撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

バラトンそぞろ歩き(6)B/Világos

2017-09-30 02:46:03 | 海外生活

 

1-8. Balatonvilágos (ヴィラーゴシ)

 前章のBalatonakarattya(アカラッチャ)と同様、ブダペストから最も近い村であり、バラトン湖の

 先端(北側)の部分には、以前 Balatonfőkajár(フーカヤール)に属していた Balatonaliga

(アリガ)という集落と1961年に創立された Balatonvilágos 村とが2006年に統合された。

 行政は共に、Veszprém 郡に属していたが、2013年1月より Somogy (ショモジ)郡に移り、

 Siófok (シオーフォク)市に属することになった。 地名もBalatonvilágos で統一された。

 本ブログの 2017-09-12号でも述べたように、Balatonfőkajárには、第2次世界大戦当時

  からの軍用飛行場があり、戦後長い間、ソ連軍が使用していた。

 都心から近いという最高の地の利に関わらず、開発が遅れている原因としては、ハンガリーの

 共産圏時代に政府が接収していた保有地で、ソ連と共用していたことに因るものではないかと

 思える。 いわゆるアンタッチャブルエリアだったのでは?

 人口は約 1,150 人である。

 ブダペスト方面からのClub Aligaへのゲート            Siófok (シオーフォク)方面からのゲート

     

 向こうが Balatonaliga (アリガ)、こちらがBalatonakarattya (アカラッチャ)側で通行止め。


  Club Aliga がある半島


  桜並木の中央公園と Világos の中心部 (4月)


<ロケーション>

   

 

<見どころ>

 * 高台の夕陽が丘(勝手に命名);

      長さ1kmに亘る展望公園は、夕日が美しい癒しの場。

 

  日中はサイクリストのリチャージスポットとなる。

 

 * 絵になる2つの駅;

 Aliga 駅 Nagykanizsa (ナジカニジャ)~Székesfehérvár 普通列車。480型電動車。

 

  Világos (ヴィラーゴシ)駅 セーケシュフェヘールヴァール~ナジカニジャ間普通列車。

 2016年に導入されたFLIRTと呼ばれる新型415型電動車(2両編成)

 

  Youtube で竹内まりやの「駅」を聞きたくなる風景。

 

 * お気に入りの哲学の散歩道(勝手に命名)と横切る踏み切り;

   向こうは Siófok (シオーフォク)方面。

 

 遮断機も警報すらないのが、またいい。(歩行者の自主性) この路線で最も多い480型電動車。

 

 * Club Aliga の探索;

 敷地内案内図

9月以降は、ヨットハーバーを除く全ての施設は閉鎖される。夏場はクラブ内は駐車料金が必要で、

シーズン外は出入り自由だが何もない。 まさに「打ち捨てられたパラダイス」と言ったら良いのか、

かつて使われていた施設や官舎が30年余り放置されたままになっている。

      かつては、若者達で賑わった水泳プール、ボーリング場、飲食店のあった遊興施設。

 

      おそらく兵舎又は寄宿舎?             将校クラブ又は政府高官邸?

この他、数多くの使われていない施設が敷地内に点在。 探索しタイムスリップしてみたいものだ。    

 

シーズン以外は人がいなくなるせいか、湖水は驚くほど澄んでいる。白い建物は前述の水泳プール。

 

 

バラトン湖で最も多くのヨットを収容しているハーバーではなかろうか? 湖内周遊船も出ている。

 

        釣りマニアの隠れスポット(地元の人しか知らない)

 

  バラトン随一の風光明媚さとハンガリーの歴史を伝える施設が放って置かれるのが、非常に残念で

 憤りさえ感じてしまう、もっと有効な使い道があるのではと思いつつ、

 これにて、「バラトンそぞろ歩き(6)Balatonvilágos」をお終いとします。

 

「バラトン遍路の旅」  http://motsukahu.web.fc2.com

 


バラトンそぞろ歩き(5)B/akarattya

2017-09-26 10:45:05 | 海外生活

 

1-7. Balatonakarattya (バラトン・アカラッチャ)

     細長いバラトン湖の上端でブダペストから最も近い村であり、Veszprém(ヴェスプレーム)県、

    Balatonalmádi(アルマーディ)市に属する村で、人口約850人である。

  歴史的には建国前からの古い村であったが、隣なり村の Balatonaliga (アリガ)が共産圏時代に国の

  保留地であったことより地の利を十分に生かせず、村の発展を阻害していたのではという気がする。

 春は菜の花、夏にはヒマワリ畑又は麦畑が高速道路を抜けた旅人の心に、いっときの安らぎを与えてくれる。


<行き方>

  M7の高速道路出口(Exit 90)を下りて、国道71号線を北上して最初の村である。

 電車ならば、Székesfehérvár (セーケシュフェヘールヴァール)よりバラトン湖北周り線に乗り、前述の

 Csajág (チャヤーグ)駅の次である。

 ブダペスト又はセーケシュフェヘールヴァールのバスターミナルから Balatonfüred (フレド)行のバスで

 途中下車する方が選択肢は多い。

  

