このレコードのジャケ写を探すのに、ちょっと時間がかかった。
1975年にキングレコードからリリースされた、The Carpentersの2枚組セルフ・タイトル・アルバム。
GEMシリーズというものらしく、編集盤である。10年以上前に中古レコード店で手に入れたもので、全24曲、名曲中の名曲が揃っている。
彼らの曲は音楽の教科書に載り、Carpentersの曲とは知らずに歌っている小さな子供たちもたくさんいる。
好き嫌いは別として(・・・というより、嫌いな人なんているだろうか?)、洋楽を聴かない人ですら彼らの曲を全く知らないという人はいないだろう。
それほどまでにポピュラーで偉大で、親しまれ続けている。
兄RichardとJohn Bettisコンビのソング・ライティングの才能、Richardの巧みなアレンジ、そして妹Karenの洗練されたヴォーカル。
アップ・テンポな曲でもどこか寂しげな憂いが漂うKarenのVo.は、Carpentersの透き通るような美しい世界をより一層素晴らしいものにしている。
70年代当時、シングル 「Close To You」 「We've Only Just Begun」 が立て続けにヒットするも、アメリカのミュージック・シーンでは過小評価しかされていなかった。
しかし、そんな受け取られ方とはウラハラに、彼らの音楽はどんどんクウォリティが高まり、後にヒット曲を集めた73年にリリースした 『The Singles』 をきっかけに、評論家筋が彼らを見直し始める。
彼らの音楽の特徴のひとつに、数々の名曲のカヴァーがある。Carpentersで聴いたあとで、原曲を知るということも少なくないだろう。
私も、「A Song For You」 「Superstar」 「The Masquerade」 と言ったLeon Rusellの名曲は、Carpentersが先だった。
The Beatlesの 「Ticket To Ride」 「Help」 や、The Marvelettesの 「Please Mr.Postman」、The Eaglesの 「Desperado」、Neil Sedakaの 「Solitaire」 なども代表曲のひとつだ。
そしてもうひとつ忘れてはならないのが、Burt Bacharachの手による素晴らしい曲の数々。
Bacharachの珠玉のポップ・ナンバーが、Karenの切なく哀しげな声に、見事なまでに合致している。
Karenの英語の発音は、とても綺麗でわかり易く、英語のヒアリングにも最適だと中学の英語の先生に言われたことがある。
親しみやすいメロディと、子供の耳にもクリアに聴こえるその綺麗な発音のKarenのVo.が、今も人々の心の奥まで浸透し、これほどまでに多くの人に親しまれている理由のひとつとも言えるだろう。
大人から子供まで、世界中の誰からも愛され口ずさまれている数々の曲。これからもずっと受け継がれていくことだろう。
数多くの素晴らしい曲の中で、いちばん好きな曲を挙げるとしたら、私は 「Rainy Days And Mondays」 を選ぶ。