TASTING CUBE

Wine by your side…我が家は毎晩がワインサロン。最近のマイブームはBOX WINEです。

除梗ちがい飲み比べ

2006-07-28 08:29:10 | Weblog
とあるセミナーに参加。
主催者はブルゴーニュはサヴィニー・レ・ボーヌからいらしたドメーヌの方。
試飲したのはこの4種の赤ワイン。


このワイン達、何が違うのでしょう?
じつはこの4種、醸造過程での何かの割合?が違う。


ではもうひとつ質問。
赤ワインの造り方は?
「えーと、収穫したブドウを選果して、徐梗、破砕して…アルコール発酵をします」
私もこのように以前学んだ。

でもこの生産者にとっては不正解な答え。彼らは除梗しない。除梗とはブドウの果実がついている茎、梗を取り除くということ。

このドメーヌでは全梗のまま発酵をするとのこと。聞いただけでエグ味が残るワインが出来そうだ。
でも実際、この全梗発酵を伝統的に行っているドメーヌは他にもある。
ロマネ・コンティ、ランブレイ、ラブロー、ドゥジャックなど。みなブルゴーニュの大御所たちだ。

全梗発酵のメリットは、
①発酵が均一に行われる。
②発酵が長引き、これにより芳香が豊かになる。
③タンニンや骨格がしっかりし、それに酸が加わった仕上がりになる
④ブドウが搾り易い、など物理的な利点がある
とのこと。

ではデメリットは?
①エグ味が出る
②ピノ・ノワールの繊細さが欠けてしまう。
③梗の水分のせいで色が淡くなる。アルコール度も下がる。
④地中に残存するカリウムのせいで酸を下げてしまったりする。
、などだそう。

曰く、全梗発酵で造る場合、とても手間がかかる。ちゃんと造らないとデメリットの部分が強調されたワインが出来てしまうそうだ。
要するに、「ナマケなければよいワインができる」ということだ。

こうして出来たワインは、若いうちはタンニンが目立つけど、老いて放つ芳香は素晴らしい。
逆に多くの場合のように、除梗100%で造られたワインは、スィートでリッチ、グラマラスな仕上がりになることが多い。新世界ワインが目指して止まないタイプのワインだ。



で、試飲してみると…。

ヴィンテージは全て2001年。うち3種はブルゴーニュのもの。それぞれ除梗100%、50%、0%のラインナップ。あとはローヌはクローズ・エルミタージュ、シラー種で除梗0%のもの。
若いせいか、全梗発酵のワインはフレッシュな香り、食用ブドウの皮のような後味、色も薄い。同じワインで老いたものも試してみたかったかも。

50%のものは土、スパイス、ベリーの果実の香りがし、ブルゴーニュ・ピノのバランスの良さを予感させるが、酸がまだよく溶けてないし、エグ味も残る。

100%除梗のものは香り豊か。カシス、ドライプルーン、黒塘の甘みさえかぐわしい凝縮感。口に含むと酸は落ち着きを見せ、フラットな仕上がり。なるほど説明通りといった味。

面白かったのは全梗発酵させたシラー。この品種は100%除梗があたりまえ。とにかく香りがスゴイ。もともと「むせるような香り」と表されることが多いのがこの品種。青臭くて、鼻につく酒臭、獣や黒いベリー、白胡椒までバラエティーに富んだ香り。が、咽を通すと意外にバランスがよく、ドライプルーンのこっくりとした甘みが印象的、なんとも言えないパワフルさ。特にこのワインは熟成に堪える素晴らしいワインらしく、機会があれば是非もう一度飲みたいと感じた。



せっかくの機会なので、セミナーの終わりに聞いてみた。
「欧圏でのワイン余剰について問題になっていますが、身近に感じますか?」

「はい、切に感じます」とのこと。

80年代には、ワインは簡単に売れたそう。ドメーヌが営業に出るなんて必要はなかったが、今は状況が違う。日本にさえ、様々な生産者が出向いてくる。

仏国内でさえワインの消費が落ち込んでいるのに、畑の運営も厳しいとのこと。
日本の年金と同じように、小さな畑の持ち主には多くの税金が科され、負担は増えるばかりだそうだ。
また逆に、付近に生産者が増えていることも、ワイン余剰に関係しているみたい。
皆がブルゴーニュでワイン造りをしたいのだ。
最近では、「どうやったらヴィニロン(ワインの造り手)になれるか?」
などどというHOW TO本まで出版されているそうだ。


