TASTING CUBE

Wine by your side…我が家は毎晩がワインサロン。最近のマイブームはBOX WINEです。

松之助NY

2007-05-28 12:40:24 | 世界の料理スクール
タイトルはアップルパイなどを販売するお店の名前。
代官山と京都に店舗を構えている。
オーナーは平野顕子さん。で、タイトル写真に写っている本の執筆者。

松之助というケーキ店らしからぬ名前は、能装束の匠であった平野さんの祖父の名前に由来してつけたとのこと。


平野さんは子育てが一段落してからアメリカ留学をし、そこで美味しい米国のスイーツに出会ったのをきっかけに、ここ日本でお店を開いた。
そんなお話に以前から興味があって、本を読んで、それからパイを買いに代官山へ。

代官山のヒルサイドテラスのお店は光が差し込んで素敵なカフェ。ショーケースには手作りのパイがホールごと、またはカットして並んでいる。
会いたかったヒトにやっと会いにきた、そんな嬉しい気持ちでショーケースを覗いてしまう。

お店のスペシャリテ、「ビッグアプルパイ」は今のシーズンは販売していない。
美味しい紅玉を使っているので、通年提供できるわけではないらしい。

パイを購入するとシンプルな箱にいれて、シールをしてくれる。



今回はコチラのサワークリームアップルパイを購入。

スライスしたアップルがシャリシャリとした歯ごたえ。甘みは抑えられていて、品種の特徴である甘酸っぱさが心地よい。パイの生地はしっとり、さっくり。
テイクアウトして冷蔵したり時間がたったりすると、どうしても水分を含んでしまうから、できればカフェで頂くのがイチバンかな・・。


松之助NYの焼き菓子達は、平野さんがニューイングランド地方から帰国後、バーモント州アップルパイコンテスト優勝者であるシャロル・ジーンのレシピを使用して自宅で開いたデザート教室のメニューの中から選んだ。加えて、毎年ニューヨーク州ハイドパークにあるCIA(料理学校)に通い学んだ中から選んだものもあるとのこと。


このCIA、実は数年前に念願かなって訪問したことがある。
NYはマンハッタンから、CIAのあるハイドパークまで電車で3時間くらいだったかしら。
米国で現在活躍してるシェフの多くがこの料理学校を卒業している。

ある男性がCIAを卒業するまでのドキュメンタリーを描いた分厚い本を読んだことがあるが、それはそれは壮絶な日々が描かれている。

CIAのカフェで訪問時食べたのがコチラのアップルパイ。

見て想像できる通りのなかなかの美味しさだった。
でもココに来なきゃ食べられないっていう味ではなかったかな・・。

あとになって松之助のアップルパイもこのCIAのアップルパイレシピを元にしてると聞くと、偶然の重なりにドキドキしてしまう。
もしかすると、私が食したパイかしら・・。




で、今回購入したもう一つのパイはチェリーパイ。

チェリーパイって何気に好物なのだ。
でもなかなか食べる機会がない。

米国のスーパーで売ってる、チェリーの缶詰を使用した大きなチープなパイもジャンキーで楽しいけど、本格的に仕込んだホンモノのチェリーフィリングは強調されないチェリーの酸味がたまらない。余談だが、色といいつぶれた形といい、アメリカンチェリーってホントに梅干に似てる。

とにかく、久しぶりに再開するお味でした。

ちなみにこういうパイ類を頂くときは、オーブンなどで焼いて食べるのが私の好み。
冷蔵庫で冷えたパイは、クラストに丹念に入っているバターの香ばしさが感じられない。加えて、フィリングの果肉の凝縮された甘みも抜けちゃうから。



料理人とは背中に履歴を背負って一皿を提供するけど、今回もなんだか同じニオイをかんじてしまった。

平野さんの人生ストーリーを思い浮かべながら頂くパイは、他のパイと比べて贔屓してしまう感じ・・・。

プロヴァンスからの便り

2006-06-06 01:46:23 | 世界の料理スクール
プロヴァンスに行ってきました。

と言いたい・・・のだが、行きたくても行けないのが現実。
「いらっしゃいな、来ない?今年はセザンヌのエキシビションがはじまるのよ」
と招いてくれるのは、南仏でお世話になったマダム。

