撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

バラトンそぞろ歩き 古城(1)

2017-11-27 18:18:06 | 海外生活

バラトン湖周辺には、後述のチャートに示す通り、古城が十数か所あるが現在、城の

形を留めているのは4箇所ほどであり、その中の一つであるシグリゲット城を訪ねる。

 写真は対岸のフォニョード (Fonyód) より。 シグリゲット城の高さは、海抜242m。

 

<バラトン湖周辺の古城分布図>     赤丸部が城の形として残っている。

 

1.シグリゲット城 (Szigliget vár)

   13世紀初頭より、モンゴル軍(タタール人)の東からの侵略に備える為、ハンガリー王

 ベラ4世(在位1235~1270)はパンノンハルマ・ベネディクト会に強固な石の城を作る

 ことを命じ、1262年に完成した。

 朝霧に煙る天空の城;(11月中旬、晴天の日が少なく、冬場の霧の多さはバラトン湖の名物)

   当時の城模型と配置図

 

 城の入口に向かう山道

 

左上の突起した壁は、南東塔(1)で3層構造、宮殿(2)と繋がっており、初期からの建物

 

城のヤードの真ん中に雨水を集めて保存していた水槽。 左側は住居跡(11)、右側が

地下に牢獄を備えた西塔(3)と兵舎(8,9)。

 

上の層から眺め下す。 手前の赤レンガ部は地下貯蔵室(7)、右の旗の立っている塔は

1690年頃の落雷によって爆破した弾薬塔(東塔)。 以後、ハプスブルク軍が使えない

ように破壊し、現在に至る。 2013年には観光用の整備が完了した。

 

 半円形のテラス(18)には、大砲(カノン砲)が1530年代に据え付けられた。

 

 半円形の塔(20)は、1530~1540年に庭部分の拡張と強化の為に追加された。

 

なんと言っても、ここの売りは、頂上からのパノラマであろう。晩秋のこの時期はシーズンを

逸した感はあるが......

南東の方角でバラトン湖のランドマークと言われるバダチョニ山越しに湖が眺めれる。

 

バダチョニ山の岩肌(火山による玄武岩の隆起)

 

東の方角は、左がグラーチ (Gulács, 393m)山、右がバダチョニ (Badacsony, 437m)山。

 

北の方角は、セント・ジウルジ (St. György, 415m)山を望む。

 

北西の方角は、ウイヘージ (Újhegy)の尾根が続く。

 

南の方角は、眼下にシグリゲットの村の中心(人口950人)

 

聖母マリア教会 (Szüz Maria neve Temp.);城の麓に、城と同時期の1260年代に、

パンノンハルマ修道院として建てられ、現在の形になったのは1877年。

     質素な小さなローマカトリック教会

  

 

   これで、「バラトンそぞろ歩き 古城(1)」は、お終いです。

 

「バラトン遍路の旅」  http://motsukahu.web.fc2.com

 


リュブリャナの教会

2017-11-09 00:24:58 | 海外生活

  ヴェネツィアからクルマでハンガリーに戻るには、概ね2通りのルートが考えられる。

オーストリアを通るコースともう一つはスロベニアを通るコースである。 美しい街々、景色を通り

抜けるということでは、どちらも甲乙つけ難いコースであるが、今回は後者のスロベニアのコースを

選び、首都であるリュブリャナの教会に立ち寄ることにした。

         リュブリャナ城から市街地の中心、プレシェーレン広場と三本橋界隈を望む。

<ロケーション>

 教会に進む前に、リュブリャナ城について触れてみたい。 オーストリアのハプスブルク家が

1144年に領土拡大を目的に、いままであったスパンハイム家の要塞を破壊し、そこに新たに築城。 

15,16世紀にトルコ軍からの侵略に対して、強化・再建が重ねられ、以後フランス軍からの

占領も経て、1815~1895年に、再びオーストリア・ハンガリー帝国支配となる。第一次世界大戦

後はスロベニアに戻って来て、現在に至る。

   城出入口


  城の中庭 :  街の中心部からの標高差70mのグライスキ・グリチュ山の頂上にある。 

 

 聖ジョージ礼拝堂:1489年ゴシック様式で建てられ、天井のフレスコ画が特徴。

   


 1. フランシスコ教会 (Franciscan Church)

    街のメイーン交差点プレシェーレン広場に佇むピンク色の教会。

 1646~1660年にバロック様式で建てられ、正面のファサードは1706年に追加。

   

