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music, trip, cinema, art, and so on.

ポップス・クラシックス その四

2005-12-15 | music : basics


このレコードのジャケ写を探すのに、ちょっと時間がかかった。
1975年にキングレコードからリリースされた、The Carpentersの2枚組セルフ・タイトル・アルバム。
GEMシリーズというものらしく、編集盤である。10年以上前に中古レコード店で手に入れたもので、全24曲、名曲中の名曲が揃っている。
彼らの曲は音楽の教科書に載り、Carpentersの曲とは知らずに歌っている小さな子供たちもたくさんいる。
好き嫌いは別として(・・・というより、嫌いな人なんているだろうか?)、洋楽を聴かない人ですら彼らの曲を全く知らないという人はいないだろう。
それほどまでにポピュラーで偉大で、親しまれ続けている。
兄RichardとJohn Bettisコンビのソング・ライティングの才能、Richardの巧みなアレンジ、そして妹Karenの洗練されたヴォーカル。
アップ・テンポな曲でもどこか寂しげな憂いが漂うKarenのVo.は、Carpentersの透き通るような美しい世界をより一層素晴らしいものにしている。
70年代当時、シングル 「Close To You」 「We've Only Just Begun」 が立て続けにヒットするも、アメリカのミュージック・シーンでは過小評価しかされていなかった。
しかし、そんな受け取られ方とはウラハラに、彼らの音楽はどんどんクウォリティが高まり、後にヒット曲を集めた73年にリリースした 『The Singles』 をきっかけに、評論家筋が彼らを見直し始める。
彼らの音楽の特徴のひとつに、数々の名曲のカヴァーがある。Carpentersで聴いたあとで、原曲を知るということも少なくないだろう。
私も、「A Song For You」 「Superstar」 「The Masquerade」 と言ったLeon Rusellの名曲は、Carpentersが先だった。
The Beatlesの 「Ticket To Ride」 「Help」 や、The Marvelettesの 「Please Mr.Postman」、The Eaglesの 「Desperado」、Neil Sedakaの 「Solitaire」 なども代表曲のひとつだ。
そしてもうひとつ忘れてはならないのが、Burt Bacharachの手による素晴らしい曲の数々。
Bacharachの珠玉のポップ・ナンバーが、Karenの切なく哀しげな声に、見事なまでに合致している。

Karenの英語の発音は、とても綺麗でわかり易く、英語のヒアリングにも最適だと中学の英語の先生に言われたことがある。
親しみやすいメロディと、子供の耳にもクリアに聴こえるその綺麗な発音のKarenのVo.が、今も人々の心の奥まで浸透し、これほどまでに多くの人に親しまれている理由のひとつとも言えるだろう。
大人から子供まで、世界中の誰からも愛され口ずさまれている数々の曲。これからもずっと受け継がれていくことだろう。

数多くの素晴らしい曲の中で、いちばん好きな曲を挙げるとしたら、私は 「Rainy Days And Mondays」 を選ぶ。

インスピレーション

2005-12-14 | music : newcomer


中古CDショップで、久しぶりにジャケ買いをした。
バンド名も知らず、音もどんな感じか全くわからなかったが、プロデュースがLaurence Currieということと、レーベルがカナダのHalifaxのレーベルだというだけで、何かピンとくるものがあった。
Laurence CurrieはSloanのプロデュースをしているし、HalifaxはSloanのホーム・タウン。ただそれだけだったが、何かを感じた。
Jazzのアルバムのようなジャケが気になり、裏ジャケのギターが並べられたスタジオの写真もその気にさせた。
Cool Blue Haloというバンドの96年のアルバム 『kangaroo』。聴いてみると、心地良いギター・ポップ・サウンドが流れてきた。
4ピース・バンドで、Drs.以外の3人がリードVo.を取っている。そして、それぞれがVo.を取る曲は各々の個性が出ていて、曲の雰囲気も違う。なかなかメリハリの効いた曲を奏でる、面白いバンドだ。
リードVo.を取る曲を、必ずしも本人が書いているわけではないようだ。
B、GのJason Ivesの曲で本人が歌うM-1 「Spark-O-Matic」 は、爽やかなパワー・ポップ。
同じくJasonの曲でGのBarry Walshが歌うM-2 「Too Much Kathleen」 は、ファジーなギターの音が綺麗なハーモニーに上手くマッチしたポップなナンバー。
Barryの曲で本人が歌うM-3 「Throw Me Down」 は、軽快なドライヴィン・ポップ。gigolo autsのような感じの音だ。
同じくBarryの曲でG、B、PianoのPaul Bodreauが歌うM-5 「Congratulations」 は、甘く切ない60年代のポップスを彷彿させ、ハーモニーもなかなか気持ちいい。
Paulの曲で本人が歌うM-11 「The Only One」 ではハンド・クラッピングが入る、メランコリックでポップなナンバー。The Beatlesからの影響が伺える。