彼女との付き合いは、私が彼女のオウチにステイして、生徒としてお料理を教えてもらったのがきっかけ。といってもお食事は3食付で、日中はあちこち連れて行ってくれて、ディナーを一緒に用意して楽しむ、というもの。南仏の日常を体験することができる。

南仏はエクス・アン・プロヴァンス。マルセイユ空港から30分くらいのところで、数年前にはTGVの駅も出来た。太陽、緑、鳥のさえずり、そして静寂のある街。小さな山や丘が続く素敵な場所。ゴッホやセザンヌなど、多くの芸術家はこの土地を愛し、作品を残している。


彼女のオウチは丘を少しあがったところにあって、お庭もたっぷり広い。ハーブやラズベリー、苺、イチジクなどが栽れる。朝には手作りのコンフィチュールが何種類も用意され、コーヒーとともに朝の光と爽やかな一日が用意される。マダムはお食事ごとにテーブルをセッティングをしてくれる。それが毎回違って本当に素敵。決して気取ってるわけではなく、それが日常なのだ。
ランチはプールサイドの木陰で。重たくないお食事に、ロゼを用意してくれる。これまた最高に気分がいい。



オウチのなかも吹き抜けでとても素敵。キッチンはマダムが必要なものをすっきりと収納してある。掃除もしやすく使いやすい。こんなキッチンならお料理も楽しいわけだ。



ある日の夕食前、シェーブル・チーズが好きな私のリクエストで農家に連れて行ってもらった。
フランスはなんと自給率120%、素晴しい農業国だ。エクス・アン・プロヴァンスも当然地産物にあふれ、車で30分圏内に、ワイナリーやらフロマジュリーなどいっぱいある。マダムも私のプッシュで初めて行くところだったりするくらい。
で、山羊農家。少しまえに連絡して、突然伺っても、存分に案内してくれる。山羊の納屋ではまさにお乳を搾っている忙しい時間だった。搾りたてのミルクを頂いた。マダムは苦手なようだった。フレンチってチーズは好きでも山羊のミルクは飲まないらしい。意外。
納屋の裏ではチーズを造っている。小さな店先では好みの熟成具合のチーズを買うことができる。今夜のディナーのために熟成具合の異なるチーズを3つ購入、こういうお買い物って楽しくて仕方がない。



エクス・アン・プロヴァンスは実はローヌにも近い。といっても車で2時間くらいかしら。これは特別にお願いして連れて行ってもらった。AOCはジゴンダス。いくつかワイナリーを回ってみた。予想以上に力強い、バランスもよい。これには感激。街はなだらかな山の途中にあって石造りの壁や家に囲まれてひっそり。太陽は強い。立派なワインが出来るわけだ。マダムも友人に贈るワインをじっくり選んで購入。
試飲を繰り返し、何にするか相談しながら本気で選ぶのってワイン好きにはシアワセな時間。



晴れた午前中、マルシェ=市場に買出しへ。色とりどりのお野菜、チーズ、パン、オリーブ。お花屋さんの美しい花たちがまぶしい。これが南仏なのだって感じる。
「いつもの無愛想なチーズおじさんのところへ行きましょう、美味しいの」と、連れて行かれると、本当につっけんどんなムッシュが登場。淡々とチーズを売ってくれた。
自分の造るチーズに自信があるのだ。造り手から直接手渡されると、有難みを実感する。


マルセイユの市場にも寄り、今夜料理するブイヤベースのために様々な魚を購入。それはそれは何種類もだ。沖縄の魚のようなカラフルな魚達に初対面。
ブイヤベースはこの地方のご当地料理。日本でうたうそれとは、材料、造り方、食べ方もまったく違った。合わせるワインもね。



今日、プロヴァンスから届いたのは、実はマダムからの「元気です」というお便り。
昨年クリスマスカードを贈って、次に連絡が来たときは思いもよらぬ、病気を発病したとのお知らせだった。それからまた手紙を書いて・・・。普段はPCで連絡が取れるけど、入院で使えないだろうから、エアメールで様子を伺っていた。
やっと最近自宅で普段の生活に戻り、なんとお料理教室も復活したとのこと。PCで連絡んも取れる、本当に嬉しかった。何せ彼女はパワフルにヒトをもてなすワンダーウーマン。彼女が弱々しいのはできれば見たくないのだ。
まだ完全復帰ではないとのこと、お料理も一日の中で教えている。



これからはますますプロヴァンスが美しい季節。もし機会があればエクス・アン・プロヴァンスへ行ってみて欲しい。そしてマダムのお家でお料理を学んでみては?男性のゲストもウェルカムなはず。
リンクのHPを参照あれ。






お料理教室 春 前半

2006-04-19 18:35:40 | 世界の料理スクール
お料理を習いに行ったことはありますか?