<見どころ>

 *バラトン湖の眺望;

  Akarattya(アカラッチャ)村の中心は30~40m高台にあり、湖へは懸崖になっていること、湖畔沿い

  の道が国の保留地になっていて、通り抜けが規制されていることもあって、絶景スポットであることが

  あまり世間に知られていない。 しかし、都心からのアクセスが非常に良いことで、近年、客足が急増して

  おり、将来の有望な避暑地になるような気がする。

        所々に崖肌を覗かせる岩壁が美しい。


    バラトン湖北岸は、Almádi(アルマーディ)、Tihany(ティハニィ)まで見える。


    隣なりの町 Balatonkenese(ケネシェ)を望む。


   バラトン湖南岸は Siófok(シオーフォク)は視界に。


     隣なり村 Balatonaliga(アリガ)、Balatonvilágos(ヴィラーゴシ)を望む。


 * 広大な野原;

       ピパチ(芥子の花)の群生は野生の為、開花は風まかせ、今年はアカラッチャに出現(6月)


 バラトン湖近郊で最も広いヒマワリ畑(7月)


 * バラトンの冬景色;

      冬は湖水が凍って、その上でスケート、魚釣りを楽しむことが可能 (2月撮影)


 雪景色感動の1枚、この樹は冬が過ぎ去った後に死滅した。惜しくて今も記憶に残る。(2013年1月撮影)

   

 * 沿線で唯一のトンネル

     Székesfehérvár 発、Tapolca (タポルツァ)行きの普通列車


   駅を出ると、すぐに短いトンネル(約30m)に入る。

    トンネルを抜けた Tapolca (タポルツァ)行きの急行列車(ブダペスト南駅発)

     

 *Romai Katolikus (ローマ・カトリック)教会;

            1930年設立された新しい教会である。

  

 * ちょっと素敵なレストラン;

  国道71号線沿いにあるクルマが屋根の上にあるレストラン(この写真は脇道に入った裏口、表から見えない)

レストランについては、このブログの「バラトンの車窓から」2013-8-15 で詳細を紹介したのでここでは省略。

  

              これで、「バラトンそぞろ歩き(5)B/akarattya 」はお終いです。


「バラトン遍路の旅」   http://motsukahu.web.fc2.com  

  


バラトンそぞろ歩き(4)Litér

2017-09-22 22:52:31 | 海外生活

 

 1-6. Litér(リテール)

 バラトン湖畔より、国道72号線で4kmほど北上した所にある古い村が今回の目的地。

 村は、Veszprém 郡(県)に属し、人口約2100人でローマ時代からこの地に住民が

 居たらしい。 建国後、イシュトヴァーン王の直轄領となり教会の建設(1227年)など

 本格的な村作りが始まった。 しかし、オスマントルコ軍の襲撃(1552年)によって

 1557年以降、村は無人化し、廃墟になっていた。

 17世紀になると、カルヴィニストが新しい入植者として加わり、村は徐々に復興された。

 

 

 

  <ロケーション>

 

 

 <見どころ>

 *改革派(カルヴァン主義)教会;

   最初の教会は、13世紀の初めにロマネスク様式+ゴシック様式で建立され、トルコ軍からの

   破壊の後、1784年にバロック様式で再建された。 1961年に村の近くより初期の門や

   石像等が発掘され、それを使い1969年に現在の形となった。

 

 

 

  

 

 頭もなくライオンの面影もなし。 しかし、ライオンの絵柄は村の旗の中に描かれている。 

                              Litér 村の紋章 

 

  

             門の石柱頂部の花柄模様

 

この教会も 前章の Vilonya(ヴィロニャ) の教会と同じく祭壇は建物の真ん中で、両サイドが観客席。

この時期(12~13世紀)の教会建築の流行りだったかも知れない。

 

 *癒しの雰囲気;

        のどかな牧歌気分(9月、村の中より)

 

    村の前面に広がる菜の花畑(4月撮影、夏の7,8月はヒマワリ畑であった)


 * ちょっと、寄ってみたい田舎のレストラン;

   村の向かいにある小さなレストラン(店名は Varjás Vendéglő)

  Bobgulyás leves (豆入りグヤーシュ・スープ)で昼食。 値段超安で、味もイケル。

 

     これで、「バラトンそぞろ歩き(4)Litér」はお終い。

 

「バラトン遍路の旅」   http://motsukahu.web.fc2.com

 

 


バラトンそぞろ歩き(3)小さな美しき村たち

2017-09-19 01:36:46 | 海外生活

  Berhida(ベルヒダ)の町境を越えると、街道は2つに分かれる。 左折すればバラトン湖畔

まで8km、直進すれば県庁所在地 Veszprém (ヴェスプレーム)まで13kmである。

建国の歴史に翻弄された小さな美しい村が3つほど点在する直進を選ぶことにした。

 

1-3. Vilonya (ヴィロニャ)

 最初の村が Vilonya (ヴィロニャ)である。 人口は約650人で、Veszprém (ヴェスプレーム)

 郡(県)に属している村である。 この後に出てくる2つの村も同様である。

    