映画 『初体験/リッジモンド・ハイ』 などで知られるエイミー・ヘッカリング監督の映画のサントラに彼らの曲が起用されたことが、アルバム・デビューに至ったらしいが、どうやら彼らはシングル以外、アルバムはこの一枚しか出していないようだ。恐らく今はもう活動をしていないのだろう。
なかなかメリハリの効いた楽曲が並ぶポップなアルバムで、ジャケ買いのインスピレーションは外れではなかった。
M-2 「Too Much Kathleen」 は、あのMatthew Sweetがジェラシーを感じたほど絶賛していたらしい。

寒い夜は暖かい音楽を・・・

2005-12-13 | music : favorite


今日はとっても寒かった。昨夜は初雪も舞った。
こんな寒い夜には、心から暖かくなる音楽が聴きたくなる。
何を聴こうか・・・と、CDラックに目をやる。さほど迷わず、一枚のCDに手が伸びた。
BMX Bandits、93年の作品 『life goes on』。
85年にバンドをスタートしてからもう20年の月日が経つが、いつも変わらずに私たちに暖かさを与えてくれる。
今更彼らのことは、特に何も語る必要はないだろう。
陽だまりのような暖かさの、ほんわかとした優しい音楽。
ピュアでナチュラルでシンプル。それでいて心に残る、やわらかさ溢れるBanditsサウンド。
今年はクリエイション時代のベスト・アルバム 『Serious Drugs』 をリリース。
そして来年2月に、新作 『My Chain』 のリリースと来日が決定! 
フル・バンドのセットではなく、セミ・アコースティックのライヴで、Banditsの曲はもちろん、現メンバーのDavid Scottのバンド、The Pearlfishersの曲の中からも、好きな曲をやるそうだ。
そして、恐らく新曲もプレイしてくれるだろう。
会場も小さなクラブなので、アット・ホームであったかいライヴになること間違いなし。
94年に行ったあのライヴ以来、とっても久しぶりに聴けるDuglasの奏でる音楽を、今から心待ちにしている。

【ライヴ・スケジュール】
・2月14日(火) 大阪 新世界Bridge
・2月16日(木) 京都 アンデパンダン
・2月17日(金) 名古屋 KD Japon
・2月19日(日) 東京 渋谷O-Nest

たくさんの愛に支えられて・・・

2005-12-12 | music : various


多発性硬化症という難病と闘いながらも、音楽活動を続けているVictoria Williams。
彼女のソング・ライティングの才能は、多くのミュージシャンから支持され、彼女のソウルフルな音楽とその独特のハイトーン・ヴォイスは、Neil Youngに感銘さえも与えた。
そして、18歳の時に交通事故で下半身不随になりながらも、温かく深みのある曲を作り続けているVic Chesnutt。
彼もまた、多くのミュージシャンから敬愛され、Michael Stipeのラヴ・コールによって実現した、R.E.M.の1stと2ndアルバムのプロデューサーとしても知られている。
そんなふたりを支持し、愛する多くのミュージシャンたちがレーベルを越えて集結してリリースされた、ベネフィット・アルバム 『Sweet Relief』 と 『Sweet Relief Ⅱ』。
Lou Leedの奥さんが発起人となり、Victoriaの曲をカヴァーしたアルバム 『Sweet Relief』。
そのVictoriaがChesnuttとデュエット参加もし、Chesnuttの曲をカヴァーした 『Sweet Relief Ⅱ』。
これはもうただ単に友情やアーティスト同士の交流以上の、言葉にできないくらいの愛情が詰まっている。
彼女、彼を何とかして救いたい、前向きに生きて行って欲しいという願いがひしひしと伝わる、一曲一曲に愛が溢れる素晴らしいアルバムである。