 

 祭壇は、1736年に彫刻家フランチェスコ・ロブバ (Francesco Robba) によって造られた。

 ロブバはヴェネツィアの彫刻家 (1698-1757)

   

 

 天井のフレスコ画は、マティ・ステルネン (Matej Sternen) によって1936年に描かれた。

 ステルネンはスロベニアの印象派の画家 (1870-1949)

   

   

 2. 聖ニコライ大聖堂 (Nichojas cathedral)

   オリジナルは、1262年にゴシック様式の聖ペテロの教区教会として建立された。 

  1361年と1469年の2回の火災で消滅し、再建を繰り返し、現在の教会は1706年に

  バロック様式で再建。

  西側正門と青銅製の彫刻扉(1996年に教皇ヨハネ・パウロ二世の訪問記念で造った)


   南側の教会側面(ファサード)と後ろは緑色ドーム(高さ24m)

    


    南側側面扉:6名の枢機卿と横たわるキリストを表わした彫刻扉

       


 教会南側のファサード


  北側のリュブリャナ川から見た教会のドームとツイン塔。


 祭壇


  天井のフレスコ画は、ジュリオ・クアグリオ (Giuglio Quaglio) の作 (1723年)

    クアグリオは、イタリアの画家 (1668-1751)

        


 3. ウルスリネ教会 (Ursuline Church of the Holy Trinity)  

   1718年~1726年の建立。 別名「三位一体聖堂」とも呼ばれている。


 振り向けば、リュブリャナ城の絶景が.....(右の建物は大学)


 4. 聖ヤコブ教会 (Charch of St. Jakob) 

 オリジナルは、1613~1615年にゴシック様式で建てられた。 1701~1703年にバロック

  様式で再建。 1598年よりイエズス会の教会となっている。

     


 5. セント・フロリアン教会 (St. Florian's Church)

     1696年に建てられたローマカトリック教会

    


<その他のリュブリャナお薦めビュー・スポット>

① ドラゴン橋:1901年完成 

  


② 市庁舎前広場

   


➂ 旅情誘うリュブリャナ川


         これにて、「リュブリャナの教会」はお終いです。


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ヴェネツィアの教会(4)

2017-11-05 00:59:24 | 海外生活

 大運河(Canal Grande)を北上し、リアルト橋をくぐると次が、カ・ドーロ (Ca' d' Oro)

の海上バス停である。

   Ca' Sagredo ホテルの壁を支えて水没、傾きを防いでいるような巨大な手のオブジェが展示

 されている(2017年の11月まで)。 「ヴェネツィア・ビエンチーレ芸術祭」で出展された。

 作品名は「Suppert」で、環境汚染を警鐘するメッセージ。 作者者はLorenzo Quinn。

 

 <ロケーション>


25. サンディッテシミ・アポストリ教会 (Chiesa Ss. Apostoli)

    別名「聖使徒教会」とも呼ばれ、9世紀には既に存在していた。 1021年に最初に再建され、

 1575年には、ほゞ現存の形に修復された。

  

 ファビオ・カナル (Fabio Canal, 1703-1767) の天井フレスコ画「使徒の聖体拝領」が有名。

  

 

26. サンタ・マリア・ディ・ミラーコリ教会 (Chiesa di S. Maria del Miracoli)

   1481~1489年に建てられた初期ルネッサンス建築の代表作。 外壁にカラフルな

 大理石をあしらい、別名「大理石の教会」と呼ばれている。

     

  教会の裏側(祭壇側)であるが、反対側の入口からの方がベターだったかも(見逃し!)

      教会内部

 

27. サンディッテシミ・ジョウヴァンニ・パオロ 教会 (Basilica Giovanni Paolo)

    ヴェネツィアでは、San Zanipolo の名で親しまれており、フラーリ大聖堂に匹敵する最大級

 の教会である。 教会の起源は1234年にドミニカ会修道士によって活動が開始された。

 現在の教会の建立は1430年にゴシック建築様式であった。

    

 

 教会内部には、数多くのモニュメント、装飾品、彫像、絵画等の遺物が展示(有料)

 

  教会の正門脇隣りが、市民病院の入口で教会と繋がっている。

  

 

 28. サン・フランチェスコ・デッラ・ウィーニャ教会 (San Francesco della Vigna) 