質問がもうひとつ飛んできた。
「こんなご時世でも、なんで全梗発酵という手間のかかる造り方を続けるの?」

「先代からワインの造り方をこうやって教わったから・・それだけ」
うーん、That' burgundy、これぞブルゴーニュ。・・・シブイです。
その伝統がいつまでも続きますように。


厳選食材至福メニュー

2006-07-22 20:37:11 | Weblog
と、うたうのは、知人が店長として腕を奮う新店。

突然伺ってびっくりさせようと思い、訪れると、ほぼ満席でラスト2席とのこと。滑り込みセーフ。
評判もよさそうだ。
場所も駅から1分とアクセスバツグン。きっとやっと探した立地なのだろう。
開店するまでに苦労してたのでオープンをとても楽しみにしていた。

カウンターは白木造り。厚みがあるから高級感がある。

この日のお通しは鯛カマのアラ煮。まずは生ビールで乾杯。

御本人には仕事忙中、勝手に「出店おめでとうっ」。


話はそれるが、鯛のカシラとは、実はマイブーム。
お店などでは、鯛まるごと一匹仕入れて処理するのだろうが、オウチではそうはいかない。
でもカシラだけなら、デパ地下のイキのいいお魚やさんやご近所の魚屋など、鯛を扱っていればどこでもリーズナブルに手に入る。
黒胡椒を挽いたり、ローズマリーを乗せて高温でグリルすれば立派なメインの一皿。
カマとはトロトロな部分がたまらない。アラといえど、意外に白身のお肉の部分もたっぷり。
美味しく作るコツは焼くまえに熱湯をカシラ全体に回しかけること。鯛料理といえばこのひと手間が臭み抜きには欠かせないのだ。甘みも強調されるように感じる。
購入する際には是非天然モノがおすすめ。養殖はなんだか鯛の身のくふよかさを感じられない。

で、お店でオーダーしたのは「焼き茄子」、「鶏の軟骨揚げ」「本日の鮮魚の盛り合わせ」「アサリの酒蒸し」「自家製つくね」「じゃこの焼きおにぎり」。

それぞれ美味しい。
どれもヒトひねりしたお皿で供される。
お店のコンセプトである、厳選食材たちが素敵に盛られて美しい。
これぞ創作和食。

数ヵ月前、知人がメニュー考案で忙しい、休む暇もないと言っていた。
その作品たちが、いま目の前に並ぶと有り難みさえ感じる。

思うに、お店を出すことは案外誰にでも出来る。でも骨太なお店にしようと考えると、出店、存続とは大変な作業だと思う。以前聞いたのは、「店は出す苦労より閉めるときのほうがツライ」。

お店のこれからの繁栄を祈って頂いた。
焼酎からワインまで、ドリンクも豊富。
たっぷり楽しんで、ごちそうさまでした。


ワインニュース

2006-07-18 11:39:59 | ワイン育
チェコはプラハ、ハンガリーなどに旅に出た母。お土産に頼んだのは現地のワイン情報紙。現地のワインニュース紙をゲットしてきて頂いた。
が、何語で記されているかさえ不明。紙面の広告に掲載されているドメイン名「cz」を調べてみた。すると、Czech Republic=チェコ共和国と判明。


中欧のワイン事情が知りたかった。
されど、チェコ語とはまったく理解不能、単語のニュアンスさえ読みとれない。

が、それぞれのタイトルの単語を拾うとわかる地名を発見。アルザス、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ジュラ地方からコルシカ島まである。どうやらフランスの各地方のワインレビューらしい。詳しく記載されているよう。
チェコではフランスワインが主流らしい。それにしてもその他の国や、チェコ自国のワイン記事がないのは不思議。

チェコワインは19世紀から生産されているとのこと。主な産地は、オーストリアとの国境付近ドナウ川支流周辺に広がるモラヴィア、プラハの北部エルベ川沿いに広がるボヘミア、東部国境ハンガリーのトカイと隣接するスロヴァキアなどの三つの産地に分けられるそう。栽培品種はリースリング、ラインリースリング、ミューラートゥルガウ、ルーランブラン、ジルヴァーナーベルデ、リースリングイタリコ、ソーヴィニョンなど。白が多いようだ。是非飲んでみたい。