★『Sweet Relief : A Benefit For Victoria Williams』★

 1993
Soul Asylum 「Summer Of Drugs」
Lucinda Williams 「Main Road」
Pearl Jam 「Crazy Mary」
Buffalo Tom 「Merry Go Round」
Michael Penn 「Weeds」
Shudder To Think 「Animal Wild」
Lou Reed 「Tarbelly And Featherfoot」
Maria McKee  「Opelousas (Sweet Relief)」
Matthew Sweet 「This Moment」
Evan Dando 「Frying Pan」
The Jayhawks 「Lights」
The Waterboys 「Why Look At The Moon」
Giant Sand 「Big Fish」
Michelle Shocked 「Holy Spirit」

Victoriaの元夫のMichael Pennも、現夫のMark Olson(The Jayhawks)も参加している。
特にThe Jayhawksが歌う 「Lights」 は、とても優しく、彼女への溢れんばかりの愛が伝わってくる。


★『Sweet Relief Ⅱ: Gravity Of The Situation』★

 1996
Gaebage 「Kick My Ass」
R.E.M. 「Sponge」
Nanci Griffin and Hootie & The Blowfish 「Gravity Of The Situation」
Soul Asylum 「When I Ran Off & Left Her」
dog's eye view 「Dodge」
LIVE 「Supernatural」
The Smashing Pumpkins and Red Red Meat 「Sad Peter Pan」
Sparklehorse 「West Of Rome」
Joe Henry and Madonna 「Guilty By Assosiation」
Kristin Hersh 「Panic Pure」
Cracker 「Withering」
Indigo Girls 「Free Of Hope」
Mary Margaret O'Hara 「Florida」
Vic Chesnutt and Victoria Williams 「God Is Good」 


この様々な顔ぶれを見ただけで、ふたりがいかにたくさんのミュージシャンから愛され、支えられているかが手に取るようにわかる。
どちらのアルバムも、それぞれのアーティストのカラーに仕上げ、それでいてそのカラーを全面に出すことなく、オリジナルの曲の持つイメージを大切にしている。
数あるトリビュート・アルバムの中でも、本当にあったかくて、切なくて、愛に満ち溢れたアルバムだ。
Victoriaは現在、夫のMark Olsonがソロ活動と並行しているルーツ・ミュージック・バンド、Mark Olson & The Creekdippersで活動を続けている。
Chesnuttは、変わらず温かい音楽を書き続け、コンスタントにアルバムもリリースしている。

マージー・ビートに魅せられて

2005-12-10 | music : favorite


以前、彼らのことを取り上げた時にも書いたが(こちら)、やはりこのデビュー・アルバムもUKの香りを感じずにいられない。
Fountains Of Wayne、96年リリースのセルフ・タイトル・アルバム。音だけでなく、このジャケもUKのバンドっぽい。
もう既に手元にないので比べることができないが、実はこのジャケはその昔 「This Appointment」 だったかな?・・・確かそんな感じのタイトルの曲がプチ・ヒットした、The Flamingosというバンドが使っていた写真と同じだったということが後日わかった。
このアルバムが出た時から、発売されたばかりなのにどこかで見たことあるジャケだなぁ・・・と思っていたのだった。
4人編成のバンドとは言え、Fountains Of Wayneは、Chris CollingwoodとAdam Schlesingerとの、ふたりのユニットと言ってもいい。
このコンビが生み出すポップ・ソングは、いつでもサラッと耳に心地良い音を届けてくれる。
日本では、2ndアルバム 『Utopia Parkway』 でジワジワと人気が高まったが、この1stもとても良質のポップ・ミュージックが詰まっている。
彼らはマージー・ビート好きということを自ら公表していて、ビートルズ・フォロワーと言われていることにも抵抗を感じていない。
その彼らが愛するマージー・ビートを効かせた60年~70年代のサウンドを思わせる楽曲の数々は、凝った味付けをせずに素直に表現している。
それでいて印象に残る良質の音楽を作り出すふたりのソング・ライティングの才能は、Elton Johnも太鼓判を押している。

