國枝すみれ『アメリカ分断の淵をゆく――悩める大国・めげないアメリカ人』毎日新聞出版,2022年

著者は毎日新聞社の記者。
本書14ページの「本書のおもな舞台」の地図が好い。本書は全10章立て。米国内のさまざまな州(12州)のさまざまな町(18市町、郡)には、いろいろな生活、活動や主張をしている人が居ることがわかる。米国内の多様性と、考え方が対立している人々も垣間見ることができる。読みやすくおもしろい。かつ内容は濃い。

いまの米国は種々の社会問題を抱えている。麻薬・ドラッグ(第1章)、人種差別(第2章)、銃犯罪(第5章)、性犯罪(第7章)、移民・難民(第9章)。過去から引き続く社会問題として、原爆報道(第6章)、核兵器開発実験(第8章)があり、地球規模の問題として、尊厳死(第3章)、温暖化(第4章)もある。まとめの章に相当する第10章のキーワードは、Black Lives Matter(BLM)・ドナルドトランプ・情報公開・突撃取材・マネーカウ・our unborn child・「Mからの脱出」・赤から青に鞍替えした州(アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ジョージア、ペンシルベニア)・「YOU'RE FIRED」・ファクトチェック・愛国心・多民族多文化が融合した社会と分離した社会の2つの異なる文化が衝突・プロライフ派とプロチョイス派・(オハイオ州)アシュランドのような小さな田舎町。
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