ハンガリー土産はコチラ。
「トカイ・アスー」6プトニュス、1997年。


ハンガリーは東北部にあるトカイ・ヘジャリア地方の丘陸地で生産されるワイン。世界三大貴腐ワインの一つ。 
このトカイ・ワインは3つにカテゴライズされている。

・トカイ アスー エッセンシア『Tokaji Aszu Essencia』
貴腐ぶどうのみで造った最高級の極甘口ワイン。
褐色を帯びた黄金色に輝き、蜜のように芳しい香り。よい収穫年しか作られない。

・トカイ アスー (3~6プットニョス)『Tokaji Aszu3~6puttonyos』
桶一杯分の貴腐ぶどうを1プットニョスという単位で表す。 これを136Lの樽(ゲンチという樽)に何杯加えたかを表示するのがプットニョスという単位となる。 この数が多いほど甘さが凝縮され、高価になる。

・トカイ ソモロドニ『Tokaji Szamorodni』
ソモロドニとはスラブ語から来た言葉で、成長のままに、自然のままにと言う意味。 収獲されるぶどうの自然の恵みのままに造られたワイン、アスーを選別しないで造ったワイン。 一般的に良作の年には甘口のソモロドニ・スイートに、寒い年には辛口のソモロドニ・ドライになる。

トカイ・ヘジャリア地方に栽培されている品種は、主にフルミント、ハールシュレヴェリューの2種で、ごく少量のミュスカ・リュネル種。これらは、ワイン用としてはかなり大粒で、しかも極めて速やかに貴腐化が進む。ソーテルヌやドイツ等とは違い、小さくカビしなびて胞子だらけ、というような状態にはならず、むしろ艶のある干しぶどうのような形に完熟していくという。
ソーテルヌで見た水分の抜けたブドウを想像して、トカイのそれも是非見てみたくなった。艶とは・・・?さぞかし美しいのだろう。

このワインのドメーヌはDISZNOK=ディズノク。
ディズノクの畑はハンガリー王室から一級畑に指定されているとのこと。ボルドーはシャトー・ランシュバージュのダニエル・リヨズ氏を主任醸造家に起用し、トカイの伝統的技術の復興と最新技術の導入がはかられている。ディズノク1992年に仏の保険会社に買収されてから、一千万ドル以上かけて設備投資を行った。


先日、昨今の欧州のワイン事情について新聞記事を読んだ。とくにEU圏でのワイン余剰が問題になっているという。圏内でワイン消費が落ちている一方、チリなどの新世界ワイン輸入が増しているのが現実。対策のひとつが圏外に高級ワインを輸出して利益を得ること。ワイナリーは皆必死なのだ。

日本でも今、牛乳が余っていると聞く。
ソモロドニ・・・自然のままに、とはいかないのが現実なのだ。





ブショネと隣客

2006-07-14 10:40:18 | ワイン育
「ブション(bouchon)」とはフランス語でワインのコルクのこと。そして「ブショネ(bouchonné)」とはコルク臭がついたワインのことで、カビ臭かったり、本来のワインの香りの邪魔をする。ワインが傷んでしまっているということだ。

少し前にも触れたが、実はワインは統計上100本中3本~7本程度は傷んでいるそうだ。月に400本開く店なら最低でも10本以上やられていることになる。ワインの状態を見抜けないソムリエも多いと聞く。

というのも先日レストランでブショネに当たった知人がこんな風に言っていた。
「ワインの代金をそのまま取られたし、隣のテーブルのお客が煩かった」とご立腹。そのレストランのポイントは一気にダウンしてしまった。そのお店は私が気に入っていて、紹介したお店なだけにちょっと淋しい出来事だったかも。

その数日後ワイン会があって、周りにきいてみた。
「ワインのブショネ、どうします?」
絶対取り替えてもらうべき、状態によっては飲んでしまう、ワインの値を下げてもらう・・・と意見は様々。
注文したワインがどんなワインかということによっても、対応は異なりそうだ。