単調な中にもフックを効かせ、覚えやすいメロディが印象的なM-1 「Radiation Vibe」。
サビでギターの音をノイジーに奏でることによって、Aメロとのメリハリを効かせているM-2 「Sink To The Bottom」。
スピード感溢れるM-3 「Joe Ray」 や M-5 「Survival Car」。
優しく歌うとっても可愛いメロディのM-4 「She's Got A Problem」。
メランコリックなアコースティック・ナンバーM-7 「Sick Day」。
ちょっと気だるそうに歌うChrisの声が、時々oasisのLiamを思わせるM-8 「I've Got A Flair」。
爽快なメロディが駆け抜けるM-9 「Leave The Biker」。
M-11 「Please Don't Rock Me Tonight」 のような控え気味のマージービートに乗っかるストレートな曲。
どの曲も聴いた後に爽快感が残り、飽きのこない曲ばかりで、デビュー作とはとても思えない、本当にクウォリティの高い曲が詰まっている。

2005年 あれこれベスト

2005-12-09 | music : various


この時期になると、あちこちで様々なテーマの “今年の○○ベスト10” なるものが発表される。
ブログを運営している方たちも、ボチボチと今年のベスト・アルバムを記事にしている。
ということで世間の流れに乗って、あくまでもパーソナルな音楽に関する “2005年のベスト・シリーズ” を考えてみた。(リンクしているものは、トピにしたもの)


2005年アルバム BEST 10 (2005年リリースのもの)

   
 1. 『de nova』  The Redwalls
    やはりこのアルバムを置いて他にない、というくらいハマった。そして、彼らが大好きになった。
    このアルバムがデビュー作だと思っていたが、
    2003年に既にインディーズで1枚リリースしていたことがわかり、
    そのアルバムをつい最近手に入れることができた。
    もう本当にこの心地良いグルーヴ感がたまらない!!!

 2. 『make believe』  weezer
 3. 『I Wish We All Could Win』  The Afters
 4. 『Songs For Silver Man』   Ben Folds
 5. 『Rebel Sweetheart』  The Wallflowers
 6. 『Don't Believe The Truth』  oasis
 7. 『Besterberg』  Paul Westerberg
 8. 『Man-Made』  Teenage Fanclub
 9. 『ROOSTER』  ROOSTER
 10.『Don't You Know』  Kyle Vincent


2005年ヘヴィ・ローテーション・アルバム BEST 10

   
 1. 『Black Gold : The Best Of Soul Asylum』  Soul Asylum
    とにかくこのアルバムは、1年を通して3日に一度は聴いていた。
    ベストものというのは、アルバム・コンセプトを重視して聴く時以外は非常に便利なもの。
    どれを聴こうか?と迷った時は、やはりベストに手が伸びる。
    このベストにはアルバム未収録曲やライヴも収録されていて、
    CDプレイヤーのプログラムをランダムにしたりして楽しんでいる。

 2. 『After The Flood : Live From The Grand Forks Prom, June 28, 1997』  Soul Asylum
 3. 『de nova』   The Redwalls
 4. 『By Your Side』  The Black Crowes
 5. 『Minor Choeds and Major Themes』  gigolo aunts
 6. 『make believe』   weezer
 7. 『I Wish We All Could Win』   The Afters
 8. 『The Southern Harmony and Musical Companion』   The Black Crowes
 9. 『(What's The Story)Morning Glory?』   oasis
 10.『ROOSTER』   ROOSTER


2005年ライヴ BEST 5

   
 1. Soul Asylum @The Bowery Ballroom, New York 10/26
    待ちに待って10年ぶりに触れた彼らのエモーショナルなステージ。変わらぬ熱さに感動してきた。
    来年リリースのニュー・アルバムが楽しみで仕方がない。

 2. The Black Crowes @Filmore, San Francisco 08/06
 3. weezer @Zepp Tokyo 08/15
 4. Teenage Fanclub @Bimbo's 365, San Francisco 08/05
 5. ROOSTER @LIQUIDROOM 11/29
 ※他に行ってないというのもある。2005年の締めはweezer!

