福井雄三『開戦と終戦をアメリカに発した男――戦時外交官 加瀬俊一秘録』毎日ワンズ,2020年4月

副題で、さきの大戦の際、宣戦布告文書と降伏文書の双方にかかわった中堅外交官いたことを知った。彼は、戦中、著名な外務省幹部、外務大臣に仕えた。敗戦後、東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリ甲板での降伏文書調印式に外務省からの随員として加わっていた。表紙カバーはそのときの写真。日本が国連加盟したとき(1956年)の国連大使でもあった加瀬俊一。評伝として、かつ、戦中戦後の日本外交を臨場感をもって書かれていておもしろい。収穫としては、たとえば、国際連盟を脱退したときの外務大臣、松岡洋右の印象が変わった。歴史は多面的で、記述により歴史上の人物の見方が変わる例。著者は、1953年生まれの、大学の先生で、専攻は国際政治、日本近現代史の由。
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