相場英雄『不発弾』新潮文庫,2018年

捜査の動機は、三田電機の粉飾を追及できないでいるのはおかしい、という”庶民感覚”。まことに同感。それはともかく、主人公の金融コンサルタント、古賀遼の生き方は職人気質でかつさわやか”。いっぽうキャリア警察官、小堀秀明のほうがある意味で薄汚れているとも思える。庶民感覚と国の中枢人との倫理感覚のずれが、おもしろい。本書にも書かれているとおり、仕組まれたデリバティブ取引、とくにオプション取引には”引き金”がある。その引き金が”不発弾”を破裂させることになるどうか、そこが”妙”。しかしながら、爆弾を意図して隠したわけなのだから、”騙された””はめられた”と騒ぐほうにも問題あり。某国の国家財政も似たようなもの。放漫財政による”亡国”にならないことを祈る。解説は、磯山友幸氏(経済ジャーナリスト)。
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