  
2005年行きたかったライヴ BEST 3
 1. Ben Folds
    まだ一度も彼のステージを観たことがない。あの弾けるピアノ・プレイをこの目で観たかった。

 2. oasis
 3. Bryan Adams


番外篇 : ライヴが観たいアーティスト BEST 5(未体験篇)
 1. The Redwalls
    あそこまでグルーヴィな音を、ライヴでどこまで出せるかというのも確かめてみたい。
    来日願望はつのる一方。間違いなくこれが10年前だったら、きっとアメリカまで観に行っていただろう。

 2. Paul Westerburg
 3. The Wonder Stuff
 4. The Afters
 5. Ben Folds


番外篇 : ライヴが観たいアーティスト BEST 5(不可能篇)
 1. The Beatles
    やっぱり・・・ね、誰もが思うことでしょう・・・。

 2. The Replacements
 3. Material Issue
 4. The Greenberry Woods
 5. The Jayhawks

STARTING OVER

2005-12-08 | music : basics


今日はやっぱりこれでしょう・・・。12月8日という日・・・。
正確には日本時間では明日なのだが、音楽ファン、特に洋楽、中でもロックやポップスを愛する人にとっては永遠に忘れられない日。そして、音楽の歴史の中でも最も重大な事件が起こった日。
きっとみんな今日はJohnの歌を聴いていると思うし、ブログに書いている人も多いだろう。
そして、今日は街の至るところでJohnやThe Beatlesの曲を耳にした。スタバ、コンビニ、ガソリンスタンド、スポーツ店、雑貨屋さんetc...
私も日付が変わってからは、JohnのCDがヘヴィ・ローテーションしている。
ニューヨーク滞在記」で、セントラル・パークの “Strawberry Fields” に行った時のトピにも書いたが、25年前のこの日のことはまるで昨日のことのように記憶に残っている。

89年リリースの 『The JOHN LENNON Collection』。後に 『Lennon Legend』 が出て、確か今はもう廃盤となってしまったこのコンピレーション。
収録曲は6割ほど同じで、『Collection』 には 「I'm Losing You」 「Dear Yoko」 「Move Over Ms.L」 が、『Legend』 には 「Mother」 「Nobody Told Me」 「Borrowed Time」 「Working Class Hero」 が収録されていて一曲多い。
私はJohnの曲は、アルバムを聴くよりもこういうコンピを聴くことの方が多い。名盤 『Double Fantasy』 も、どうもYokoの声や歌い方が苦手なので、あまり聴かない。
テロが多発し、幼い子供たちが残虐な目に合い、犯罪も決して減らない今、誰よりもLove & Peaceを訴え、誰よりも願っていたJohnの想いは未だ叶っていない。
天国からこんな地球の様子を見て、きっと悲しんでいることだろう・・・。

好きな曲はたくさん有れど、群を抜いて好きなのが、「(Just Like) Starting Over」。
Johnの遺作となったこの曲は、息子Seanの子育てが一段落し、音楽活動の再出発という意思を込めた曲。しかし、皮肉にもそんな矢先の12月8日だった。
『Double Fantasy』 の一曲目でもあるこの曲。鐘の音が響き、“Our life together・・・” とJohnの声が聴こえてくる・・・。
ノリのいいリズムで、歌詞はとても前向きな内容。“遺作” とあまりにも言われてきたため、つい感傷的になって聴きがちだが(かく言う私もそんなひとり・・・)、Johnのこの曲に込められたメッセージは、“新たに始めよう” という前向きなメッセージ。
受け入れ方は人それぞれあるだろう。私は数年前まではこの曲を聴く度に涙腺が緩くなっていたが、改めて歌詞を見つめ直し、Johnのメッセージに耳を傾けることができるようになってから、更に大好きな曲、いちばん好きな曲になった。

thank you, John.
we have grown
let's take a chance and fly away
it'll be just like starting over.....

愛情と敬意の最高の表現法

2005-12-06 | music : special


「Trampoline」 という、とびっきりポップな曲を今でも覚えている人もいるだろう。
90年代半ばに2枚のアルバムを出し、きらめくポップ・ワールドを届けてくれた、USメリーランド州Baltimore出身のThe Greenberry Woods。(詳しくはこちら
バンドの中心はMattとBrandtの双子のHuseman兄弟。彼らがGBWと並行して94年に結成されたのがSplitsville。
しかしGBWは、惜しくも96年にメンバー各々の音楽の方向性の違いにより自然消滅、そして解散。Huseman兄弟は、このSplitsvilleに力を注いできた。
GBWが大好きな私にとって、解散はすごく残念だったが、その後も変わらぬ可愛いキラキラ・ポップを奏で続けてくれているのが何より嬉しい。
現在メンバーは4人になっているが、元々はHuseman兄弟とGBWのローディをしていたPaul Krysiakが始めたバンドで、GBWではBだったBrandtは、SplitsvilleではDrs.に転向し、PaulがBを担当。
Splitsvilleのことはもちろん、今回取り上げるこのアルバムについてもっと早く書きたかったのだが、きちんと書くためには、とある2枚のアルバムを再度じっくり聴く必要があった。
その2枚のアルバムとは・・・、このジャケとタイトルを見ればもうおわかりだろう・・・。
2001年の作品 『Splitsville Presents ・・・ The Complete Pet Soul』。そう、彼らが敬愛して止まない、The Beach Boys 『Pet Sounds』 とThe Beatles 『Rubber Soul』 の合体である。

