撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ハンガリー東部エゲルの教会スケッチ

2020-09-24 01:32:25 | 海外生活

 ハンガリーの最高峰マートラ (Mátra) 山(898m)とブック (Bükk) 国立公園に囲まれた

峠の城下町エゲル (Eger) は、国内でも10指に入る観光地と言えるであろう。

何といっても山のすそ野に広がる葡萄畑は、ワイン作りに最適な環境で銘柄のBekervér

ワインは知名度No.1である。 

それと歴史(教会)と温泉好きな人には、充分満足できる地域となることだろう。

 

< エゲルの中央広場 (Döbó istván ter) >

  

  エゲル川を渡るとエゲル城はすぐ鼻の先、右の教会は聖アンソニー教会で1771年の

 創建であるので中世の教会とは言い難い。

 エゲル城は1552年にオスマントルコ軍の襲撃に対して、38日間の死闘の末、1596年

 まで守り抜いたが、その後の91年間はオスマン帝国の支配となってしまった。

 この史実は学校の教科書でも記載され、子供達への育成において国民の誇りと励みを

 培って来たと紹介されている。 学校の遠足でも最も多い町だと云われている。

 先程のワインのBékervér は “雄牛の血” と訳され、ハンガリー兵士が士気を高める為に

 ワインを飲んで戦っていたので、トルコ兵は恐れをなし、38日間も持ち堪えたと

 いう逸話もある。

 

● 城側から見た中央広場とエゲル川

    

   この風景を見る度に岐阜県にある高山市の街並みと似ている気がするのは自分

  だけだろうか?

   向こうに見える尖塔はオスマン帝国が残していったミナレット (Minaret) と呼ば

  れるモスクの塔である。

 

<ロケーション>

 今回の中世の教会スケッチは、マップの中で赤丸で印した位置でエゲルの街中では

 なく20kmほど離れた郊外にある。

  尚、教会の詳細は、本ブログの2013/03/24,25 に投稿しております。

 

◆ フェルデブロー (Feldebró) カトリック教会

  

  11世紀の創建で、オリジナルは祭壇が5つもあった大きな教会である。

  13世紀と15世紀に2回改築されたが、オスマン帝国の占領時代は廃墟になって

 いた。 1745年に外壁は保存するように残し、内部はバロック様式で再建した。

 

 ● 残された外壁

 

 ● バロック様式で再建された内陣と地下にある霊廟の壁にあるフレスコ画

    

         11~12世紀のアルパード時代の君主ファミリーの霊廟である。

 

 ● ローマ帝国時代の墓地  ... 近所にほとんど完全な形で残っている(必見)

  向こうに見える教会がフェルデブロー教会で目視出来る近さ。

 

◆ タルナ・聖マーリア (Tarna Szent Mária) カトリック教会

  

  教会は10~11世紀に王子の墓地として造られたものだと推定されている。

  (10世紀頃となると歴史があやふやなってくるのだろう)

 

 ● 祭壇側から見た教会と地下霊廟の入口(危険防止の為、公開は中止中)

    

 

 ● 内陣  ... 1880年代にネオ・ロマネスク様式で改築され、塔も追加された。

 

◆ ベーラパートファルヴァ (Bélapátfalva) 修道院教会

  

  修道院は1232年にベネディクト派の修道士の為に建立され、13世紀初めに

 アルパード王朝の君主ラスロー4世によって破壊されたが、14~15世紀に

 かけてゴシック様式で再建された。

 

 ● ファサードのバラの窓(ゴシック)と入口門(ロマネスク)... 素晴らしい調和感

 

 ● 内陣(祭壇側と入口側)

    

 

 ● ブック (Bükk )国立公園の入口駅

  長閑なサルヴァスコー (Szarvaskő) 駅

 

 修道院はブック国立公園の森の中

 

◆ ボガーチ聖マールトン (Bogács Szent Márton) 教会

  オリジナルの教会としては 1248年に聖Győrgyを祀った教会がこの場所にあり、

 14世紀に再建された。 1958年に再建された時にローマ時代を復古させる為に

 外観を石造りで復活させた。

 

  これにて「ハンガリー東部エゲルの教会スケッチ」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。

 

 

 

 

  

        

 

 

 


夏と秋の狭間で草花スケッチ

2020-09-16 11:44:01 | 海外生活

 近所の湖畔で見つけた、去り行く夏と秋を実感させる草花をスケッチしてみました。

連日の夏日のぶり返しで、夕陽ガ丘(自分で勝手につけた名称)は、毎日違った顔の

夕焼けをみせてくれている。

近年、雑誌でも当地(バラトンの高台という名で)が紹介されたこともあり、週末には

訪れる人がめっきり増えたものである。

                                                                                      Aug. 22. 2020,   p.m. 18:21

 

 < Sep. 11. 2020,  p.m. 17:33 >

 

