ブダペストについては、多くを語る必要はあるまいし、旅行ガイドブックに任せる方が得策だろう。
本当の気持ちとしては、古刹を巡り歩く旅人にとっては、ブダペストの教会は大き過ぎ、古い物もあまり残って
いないので、興味も薄いことはいがめない。
そこで、ガイドブックには、あまり出て来ない教会を以下、三つ紹介しよう。
<九十九番札所; Nagyboldogasszony Plébánia (聖母マリア司教会)教会>
遠いローマ時代の頃、ドナウ河畔のこの場所に城があり、城の南側に古い聖母マリア礼拝堂があったのが、
この教会の始まりである(1200年代)。 ブダとペストで最も古い教会である。
ジグモンド王の時代(1400年代)に、新しい三層内陣、ぐるりと周囲を回れる祭壇、対角線リブのアーチ天井を
持った教会が建てられた。
マーチャーシ王の時代(1480年代)に、ゴシック様式の礼拝堂と南側に新しい内陣を追加した。
トルコ占領時代は、臨時的にモスクとして使われていた。 それはペスト側に唯一残ったキリスト教会であった。
トルコの撤退により、内部の遺物はすべて持ち去られ、教会は空となり廃墟化してしまった。
1686年に Széchenyi György 大司教が再建、幸いなことに、建物は破壊されていなかった。
内陣と正面部分(バロック様式)は、1725~1739年に改築した。 その後、1946~1947年の改修したものが、
今日見ることのできるものである。
エルジェーベート橋のたもとに佇む教会(白くライトアップされている)
教会の間取りと歴史パネル 西側からの教会外観
教会正面 北東側からの教会
正面飾り彫刻 窓(ゴシック様式)
西側からの教会
北側(祭壇側)下部 北側(祭壇側)上部
主内陣 翼内陣
主内陣(入口側)
<番外; Szt. Margit (聖マルギット)教会>
教会は、1920年に建った、まったく新しいものである。
何故、取り上げたかは、「ブダペスト郊外の教会(1)」で掲載した Zsámbék (ジャーンベーク)教会
のコピーであるからである。
István Möllers は、13世紀に建てられたプレモントレ修道会のZsámbék 教会を復活させるために、
この教会を建てる際のモデル(デザイン、工法)とした。 建物はネオ・ロマネスク様式と呼ばれている。
教会は1923年に独立司教区となり、活動を始めた。
教会のロケーションは、近代的に生まれ変わった西駅付近にあり、教会の立派さからブダペストの
新しいシンボルになりつつある。
主内陣(祭壇側) 主内陣(教会入口側)
<百番札所; Szt. Anna (聖アンナ)教会>
ロケーションは、Batthyány (バッチャーニィ)広場、国会議事堂の対岸と云えば判りやすい。
この付近には、いくつかの教会が点在している。
バッチャーニィ広場より国会議事堂を望む
聖アンナ教会は、1740年に Hamon Kristóf の計画で建築が始まり、1761年に完成した
カトリック教会(イエズス会)である。
ブダペストの中では、最も美しいバロック教会建築と評されている。
その後の200年は、戦争、水害(ここはドナウ川がよく決壊した)、地震に見舞われ続け、
老朽化が激しく、安穏な教会の歴史ではなかったが、1970~1984年には改修され
現在に至っている。
北側から見た教会
壮麗なバロック様式の内陣と天井のフレスコ画
祭壇(大理石と金箔のレリーフ) 側壁
西側門 聖アンナ像
これで、「ブダペスト市内の教会」はお終い。