とあるセミナーに参加。
主催者はブルゴーニュはサヴィニー・レ・ボーヌからいらしたドメーヌの方。
試飲したのはこの4種の赤ワイン。
このワイン達、何が違うのでしょう?
じつはこの4種、醸造過程での何かの割合?が違う。
ではもうひとつ質問。
赤ワインの造り方は?
「えーと、収穫したブドウを選果して、徐梗、破砕して…アルコール発酵をします」
私もこのように以前学んだ。
でもこの生産者にとっては不正解な答え。彼らは除梗しない。除梗とはブドウの果実がついている茎、梗を取り除くということ。
このドメーヌでは全梗のまま発酵をするとのこと。聞いただけでエグ味が残るワインが出来そうだ。
でも実際、この全梗発酵を伝統的に行っているドメーヌは他にもある。
ロマネ・コンティ、ランブレイ、ラブロー、ドゥジャックなど。みなブルゴーニュの大御所たちだ。
全梗発酵のメリットは、
①発酵が均一に行われる。
②発酵が長引き、これにより芳香が豊かになる。
③タンニンや骨格がしっかりし、それに酸が加わった仕上がりになる
④ブドウが搾り易い、など物理的な利点がある
とのこと。
ではデメリットは?
①エグ味が出る
②ピノ・ノワールの繊細さが欠けてしまう。
③梗の水分のせいで色が淡くなる。アルコール度も下がる。
④地中に残存するカリウムのせいで酸を下げてしまったりする。
、などだそう。
曰く、全梗発酵で造る場合、とても手間がかかる。ちゃんと造らないとデメリットの部分が強調されたワインが出来てしまうそうだ。
要するに、「ナマケなければよいワインができる」ということだ。
こうして出来たワインは、若いうちはタンニンが目立つけど、老いて放つ芳香は素晴らしい。
逆に多くの場合のように、除梗100%で造られたワインは、スィートでリッチ、グラマラスな仕上がりになることが多い。新世界ワインが目指して止まないタイプのワインだ。
で、試飲してみると…。
ヴィンテージは全て2001年。うち3種はブルゴーニュのもの。それぞれ除梗100%、50%、0%のラインナップ。あとはローヌはクローズ・エルミタージュ、シラー種で除梗0%のもの。
若いせいか、全梗発酵のワインはフレッシュな香り、食用ブドウの皮のような後味、色も薄い。同じワインで老いたものも試してみたかったかも。
50%のものは土、スパイス、ベリーの果実の香りがし、ブルゴーニュ・ピノのバランスの良さを予感させるが、酸がまだよく溶けてないし、エグ味も残る。
100%除梗のものは香り豊か。カシス、ドライプルーン、黒塘の甘みさえかぐわしい凝縮感。口に含むと酸は落ち着きを見せ、フラットな仕上がり。なるほど説明通りといった味。
面白かったのは全梗発酵させたシラー。この品種は100%除梗があたりまえ。とにかく香りがスゴイ。もともと「むせるような香り」と表されることが多いのがこの品種。青臭くて、鼻につく酒臭、獣や黒いベリー、白胡椒までバラエティーに富んだ香り。が、咽を通すと意外にバランスがよく、ドライプルーンのこっくりとした甘みが印象的、なんとも言えないパワフルさ。特にこのワインは熟成に堪える素晴らしいワインらしく、機会があれば是非もう一度飲みたいと感じた。
せっかくの機会なので、セミナーの終わりに聞いてみた。
「欧圏でのワイン余剰について問題になっていますが、身近に感じますか?」
「はい、切に感じます」とのこと。
80年代には、ワインは簡単に売れたそう。ドメーヌが営業に出るなんて必要はなかったが、今は状況が違う。日本にさえ、様々な生産者が出向いてくる。
仏国内でさえワインの消費が落ち込んでいるのに、畑の運営も厳しいとのこと。
日本の年金と同じように、小さな畑の持ち主には多くの税金が科され、負担は増えるばかりだそうだ。
また逆に、付近に生産者が増えていることも、ワイン余剰に関係しているみたい。
皆がブルゴーニュでワイン造りをしたいのだ。
最近では、「どうやったらヴィニロン(ワインの造り手)になれるか?」
などどというHOW TO本まで出版されているそうだ。
質問がもうひとつ飛んできた。
「こんなご時世でも、なんで全梗発酵という手間のかかる造り方を続けるの?」
「先代からワインの造り方をこうやって教わったから・・それだけ」
うーん、That' burgundy、これぞブルゴーニュ。・・・シブイです。
その伝統がいつまでも続きますように。
主催者はブルゴーニュはサヴィニー・レ・ボーヌからいらしたドメーヌの方。
試飲したのはこの4種の赤ワイン。
このワイン達、何が違うのでしょう?