   < Sep. 12. 2020,  p.m. 17:55 >

 

 < Sep. 13. 2020,  p.m. 17:44 >

 

  左(西)を振り向けば ..... ウィーン方角                             Sep. 13. 2020 p.m. 17:44

 

 < Sep. 14. 2020,  p.m. 17:52 >

 

 右(北)を振り向けば ..... ブダペスト方角                       Sep. 14. 2020  p.m. 17:28

 

1.行く夏を惜しむ草花

 ● アザミ

   多くの花びらは綿帽子状態になってしまい、風に乗って次の場所を求める。

     

 

 ● ホオズキ(鬼灯)もどき

  昨年は野原に一輪だけ成っていたものが、今年は数輪に増えていた。

    「鬼灯は実も葉もからも紅葉哉」(蕪村)

    「鬼灯の口つきを姉が指南哉」(一茶) 

  

 

● マリーゴールドとシオン(紫苑)

   花期は長かったが、もうすぐ終わる頃(湖畔の教会の庭にて)

  

 

 ● 洋菊

    他の教会の境内にて(お墓に供えられることが多い)

  

 

2.秋を感じさせる草花

 ● ガマズミと名の知らない花

    二つは共に野原に咲き、右がガマズミと思われる。

  

 

 

 可憐な花ながら名も知らず( .... 御存じの方いましたら教えて下されば感謝)

 

 ● 茅(ススキ)

    秋の七草の一つ

  

 

 ● 葡萄

    収穫時期の最盛期、バラトン湖付近は白ワインが特産)

  

 

  これにて「夏と秋の狭間で草花スケッチ」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。

 

 

 

 


ハンガリー東部Gyöngyösの教会スケッチ

2020-09-08 15:15:52 | 海外生活

 ブダペストから国道3号線あるいは頭に3の付く道路を使えば、又は鉄道ならば

ブダペスト東駅が概ね東部地方へ向かうルートである。 そのまま真っ直ぐ向かえば

ウクライナかルーマニア国境というイメージで間違いないだろう。

これから先は古きハンガリーを彷彿させる教会が多く残っていると耳にしている。

 

 ブダペストから90Km ほどの所に、ハンガリーで最も高いマートラ (Mátra) 山脈の

麓にギュンギュシュ (Gyöngyös) という古くからの美しい街があるが、その近辺には

長閑なハンガリーらしい風景に包まれた中世の教会が数多く残っている。

Gyöngyös の街中に13世紀に建立されたフェレンツ教会という中世の大きな修道院を

兼ねた教会があるが今回のスケッチとしては素通りする。

 (尚、教会の詳細は本ブログの 2013/03/23,24 投稿時にUPしております)

                                     Apr. 05 2009

 

<ロケーション>        ....  朱丸は今回言及する箇所

 

  ハンガリーの代表的な古き伝統を残す村として、1987年にユネスコ世界遺産に

 登録されたホッロークー (Hollókő) が近くにあるが中世からの教会ということに

 なると山を下った辺りに点在する。

                                       Jul. 06 2008

 

  向こうにマートラ (Mátra) 山系を含むパーストー (Pásztó) の村付近の景色

 

<スケッチ>

 ● ギュンギュシュ・パタ (Gyöngyöspata) ローマカトリック教会

  

 

 ● パースト・ローリンツ (Pásztó Szt. Lőrinc) 司教教会

  

    手前の建物は民族博物館

 

 ● タルの聖ミハーイ (Tar Szt. Mihály) 教会

  

 

1.ギュンギュシュ・パタ (Gyöngyöspata) ローマカトリック教会

  11世紀には既にこの場所に小さな教会が在ったが、モンゴル軍(タタール人)の

 襲撃によって破壊され、15世紀にゴシック様式で建て替えられた。

 今日の教会の姿は17世紀に聖マリアを祀る為にバロック様式で再建されたもの。

   

 

  17世紀に祭壇に飾られた “イエスファミリーの木” は国内で唯一な物として

 貴重なものとされている。

  

 

 内陣の壁に描かれたフレスコ画は15世紀の興味深いもの。

 

2.パースト・ローリンツ (Pásztó Szt. Lőrinc ) 司教教会

  教会の創建は、12世紀の礼拝堂であったが、13世紀にロマネスク様式で、

 15世紀にはゴシック様式で建て替えられた。18世紀には2度改修されている。

   

 

 正面ファサードにはロマネスク様式の石造り(石像含む)が残されている。

  

 

 内陣(祭壇部)

 

3.タルの聖ミハーイ (Tar Szt. Mihály) 教会

  13世紀後期に創設され、14、15世紀に拡張された。 

  特徴としては半円形の祭壇部が3分割されているユニークな構造。

 

 壁面に残された数多くのフレスコ画

 