     1534~1554年に建てられたヴェネツィアで最も古い、美しいルネッサンス建築様式の

  教会と評判である。 後ろにそびえる鐘楼は1779年に再建された。

   

 

 29. イエズス会教会 (Chiesa dei Gesuiti)

     1728年にバロック様式で建てられた。

  

 

  天井のフレスコ画が美しい。

  

            祭壇側

            入口側

   

 

 教会の裏手にムラーノ島行きの海上バス停 「Fondamenta Nuove」があり

 ムラーノ島を訪ねた。

 

 ムラーノ・ファロ (Murano Faro) に到着。

     

 

 ムラーノ島は、教会というよりもガラス作りが有名で世界中から観光客が集まる。

 ヴェネツィア本島のガラス工房は1291年に、すべてこの島に移された。

              数あるガラス工房の一つ。 

 

    

     サン・ステファノ広場にあるガラスのオブジェ。

 

 30. サン・ピエトロ・マルテーレ教会 (Chiesa di S. Pietro Marrtire)

     ドミニコ会修道院として、1348年に建てられ、聖ヨハネに捧げられた。

  1474年の火災で消滅後、1511年に現在の外観で再建された。 

   

   

 

 ヴェネツィアの人口は約265,000人、教会の数は約110ほどある。2400人に教会が1つ

という計算になるが、この密度は世界一かも知れない。(ちなみにローマは25,000人/教会)

まさに教会の宝庫と言えるだろう。 まだ、まだ見逃した教会は沢山あるが、残りは次回の

楽しみとして、これにて「ヴェネツィアの教会」はすべて終了します。

 

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ヴェネツィアの教会(3)

2017-11-01 01:28:25 | 海外生活

市街地を離れ、サン・マルコ運河(Canale di S. Marco)を渡る。

 

 近づく、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会

 

<ロケーション>

 

15. サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会 (Chiesa di San Giorgio Maggiore)

     聖ジョルジョに捧げる為に、オリジナルは8世紀にベネディクト会の修道院として創立され、

 1566~1610年にかけて、現在のように再建された。 塔の高さは75m (1791年築)

   

 

 テイントレット(ルネサンス期のヴェネツィアの画家)の「最後の晩餐」

 

   祭壇

  

  

  聖歌隊席

 

16. ヅィテッレ教会 (Chiesa le Zitelle)

 1581~1588年に建立。  聖母マリアに奉献され、当時は貧しい若い女子の為の教会であった。

     

     

 

17. イル・レデントーレ教会 (Chiesa il Redentore)

  1575~1577年にかけて猛威をふるった疫病で、ヴェネツィアの人口の1/3が亡くなり、

  神にすがるために作られたカトリック教会。 1592年にルネッサンス様式で完成。

   

 

18. サンタ・マリア・デッサ・サルーテ教会 (Basilica di  Santa della Salute)

   サン・マルコから、大運河(canal Grande)を渡って、サルーテ教会に向かう。

1631~1687年にバロック様式で、疫病から救済する為に守護聖人としての聖母マリアに捧げらた。

 

   

     教会の側面からの眺望。

 

19. サン・グレゴリオ教会 (Chiesa di S. Gregorio)

     オリジナルは9世紀の初めで、現存の物は15世紀にゴッシク様式で再建された。

   

 

20. ジェズアーティ教会 (Chiesa dei Gesuati)

  別名「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会」とも呼ばれ、1736年に建立。

 

   

21. サン・セバスティアーノ教会 (Chiesa San Sebastiano)

     

         1543年のルネッサンス様式のカトリック教会。

  

 

22. アンジェロ・ラッファエレ教会 (Chiesa Angelo Raffaele)

 現存の教会は、1639年に再建されたもので、オリジナルは7世紀に建立されたが、度重なる破壊

 で再建を繰り返した。 

       

 

23. カルミニ教会 (Chiesa dei Carmini)

    1514年に建立されたカルメル修道会の教会。

  

 

  内部は外観に比べ超豪華、壁画には大家テイントレットの絵もある。

 

24. サン・パンタレオーネ教会 (Chiesa di San Pantaleone)

    教会の起源は明確になっていないが、1222年が有力。 1704年にバロック様式で再建。

 

  天井にはアントニオ・フミアーニ (1645-1710)の巨大キャンバス絵画が張ってある。

  それは一般的なフレスコ画ではなく、天井布と呼ばれる特殊なものである。

  

 

       これで、「ヴェネツィアの教会(3)」はお終いです。

 

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