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ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

ブルガリアの名花 ゲーナ・ディミトローヴァ

2009年11月02日 | オペラ
Ghena Dimitrova - Nabucco - Salgo gia


もう昔になりますが、ミラノスカラの二度目か三度目かの来日で、初日を飾ったのがヴェルディ「ナブッコ」でした。
イスラエルをめぐる中東の争い、覇王ナブッコの娘、アビガイッレは好戦的な女丈夫だが、自分は王女でなく奴隷の娘であることを知ってしまう・・・父である王ナブッコに見捨てられる前に復讐を誓う、この難役を歌ったのがブルガリアのドラマティックソプラノ、ディミトローヴァでした。

高音から低音まで緊張感があり、舞台姿もりりしく、まさに英雄、声も迫力に満ち、ただ強いだけでなく二度目の繰り返しはピアニッシモで歌うなど、1980年代における世界最高のドラマティックソプラノの威容に感心しました。

でも昔はこの難役を歌うのは、カラス、ステッラ、がいたのですね。
そしてバリトンはカップッチッリだったら最高だったのですが・・・ブルゾンでした。ブルゾンも素晴らしかったです。そして「行け、わが想いは黄金のつばさに乗りて」の合唱、指揮のアッバードはアンコールに応え、会場はその雰囲気に息をのみました。今は亡き、ディミトローヴァの名唱です。

☆動画の字幕はフランス語ですが、歌唱は原語であるイタリア語です。
ディミトローヴァはメッゾのような音色のドラマティックソプラノ、リリコ・スピントのアンナ・トモワ・シントウと並んで名高き「ブルガリアンヴォイス」、ブルガリアンローズの国ですね。琴欧洲の祖国でもあります。
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完全無欠、フィオレンツア・コッソットの全盛期

2009年11月02日 | オペラ
Fiorenza Cossotto - Don Carlo - O Don Fatale


シミオナートがメッゾ・ソプラノの女王としてスカラに君臨、やがて「世代交代」を全く異なったタイプの新人メッゾ・ソプラノ、それもシミオナートの代役でデビューしたフィオレンツア・コッソットという「研ぎ澄まされたダイアモンド」のような硬質の美声と圧倒的な声量を誇るメッゾが台頭、新旧の名メッゾ・ソプラノはスカラでダブルキャスト(なんて豪華な!)を組みながら競い合ったのです。

凛として気品をたたえたシミオナート、そして激しい気性と熱情のかたまりであるコッソット、このふたりが抜きんでて、ほかはかすんでしまったのです。

ではシミオナートと同じ舞台でヴェルディ「ドン・カルロ」のエボリ公女のコッソットの華麗な歌唱をどうぞ。

私はシミオナートを聴いて数年後、コッソットの初来日の公演を聴きました。
美しい舞台姿、そびえ立つドラマティックな声はオーケストラや合唱を抜き、権力を誇る女性が挫折し悲嘆にくれる場面は、歌唱のすべてが完璧で、それでいて魅力的、完全に降参しました。特に権力を誇示し、プライドの高い女性が、愛に敗れ、
後悔と悲嘆にくれる姿は、それ以来、彼女を超えるメッゾはない、と思いました。
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20世紀の名メッゾ・ソプラノ ジュリエッタ・シミオナート

2009年11月02日 | オペラ
O don fatale - Don Carlo Contest - Giulietta Simionato

シミオナートが歌うヴェルディ「ドン・カルロ」からエボリ公女のアリアです。
天性の美声と卓越した音楽性・知性を兼ね備えながらも、長く脇役に甘んじなくてはならなかったのは、跋扈していたファシスト政権が実力を度外視した「お抱え歌手」を優先的に歌わせたせいでした。もちろん、トスカニーニとシミオナートは反ファッショ、トスカニーニは暴力も受けたほどですが、天井桟敷がだまっていませんでした。お抱え歌手たちは、ファシズム崩壊後、追い出されたのは言うまでもありません。そして、ジュリエッタ・シミオナートの実力が注目され、トスカニーニは彼女の声に感動し、涙を流しました。
戦後、やっと彼女は主役に・・・当然のことですが、その時40歳だったのでした。その味わい深い芸術は、凛としていて気品があり、指揮者のカラヤンも彼女に魅了され、彼女が引退したとき「シミオナートでないエボリ公女なんて・・・」と嘆いたといいます。
ゆったりしていて、いつも余裕を感じさせる人間としての大きさを持っていました。オペラの黄金時代の立役者でした。
私は子供時代、はじめてイタリアオペラの実演に行き、あまりの素晴らしさに息をのみました。シミオナートの名演を聴きました。
3000人のホールいっぱいに響き渡る美声は生涯忘れないでしょう。
彼女は今年99歳、お元気です。
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