<見どころ>

*改革派(カルヴァン主義)教会; 13世紀にゴシック様式で建立された要塞教会であったが

   1552年のオスマントルコ軍の襲撃で破壊され、現在の物は1720年代に再建された。

  塔は1796年に追加され、当初の教会には塔はなかった。

  

 

  北側の壁には細長い窓(ロマネスク様式)が残されている。 当時の教会は背後の屋根が低く、

 建物の真ん中に位置する祭壇部は平らな四角い天井であった。 その跡が壁に残されている。

 

丸いカワイイ説教台は、中世ゴシック様式で改築時のものであり、教会の両サイドが信者席になっている。

 内部はトルコ軍により、ことごとく破壊され初期の面影は全くない。

 

* Séd (シェード)川と水車小屋;

 

  癒しのSéd (シェード)川とガボール神父公園から村の中心を望む。

 

                        今も稼働中の水車小屋

 

*廃線となったVilonya (ヴィロニャ) の駅舎; 

  隣なり村の Kiralysentistván(キライ・セント・イシュトヴァーン)と共用駅であった。

 

1-4.  Kiralysentistván(キライ・セント・イシュトヴァーン) 

       村の中心部のお洒落な役場(道路右側の6角屋根)

 

   村の人口は約450人。 建国のきっかけとなった997年にイシュトヴァーンは後継者争いの

 宿敵コッパーニ (Koppány)を、この付近の Séd 渓谷 で破り、初代のハンガリー王となった。

 しかし、村の名前に王の名前を使ったのは、ハンガリー/オーストリア帝国時代の1908年からで、

 村としては建国前からあったものではないと推定される。

 教会自体も古くはなく、18世紀半ばに新古典様式で建てられた改革派(カルヴァン)教会がある。

 

 1-5. Sóly (ショーリ)

    蛇行して流れるSéd (シェード)川沿いに、川の恵みを共有する形で今回の三つの村が隣接している。

   Sóly (ショーリ)の人口は約420人で3つの村を合わせても1500人程度の地域である。

 

           Szőlő-hegy (ソーロ山)より見た Sóly(ショーリ)村と教会

 

<見どころ>

* 改革派(カルヴァン)教会; 

   教会は、イシュトヴァーンがコッパーニとの後継争いに勝利した記念に建てられた礼拝堂

  (1009年建立)の場所に初期の教会が12世紀にロマネスク様式で建てられた。

   現在の教会は18世紀にバロック様式に改築されたものである。

   目隠しされた細長い窓は、ロマネスク様式で初期の物として残されている。

 

 

* Szőlő-Hegy (ソーロー山);  広大な高原風景と世界一(高さ12m)の木製の剣。

      

     但し、2014年7月の落雷により倒れており、未だに復興されていない。

 

* コウノトリ; この地域の煙突の上や電信柱の上に多く見られる渡り鳥。

  春にアフリカから渡って来て、子育てを終えたら、また冬にはアフリカに帰る。

  ハンガリーでは、「赤ちゃんを運んでくる鳥」「幸せを運んで来る鳥」として愛されている。

 

*廃線のSóly (ショーリ)駅舎;

 

    これで、「バラトンそぞろ歩き(3)小さな美しき村たち」はお終い。

 

「バラトン遍路の旅」   http://motsukahu.web.fc2.com

 

 


バラトンそぞろ歩き(2)Berhida

2017-09-14 13:48:26 | 海外生活

 

1-2.Berhida(ベルヒダ)

 ベルヒダに行く公共の足としては、前章で述べた電車(Csajág 又は Lepsény)とバスを乗り

合わせるしかない。その道中は、これぞハンガリーと云える牧歌的風景を味わうことが出来るだろう。

 

    ベルヒダの町と向こうにみえる山並みは Bakony (バコニー)渓谷である。

<ロケーション>

    

   人口 5800人 で Beszprém (ヴェスプレーム)県に属する町である。

   1985年の8月15日にマグニチュード 5.2 の地震に見舞われたのは有名な話。

    (ハンガリーでは地震はごく稀の為)

      ベルヒダの中心ロータリー、向こうに見えるのはセント・ラスロー教会。

<見どころ>

 * Szent László Király (セント・ラスロー)教会

  14世紀初めに建てられたロマネスク様式とゴシック様式が混在した教会で、1550年頃に

  オスマントルコ軍と戦った要塞教会。 現在は教会活動としては使われていない。

  

 窓が特徴。 

 右の窓がゴシック様式で上部の花模様飾り、左がロマネスク様式で頑丈な厚い壁と細い小さな窓。

 

 教会内部の壁が、当時トルコ軍により漆喰で塗り固められた様が残る。

 祭壇脇の燭台


* ローマ・カトリック教会  (1759年に建立)

 現役として稼働。 ロータリーを挟んで新旧の教会が並んでいる。

  

     壁画は必見!

    教会の入口側(聖歌隊席)

 

* ベルヒダ旧駅舎

 

 今は廃線となり使われなくなった駅舎(残しておいて欲しい!)

 

      これで、「バラトンそぞろ歩き(2)Berhida」はお終いです。

 「バラトン遍路の旅」