じつはこの4種、醸造過程での何かの割合?が違う。
ではもうひとつ質問。
赤ワインの造り方は?
「えーと、収穫したブドウを選果して、徐梗、破砕して…アルコール発酵をします」
私もこのように以前学んだ。
でもこの生産者にとっては不正解な答え。彼らは除梗しない。除梗とはブドウの果実がついている茎、梗を取り除くということ。
このドメーヌでは全梗のまま発酵をするとのこと。聞いただけでエグ味が残るワインが出来そうだ。
でも実際、この全梗発酵を伝統的に行っているドメーヌは他にもある。
ロマネ・コンティ、ランブレイ、ラブロー、ドゥジャックなど。みなブルゴーニュの大御所たちだ。
全梗発酵のメリットは、
①発酵が均一に行われる。
②発酵が長引き、これにより芳香が豊かになる。
③タンニンや骨格がしっかりし、それに酸が加わった仕上がりになる
④ブドウが搾り易い、など物理的な利点がある
とのこと。
ではデメリットは?
①エグ味が出る
②ピノ・ノワールの繊細さが欠けてしまう。
③梗の水分のせいで色が淡くなる。アルコール度も下がる。
④地中に残存するカリウムのせいで酸を下げてしまったりする。
、などだそう。
曰く、全梗発酵で造る場合、とても手間がかかる。ちゃんと造らないとデメリットの部分が強調されたワインが出来てしまうそうだ。
要するに、「ナマケなければよいワインができる」ということだ。
こうして出来たワインは、若いうちはタンニンが目立つけど、老いて放つ芳香は素晴らしい。
逆に多くの場合のように、除梗100%で造られたワインは、スィートでリッチ、グラマラスな仕上がりになることが多い。新世界ワインが目指して止まないタイプのワインだ。
で、試飲してみると…。
ヴィンテージは全て2001年。うち3種はブルゴーニュのもの。それぞれ除梗100%、50%、0%のラインナップ。あとはローヌはクローズ・エルミタージュ、シラー種で除梗0%のもの。
若いせいか、全梗発酵のワインはフレッシュな香り、食用ブドウの皮のような後味、色も薄い。同じワインで老いたものも試してみたかったかも。
50%のものは土、スパイス、ベリーの果実の香りがし、ブルゴーニュ・ピノのバランスの良さを予感させるが、酸がまだよく溶けてないし、エグ味も残る。
100%除梗のものは香り豊か。カシス、ドライプルーン、黒塘の甘みさえかぐわしい凝縮感。口に含むと酸は落ち着きを見せ、フラットな仕上がり。なるほど説明通りといった味。
面白かったのは全梗発酵させたシラー。この品種は100%除梗があたりまえ。とにかく香りがスゴイ。もともと「むせるような香り」と表されることが多いのがこの品種。青臭くて、鼻につく酒臭、獣や黒いベリー、白胡椒までバラエティーに富んだ香り。が、咽を通すと意外にバランスがよく、ドライプルーンのこっくりとした甘みが印象的、なんとも言えないパワフルさ。特にこのワインは熟成に堪える素晴らしいワインらしく、機会があれば是非もう一度飲みたいと感じた。
せっかくの機会なので、セミナーの終わりに聞いてみた。
「欧圏でのワイン余剰について問題になっていますが、身近に感じますか?」
「はい、切に感じます」とのこと。
80年代には、ワインは簡単に売れたそう。ドメーヌが営業に出るなんて必要はなかったが、今は状況が違う。日本にさえ、様々な生産者が出向いてくる。
仏国内でさえワインの消費が落ち込んでいるのに、畑の運営も厳しいとのこと。
日本の年金と同じように、小さな畑の持ち主には多くの税金が科され、負担は増えるばかりだそうだ。
また逆に、付近に生産者が増えていることも、ワイン余剰に関係しているみたい。
皆がブルゴーニュでワイン造りをしたいのだ。
最近では、「どうやったらヴィニロン(ワインの造り手)になれるか?」
などどというHOW TO本まで出版されているそうだ。
質問がもうひとつ飛んできた。
「こんなご時世でも、なんで全梗発酵という手間のかかる造り方を続けるの?」
「先代からワインの造り方をこうやって教わったから・・それだけ」
うーん、That' burgundy、これぞブルゴーニュ。・・・シブイです。
その伝統がいつまでも続きますように。