4.マートラ・ソーローシュ (Mátraszólós) 教会 .... ローマカトリック

  聖エルジェーベト(アルパード王朝時代の)を祀り、13世紀から14世紀初め

 にかけてゴシック様式で建てられた。 1669年にはバロック様式で再建された。

 塔は1864年に改築。

   

 

 内陣

 

 内陣の壁面に描かれたフレスコ画

 

     祭壇には聖エルジェーベトの絵

   

 

  これにて「ハンガリー東部 Gyöngyös の教会スケッチ」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。

 

 

    

 

 

 


ハンガリー北部の教会スケッチ

2020-09-01 19:02:48 | 海外生活

 ドナウ川の北岸に拡がるブルジョウニィ (Börzsöny) 山脈を西回りで迂回する国道

12号線は隣接する国スロヴァキアに沿って北上することになる。

スロヴァキアに事務所があった日本の友人が時々、使うという路線のようだ。

こんな牧歌的な駅が残っていることに心が癒される。

 

 Kismaros 駅(終点がブダペストの西駅)

 

 ここから振り向くとドナウ川を見越して、14~15世紀に栄華を極めた

 ヴィシェグラード (Visegrád) の砦がすぐそこである。

 

  ブルジョウニィ (Börzsöny) 山脈と云っても標高800m 程度で日本のような山国

 からみたら丘のようなものである。 向こうはスロヴァキア。

                               Jun. 06 2007 撮影

 

 今回の教会は、13世紀頃に鉱山の町として栄えたナジブルジョウニィ (Nagybörzsöny)

にある教会と少し内陸部にあるテレシュケ (Tereske) とノーグラードシャープ (Nógrádsáp)

の教会である。 いずれも外観が美しく内部の壁画(フレスコ画)が素晴らしい。

尚、この地域の他の古い中世の教会(下図のマップに朱丸で示した)は、本ブログの

2013/03/12, 13 でも投稿しておりますのでご参照を。

 

<ロケーション>

 

1.聖イシュトヴァーン教会 (Szt. István templom)

  建国時のアルパード時代のロマネスク様式が残されており、13世紀前半の建立

 と推定されているが明確でない。

<スケッチ>

  

   祭壇側の外壁に12個の人や犬の顔彫刻が飾ってあり、この時代には

  モンゴル人の襲撃が多発しており、モンゴル人を処刑した印として彼等からの

  襲撃を防ぐ目的があったと言われている。

  

 

  顔はたいがい鼻が削ぎ落ちており、威嚇する為という説もあるが、長い風雪で

 劣化したものかも知れない。 ハンガリーも東部地方(トランシルヴァニア地方

 含む)へ行くと古い教会には同じような目的の石彫が見られるがモンゴル人の

 進出ルートと結びつくような気もする。

 

 ● 内陣(祭壇部)

 

2.ノーグラードシャープ教会 (Nógrádsáp templom)

  教会は14世紀の終り頃にゴシック様式で建立され、塔の西側部分にゴシック

 様式の窓を上下に配し、近隣の人達からは「騎兵の塔」の愛称で呼ばれている。

 ローマカトリック教会である。

 

<スケッチ>

  

   タマネギ型の塔は美しく、塔の屋根は Zsindely 方式と呼ばれる中世の教会で

  流行った木を重ねたような作風が特徴である。

 

 ● 内陣(祭壇部)

 祭壇部の側壁に15世紀の教会再建時に描かれた壁画(フレスコ画)がある。

 

 ◆ タイトル「聖イシュトヴァーンの聖母マリアへの宣誓」

 

 

 ◆ タイトル「キリストの磔」(左)と「聖マドンナのガウン姿」(右)

 

3.テレシュケ教会  (Treske templom)

  教会は13~14世紀の間にロマネスク様式で建てられたが、その後15世紀に

 ゴシック様式で、18世紀にはバロック様式で再建された。

 現在の外観は中世の教会からは遠くなっているが、内部や壁には昔の姿を残している。

   

 

 ● 内陣

  ルネッサンス風の説教台は15世紀に再建された時の物で、北壁には

 美しいフレスコ画の一部が残っている。

 

 ◆ タイトル「聖ラスローの伝説」

 

 壁にはプロテスタント教徒が刻んだと思われるカルヴィン派聖書の中からの引用文

が残されているので、昔はローマカトリックとプロテスタントによって使われて来た、

このことが教会の建築様式が時代によって変えられてきた理由であろう。

 

 

<追加>

9月1日と移ろい、我が家の庭から一足先に、夏を終えてしまった花たちをスケッチ。

 ● 合歓の花                         

   

                                                                                                      Jul. 05 2020 最盛期

 

 ● 秋明菊

  

                                                                                                     Jul. 17 2020 最盛期

 

  これにて「ハンガリー北部の教会スケッチ」は、お終いです。

  本ブログへのご訪問、有難うございました。