で、先日私にも同じ事象が起こった。レストランにて「ブショネと煩い隣客」、である。
でもコチラの状況はちょっと違った。
ソムリエはオーダーしたワインのブショネを確認し、「ご注文のワインはブショネしてました。最後の一本だったので、他のワインを考えていただけませんか?」と案内。残念だけど、まったく気分が悪くない。
そのお店は友人が「美味しかった」と言っていたお店。サービスもてきぱきとしていて気持ちが良い。
仏は南西地方、ラングドック地方のお料理を出すお店。一皿一皿の焦点がずれてない、シェフの気持ちがキュっとつまっている感じがする一品が出てくる。


そしてもう一つ美味しかったのがワイン。

南西地方のワイン「カオール」。名前はシャトー・ピネレ。
この地の主要品種であるオーセロワ(マルベック)をメインにメルロ種を加えているそうだ。
色は漆黒。タンニンの強さもバランスがよい。
以前飲んだ「カオール」よりもずっとどっしりした骨太ワインの印象。


お料理もワインも満足で、友人に感謝。
だから、うるさいお隣のテーブルも許せてしまうのだ。

文明堂の釜出しカステラ

2006-07-12 14:25:38 | 私のお取り寄せ
焼きたてのカステラはいかが?
焼釜から出来たてのカステラを販売しているのは、赤い帆がなんともレトロな文明堂のカステラ工場。
これは、隔週末に開催されるイベント。

都内近郊ののんびりした場所に、文明堂の工場がある。
時間に合わせて到着すると、社員の方がきびきびと駐車の案内をして下さる。
「いらっしゃいませっ」と気持ちの良い挨拶をされると、
「期待してやって参りましたよ」って思わず言いたくなる。
そんなつかの間にも、次から次に車が入ってくる。
大人気のイベントらしい。
工場内のお店に入ると、清潔感のある社員の方がまたきびきびと対応して下さる。
「いかがですか?」

手渡されるのはコチラ。

焼きたてでほかほかしてるカステラ。
頂いてみると、あまり甘くない。
カステラのあの甘み、しっとり感は、時間を置いてこそなじんでいくものなんだと実感する。

その焼きたてのカステラは即売されていて、熟練された方が切り分けているようだ。

大きな大きな包丁で集中して丁寧にカットしていた。

カステラに合わせるならお飲み物は?
ミルク・・・これはたまりません。

でも焼きたてなら、コーヒーが合うかな。
文明堂をはじめカステラを作っている工場の皆様にとってはこれからは暑く辛い時期。
でもこんなふうに楽しそうに買いに来る老若男女のために、これからもおいしいカステラを期待しております。

美食家 モネ

2006-07-03 18:24:19 | ワインのまわり
近所に公共の美術館が完成した。真っ白な外観。入ってみると、大きな箱。この中に展示室をアレンジして作れるよう、工夫されたコンパクトな造り。天井も高く、開放感のある空間。

お話を聞きに行ったのは、「モネの作品と人生について」。

「モネの食卓」という本を抱えて参加した。
様々なモネの作品をスライドで見ながら、彼の人生を追った。専門の先生のコメントを聞きながらなので、非常に有意義な時間。
午後の優雅なヒトトキ・・・シャンパーニュがあったら最高だったかも。

印象派の巨匠クロード・モネ(Claude Monet,1840~1926)は、晩年、セーヌ河沿いの小さな村ジヴェルニーに自宅とアトリエを構えた。
以前、思い立ってパリからジヴェルニーに行き、その自宅を見に行ったことがある。
生涯、芸術に対して探究心を持ちつづけたモネは、食に対してもこだわりをもち、旬の素材そのままの味をいかしシンプルで庶民的なお料理を好んでいたという。妻アリスは、そんなモネのためにお料理の腕をふるった。
これがアリスのレシピノートのひとつ。



アリスがモネのためにつくった料理をレシピとしてまとめた本がフランスで出版されている。それを吉野建シェフが監修して出来た本が「モネの食卓」というわけである。


読んでいると、その美食家っぷりは素晴しい。

モネは当時の印象派を代表する画家たちと、食でも教養を磨いていたというのだからなんともゴージャスなイメージ。でも実際は、高級な食材をむさぼっていたというより、周りにある季節の食材をたっぷり堪能していただけなのだ。本を読んでそう実感できる。絵を描き、食べる。それがモネの自然体。

もっともっとアリスマダムのレシピが知りたいな。