『Pet Sounds』 1966   『Rubber Soul』 1965

最初に念を押しておく。これは決してBeach BoysとBeatlesのコピーや真似ごとではない。アルバムは、れっきとしたSplitsvilleの音である。
これは、ふたつのグループに対する計り知れないほどの愛情と敬意を込めた、彼らの最大の表現なのである。
これほどまでに完璧に、そして遊び心も入れ、自分たちのサウンドを大切にしつつ、Beach BoysとBeatlesの要素を隠し味のように出せる曲を生み出すということ自体、ミュージシャンにとって最高の表現方法だろう。
ふたつのグループの要素を巧みに散りばめられたこのアルバムは、Beach Boysを愛する人にもBeatlesを愛する人にも存分に楽しめると思う。
私は、もちろんこのふたつのグループは好きだが、特別精通してる訳ではない。Beach Boysに至っては、「Surfin' USA」 のイメージが強すぎて、日本のチューブのような夏のバンドという先入観があって、かなり後から入ってその素晴らしさを知ったくらいだ。
そんな私にでさえ、このアルバムに込められたふたつのグループのエッセンスが手に取るように感じられ、ニヤリとしてしまうのだから、聴き込んでいる人には面白くて仕方ないだろう。
そして、彼らが 『Pet Sounds』 と 『Rubber Soul』 をタイトル・コンセプトにしたのには、Brian Wilsonが 『Rubber Soul』 を聴いてあまりにもの素晴らしさに衝撃を受け、それが 『Pet Sounds』 を作り出すきっかけとなったという有名なエピソードも含まれているというのだから、これまた憎いアイデアだ。
ちなみにその 『Pet Sounds』 が大きな影響を与えたのが、『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』 というのだから、お互いに本当にいい意味で影響し合っていたんだと思う。

M-1 「Overture」 を聴くと、今にも 「Wouldn't It Be Nice」 (『Pet Sounds』 M-1)が聴こえてきそうな気分になる。
だがしかし、ここではDrs.を逆回転させるという、『Rubber Soul』 の要素も垣間見ることができる。
間髪入れずに入るM-2 「Forever」 が聴こえてくると、そこにはもうSplitsvilleのきらめくポップ・ワールドが広がる。この音を聴くだけで、幸せになってしまう自分が居る。
M-3 「Aliceanna」 は、ファルセットで歌うアコースティック・ナンバー。Beach Boysを感じさせずにいられない。
M-4 「Pretty People」 のイントロの一瞬の短いギターの音は、「Day Tripper」 のイントロから来たのだろうか・・・。
ゆったりとした3連のリズムが心地良い、M-5 「Caroline Knows」 を聴いていると、Beatlesを聴いているような錯覚にさえ陥りそうになり、「Baby's In Black」 (『Beatles For Sale』 収録) 辺りの清涼感を感じる。しかし、エンディングのコーラスに入るとBeach Boysが出てくる。
M-6 「Sunshine Daydream」 は、もう正に 「Good Day Sunshine」 (『Revolver』 収録) のアンサー・ソングのようだ。そして、間奏のエフェクトのかかったVo.は、「Yellow Submarine」 を思い起こさせてくれる。
M-7 「Tuseday Through Saturday」 の間奏で、チェンバロのソロが入る。「In My Life」 (『Rubber Soul』 M-11) だ。途中から入ってくるオルガンの音は、「We Can Work It Out」 ばり。
M-8 「You Ought To Know」 はとっても楽しいポップ・ソングで、思わずハンド・クラッピングしたくなってくるようなリズムとタンバリンの音を聴いていると、60年代にタイム・スリップしてしまいそうになる。そして、エンディングのGの音色やベース・ラインに感じるのは、「Nowhere Man」 (『Rubber Soul』 M-4)。
M-9 「The Popular」 で響き渡るティンパニの音色は、GBW時代からの彼らの得意とるすサウンド。これはやはりBeach Boysから来ているのだろう。そして、タンバリンや鈴の音で可愛らしさを出している。
M-10 「The Love Songs of B. Douglas Wilson」 の “B. Douglas Wilson” とは、もちろんBrian Wilsonのこと。Brianへの深い愛情と敬意を込め、Splitsvilleの音で表現している。
ちなみに、歌い出しの歌詞はこうだ。