私もお料理は大好き。いままであちこち参加してきた。近年は、お料理教室に行くのに条件がある。①デモンストーレーションだけででなく実践できること。②料理のレシピは教えるヒトが作ったものであること。③時間は夜、ワインがついていること。
この三つを満たしていると、一様ではないが、他に参加するヒトも同じようなヒトが集まる。

久しぶりに参加したのは、フレンチレストランで開催されるお料理教室。シェフがじきじきにレクチャーして下さる。今回は自分での実践はなかったが、以前から食べに行きたいと思っていたお店でもあったのでこだわりは譲ることに・・。譲ってもあり余る素敵な会となった。

テーマは、「春の魚介とお野菜」。
まずはこのプレート。この旬のお野菜の見物から。春しめじ、きぬがさ茸(国産&欧産)、行者にんにく、ふきのとう、カタクリの花。シェフが直々に採取してきたモノだそう。


このきぬがさ茸は大きさもまちまち、香りも国産、欧産としっかりと違いがある。そして、わかりますか?手前の大きいのは春しめじ、直径10cmはある。このベルベットのような美しいかさの照り。思わず見とれてしまう逸品。



アミューズは、「海老と行者にんにくのジュレ」。
ジュレはお野菜の出汁に行者にんにくを漬けたもの。行者にんにくは生の方がよいエキスが出るんだそう。さき程の巨大な春しめじのBABYがちょこんと乗ってかわいらしい。


合わせるワインはなんと、独はリースリングのゼクト。3年瓶熟で、シャンパーニュと同じ製法で作られている。酸味と果実味のバランスが爽やか、飲み口がさっぱりしているのがなかなかオイシイ。ジュレとぴったり♪



前菜は、「赤貝と独活のサラダ、エストラゴンのソース」。
この赤貝のピンクとエストラゴンのグリーンが美しいこと。ビジュアルだけでなく、隠し味のオレンジが赤貝の臭みを消し、エストラゴンのすがすがしいソースと、独活のさっぱり感が絶妙なマッチング。エストラゴンは細かくして卵黄などとまぜてソースに。木の芽で代用もOKとのこと。まさに日本料理の「木の芽あえ」。ほーぉ、本当にレシピも同じだもの。


合わせるワインは、同じく独のバーデンは、ピノ・グリージョ。なかなか飲む機会のない一本。さらさらっとして、飲みやすい、爽やかな酸味とすっきりした後味。お食事を引き立てる演出ワインという印象。



続きは後編にて♪

The Institute of Culinary Education

2005-10-24 23:10:41 | 世界の料理スクール
マンハッタンのW23ndにある料理学校。参加したい単発クラスはいつも満席で、なかなか取れない。せっかく取れたのに仕事のスケジュールが変わり、キャンセルしたことも。このクラスはパートフィロー(パイ生地のようなもの)をベースに前菜からデザートまで作成するというもの。以降にも説明していくが、米国人は利便性を常に考える。食の世界もそう、手間のかかることをどれだけスマートに短縮していくかが常に追求される。楽しく手早く作業を進めるために、あらゆる道具たちが活用される。慣れると、意外に素敵な考え。NYのレストランで成功するのは、これを追及し、素材とサービスの提供のタイミングを逃さないお店だと思う。で、スクールでは、デモンストレーションの後、実践。そして試食、当然ワインとともに。この文化が好き。これを広めたいのだ、食事を楽しむために、ワインを欠かさない。このクラスでは、イタリアで料理を教えているマダムと出会った。息子を訪ねてNYに来ているとのこと、今でも連絡を取り合っている。