初めて聴くものは、何かきっかけがないとなかなか最初の一歩が踏み出せなかったりする。
かつてのきっかけは殆んど雑誌のレビューだったが、雑誌を買わなくなった今、CDショップの試聴だったり、ジャケなんかのファースト・インプレッションだったりする。
そしてもうひとつの大きなきっかけは、ブログである。いろんな方々のブログに紹介されているアルバムについての記事を読んで、聴いてみたいという気持ちが湧いたりする。
今回このアルバムを聴く大きなきっかけをくれたのは、いつも遊びに来て下さる 【Good Timin'】 のモスコさん。
そして聴いたアルバムがコレ、Ryan Adamsの 『Cold Roses』。彼の名前は知っていたが、音に関しては全く未知だった。
最初彼の名前を何かの記事で見た時、“Brayan Adams” の間違い・誤植だと思っていたくらいだし・・・(笑)。
そして、2年前くらいにgigolo auntsのフロントマン、Dave Gibbsのウェッブ・サイトのダイアリーで、しきりにRyan Adamsの新作を絶賛しているのを読んだ。
気にはなっていたのだが、当時は他に情報源を見つけることもせず、結局聴かず仕舞いだった。
ところが少し前にモスコさんがRyanのことを取り上げていて、私の音楽の好みを知っているモスコさんは、きっと気に入ると背中を押してくれた。(モスコさんのRyan Adamsのトピはこちら)
チェックしてみて、既にたくさんのアルバムが出ていることに驚いた。どれを聴こうか迷ったが、モスコさんが今年リリースしたRyan Adams & The Cardinals名義の2作は、カントリー・ロック / ルーツ・ロック的な音だと教えてくれていたので、どうせならたくさんの曲が聴ける2枚組がいいかなと思い、この 『Cold Roses』 を選んだ。
紙ジャケでゲート・フォールドになっているこのCDは、盤のデザインもレコードのようになっていて、アナログ盤を意識しているかのようだ。
“カントリー・ロック / ルーツ・ロック的な音” というのにちょっとワクワクしながら初めて聴いた彼の音楽は、期待を遥かに越える傑作だった。
カントリー・ロック、フォーク・ロックのルーツ・ミュージック的サウンドから、骨太いロック、胸にしみるアコースティック・ナンバーと、バラエティに富んだその楽曲は、彼のソング・ライティングの器の広さを物語っていて、今まで知らなかった自分を恥じた。
サザン・ロックっぽいちょっぴり土の香りがしたりもして、彼の生まれた町がJacksonvilleというノース・カロライナ州の小さな田舎町だと知り、納得したりもしている。
更に、深く感情込めて歌う彼の歌声は、時には力強く、時には冷たく、時には儚く、時には優しく・・・と言った感じで抑揚がとてもあり、ヴォーカリストとしての才能も伺われる。
2枚組全21曲、どれを聴いても捨て曲がなく、完成度の高い楽曲ばかりだ。
彼は今年3枚のアルバムをリリースすると宣言したそうで、既に2枚リリースし、今月3枚目が発売される。
ここまでクォリティの高い楽曲を、いとも簡単にポンポン生み出すRyan。その多才ぶりは、ただ者ではない。
まずはあと2枚の今年のアルバムを聴いてから、少しずつ過去に遡ってみなくてはと思っている。
そして、かなり遅ればせながら出会ったこの多才な男に、少なからずとも感銘と衝撃を受けている。