Catch a wave, it makes you feel like flying
Making records and the kids are buying
Carifornia summer sound

ピアノの音色、ベース・ラインにキーボード、鉄琴の光る音、途中のエフェクトを効かせリズム・パターンが変わるおどけたVo.、エンディングのコーラスなど、Brianの巧みなサウンドを上手く融合させている。
そのおどけた部分の歌詞が、これまたとても微笑ましい。

Now you're old, old
And all of your records are gold
You'll be who we want you to be
You have measured out like with your tunes, tunes

そして、最後の最後に “Surf's up again...” と繰り返す。何とも言えない愛情のこもった歌詞だ。
最後の曲、M-11 「I'll Never Fall In Love Again」。このタイトルは、巨匠Burt Bacharach作曲の、The Carpentersが歌っていた曲と同じ。すべてのポップ・ソングに敬愛を込めたアレンジだ。
イントロと間奏でフルートの音色が可愛く響いたかと思うと、2回目の間奏ではディストーションの効かせたギター・ソロが入り、続く多重コーラスには様々なポップ・ソングのエッセンスが伺える。
そしてエンディングのコーラスは、なんとBugglesの 「Radio Kills The Video Stars」 だ。こういう遊び心に、思わずクスッと笑ってしまう。

聴く度にいろんな発見があるし、また、Beach BoysやBeatlesを聴いた後に聴くと、面白くてたまらない。何回聴いても飽きないアルバムだ。
同じ様に、Beach BoysやBeatlesの要素を、その類稀なまでのスタジオ・ワークで表現したJellyfishまではオタクっぽくなく、親しみ易いメロディとほんわかしたムード漂う一枚に仕上がっている。
このトピを読んで、“どうせ、○○風の真似っ子” だと思った方は、大きな間違い。あくまでも、Splitsvilleのオリジナリティ溢れるポップ・センスが光る曲ばかりなのだから・・・。
今でもまだAmazonやHMVのオンラインで入手可能なので、Beach Boys、Beatlesファンの方には是非一度聴いてその面白さを実感してもらいたい。
まずは、彼らのWebサイトで全曲お試しあれ。(ブックマークからGO!)

移り行く音楽性を辿る

2005-12-05 | music : normal


今でも彼らの 「Good」 という曲を聴いた時のあの感覚は、ハッキリと覚えている。
Material IssueのJim Ellisonが生き返ったのかという錯覚に陥り、一刻も早くその正体を知りたかった。
それほどまでにこのバンドのVo.の声は、Jimと本当によく似ていた。(Material Issueに関するトピはこちら
そしてその正体は、アメリカ南部ルイジアナ州出身のバンド、Better Than Ezraだということがわかった。
バンド構成までもがMaterial Issueと同じで、G/B/Drs.の3ピース・バンドだったことにも驚いたものだった。
弾けるようなそのパワー・ポップ・サウンドは、当時すぐに私の中に溶け込んで行った。
その 「Good」 が収録されていたのが、95年リリースの彼らの1stアルバム 『Deluxe』。
「Good」 は当時全米でもヒットしたし、同じくこのアルバムに収録されている、シングル・カットされた 「In the Blood」 や 「Rosealia」 と共に、知っている人もいるだろう。

