ、心配かけて、お花見弁当まで作ってくれた彼女には、
頭を床に擦り付けて申し訳ないというしかない、という大人の気持ちも持ってますよ(笑)
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