『Deluxe』 1995

翌96年リリースの2nd 『Friction Baby』 までは良かった。キャッチーで甘いポップ・ミュージックを届けてくれていた。
しかし、98年にリリースされた3rd 『How Does Your Garden Grow?』 で、彼らの音楽性は180度変わってしまった。ポップと言えばポップなのだが、打ち込みやダブを多用したアルバムだった。
私はどうもこの打ち込みとかダブとかが苦手で、結局このアルバムを機に彼らから離れてしまった。
2001年にリリースされたアルバムでは少し元に戻ったらしい、ということは小耳に挟んでいたが・・・。
そんな彼らが今年、ベスト・アルバムをリリースした。1stしかもう手元にないし、未発表のJamesのカヴァーや、ラジオ出演時の音源なんかも収録されているとのことだったし、収録曲を見てみると打ち込み時代の曲は少なかったので、思い切って買った。
懐かしいEzraのポップ・サウンドを久しぶりに聴いて、やっぱりいいな~と満足している。
そして、今聴いてもやはりKevin Griffinの声はJimとそっくりだ。特に私がハマっていた初期の曲に、それを感じる。
「In the Blood」 と 「Rosealia」 は、シングル用のリミックス・ヴァージョン、そしてJamesのカヴァーはなんと、「Laid」! この曲はもうめちゃくちゃ好きな曲なので、これまた嬉しくなった。Ezraらしい弾けたポップに仕上がっている。
『How Does Your Garden Grow?』 からの曲も、ポップな曲をピック・アップしていて、飛ばさなければならないほどの苦手なのはなかったので、存分に彼らのポップな世界を楽しむことができた。
ただやはり、初期の弾けるポップからだんだんと実験的なサウンドに変わって行く境目がハッキリと出ている。
ラジオ出演時の音源というのが、1stに収録されている好きな曲 「This Time Of Year」。アコースティックなイントロで始まり、徐々に盛り上がって行って、ライヴ感に満ち溢れている。
4thアルバムからの 「Wallflower」 を聴くと、彼らの音が本来のポップな音に戻りつつあるのも伺える。

彼らは今も頑張っているバンドで、今年レコード会社を移籍して、通算6枚目となるアルバム 『Before The Robots』 をリリースしている。う~ん、ちょっと聴いてみたい気持ちになった。

『Before The Robots』 2005

ポップス・クラシックス その参

2005-12-04 | music : basics


12月に入り、街はイルミネーションで輝き、クリスマスの雰囲気漂う季節に突入した。
聖夜って本来はキリスト教のお祭りなのに、日本ではもうすっかり当たり前の普通の行事になっている。
まあ、深く追求することは止めて、今日はこの曲について・・・。
今から約20年前の1984年にリリースされた、WHAM!の 「Last Christmas」。
数多くあるクリスマス・ソングの中でも、この曲は大好きな曲のひとつだ。
当時のヒットは言うまでもなく、20年以上経った今でも衰えることなく、クリスマス・ソングのスタンダード・ナンバーとして、多くの人に親しまれている。
毎年リリースされる様々なクリスマス・ソングのコンピにも、必ず収録されている。
この写真は12"のジャケで今でも大切に持っているのだが、プレゼントを抱えたGeorge Michaelに対して、裏側はトナカイの格好をした相棒のAndrew Ridgelyの姿が・・・。
WHAM!はGeorgeがメインで、Andrewはいつも引き立て役のような存在だった印象が強い。
この 「Last Christmas」 のPVに至っては、GeorgeとAndrewと、Andrewの彼女との3人でクリスマスを山荘で過ごすという設定で、やがてGeorgeに彼女を取られてしまうという内容。
当然のようにGeorgeの方が遥かに人気もあった訳で、解散後もGeorgeはソロとして活動し、今も現役だが、Andrewのその後は不明だ。
確か去年、Georgeのドキュメント映画で、再会のシーンがあったが・・・。でもやはりWHAM!はAndrew居てのWHAM!だったと思う。

当時覚えたこの曲は、今でも完璧に歌える。
イントロを聴くだけで、もうクリスマス一色の気分になれる。雪が舞っているかのようなシンセの音と鈴の音が響き、そして囁くような歌声で始まる。
この12"ヴァージョンでは間奏にちょっとロックっぽいアレンジが入るが、とっても綺麗で感傷的なメロディと、決してハッピー・エンドではない切ない歌詞がリンクしている。
誰もが口ずさめる、素晴らしいポピュラー・ソングとして、これからもずっと愛され、歌い継がれて行くことだろう。

余談だが、折りしも今日、George Michaelが長年付き合っていた “ボーイフレンド” と結婚するというニュースを聞いた。(あぁ、やっぱり・・・)