撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ブダペストの地下鉄と郊外電車

2019-02-20 13:28:43 | 海外生活

 前章に引き続き、現在ブダペストで運行している地下鉄、郊外(中距離)電車を取り上げる。

これらは、この後になるだろうバスも含めてBKV(ブダペスト交通公社)によって運営されている。

2.地下鉄(メトロ)

 2-1. 地下鉄1号線(M1)

 1896年に開業されロンドン、イスタンブールに次いで、世界で三番目に古い地下鉄であるが、

 ロンドンは蒸気機関車けん引(1863年)、イスタンブールはケーブルカー(1875年)で電気

 駆動の地下鉄としては世界初であった。 又、2002年には世界遺産に登録された。

 ● 始発駅のヴェレシュマルティ広場 (Vörösmarty tér)                             Feb. 17 2019

   1858年創業、160年の老舗、ブダペスト随一のケーキ屋さんジェルボー (Gerbeaud)が駅横。

 車両はハンガリーGanz社製のMFAV型で1971~1987年までに23台製造された。

 1973年から現在も使われている。 最高時速50 km/h.   電気システムはDC600V

                                   Sep. 27 2009

 地表面からの開削式工法であった為、地上から5m足らずの深さである。

 <参考文献>

  開削工法とは、上から溝を掘っていき、後で鉄板で表面を塞ぐ工法である。

      

     アンドラーシ (Andrássy) 通りの工事模様 ...BKV資料拝借 

 

 2-2. 地下鉄2、3号線(M2&M3)

 地下鉄2号線は1970年の開通でチューブ(トンネル)工法の地下鉄としてはハンガリーで初。

 使用されている車両は、フランス・アルストム社製のAlstom Metropolis AM5-M2型で、

 2009~2013年までに22台製造された。 最高時速70 km/h.  電気システムDC825V。

 ● デアーク広場 (Deák Ferenc tér)にて               Feb. 17 2019

  因みに地下鉄3号線(M3)の開通は1976年であった。 M2とM3は同じ深さ位置で掘られ

 デアーク広場駅で合流している。 M1も合流しているが工法の違いにより深さが異なる。

 

 2-3. 地下鉄4号線(M4)

 現時点で最も新しい路線として2014年3月に開通した。

 使用されている車両は、フランス・アルストム社製 Alstom Metropolis AM4-M4型で

 2012~2014年までに22台製造され、最高時速80 km/h.  電気システムDC750V。

 ● 始発・終着駅のケレンフールド (Kelenföld)              Feb. 17 2019

 

 車内                              Feb. 17 2019

   

 

 ● M4の始発・終着駅はブダペスト東駅 (Keleti Pályaudvar)                   Feb. 17 2019

                                                                   階段を降りると改札口に繋がる

 

<地下鉄と郊外電車の路線図>

 

3.郊外電車 (HÉV...Helyérdeku Vasút)

 HÉVの開業は1887年、現在のラーツケヴェ (Ráckeve)線が最初であった。 翌年の1888年に

 グドゥルー線、センテンドレ線が開通し、1906年より電化し、1951年にチェペル線が開通。

 

 3-1. センテンドレ (Szentendre) 線 ...H5

 バッチャーニ広場 (Batthány tér) ~ Szentendre 間の 20.9 kmを運行。

 ● セープヴェルジ広場 (Szépvölgyi tér)                                           Feb. 10 2019

 

 3-2. ラーツケヴェ (Ráckeve) 線 ... H6 

 クースヴァゴー (Közvágó hid) ~Ráckeve 間の 40.1 km でHÉV路線として最も長く、

 最も古い路線である。 使用されている車両は、MX形で東ドイツLEX社製で1971年に

 32両製造され、この路線の専用車両である。

 ● 始発駅 Közvágó にて、最後尾車両から               Feb. 17 2019

 

  先頭車両 ... パンタグラフが先頭車両に付いているのが特徴        Feb. 17 2019

 

 3-3. チェペル (Csepel) 線 ... H7

 ボラーロシ広場 (Boráros tér) ~ Csepel 間の 6.7 km を運行。

 使用されている車両は、前出のセンテンドレ線と同じMXA形であるが、その前身のMIXA形が

 ブダペスト製として1963~1966年に27両製造されたが、そのうちの5両がこの路線に

 残っているらしいが発見困難。 パンタグラフが先頭車両に付いているのが見分け方。

 ● 始発駅のボラーロシ広場                        May 10 2008

        

 3-4. グドゥルー (Gödöllő) 線 ... H8

 ウルシ・ヴェゼール広場 (Örs vezér tere)~Gödöllő 間の 25.6 km を運行。

 ● 始発駅のウルシ・ヴェゼール広場駅                  Feb. 17 2019

 

 電車はシシィ(皇妃エルジェーベト)が愛したグドゥルー宮殿を目指す。

   Feb. 17 2019

 

 3-5. チュムール (Csömör) 線 .... H9

 グドゥルー (Gödöllő)に向かう途中のツィンコタ (Cinkota) 駅からCsömör までの

 4.3 km の支線がH9路線である。

 

 

  これにて「ブダペストの地下鉄と郊外電車」は、お終いです。

 

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ブダペスト市内のトラム

2019-02-18 03:34:41 | 海外生活

 前章にも述べたように、ブダペストの街中にはモノレールを除いて、おおよそ考えられる

すべての交通機関が揃っている。 以下がその種類と規模である。

 1.路面電車(トラム);27系統   6.登山電車;1路線(Városmajor駅から60番トラム)

 2.地下鉄(メトロ);4路線     7.子供鉄道;1路線(北部の山間を走る)

 3.郊外電車(HÉV);5路線     8.ケーブルカー;1基(ブダの王宮の丘)

 4.トロリーバス  ;13系統    9.チェアリフト;1基(ヤーノシ山にて)

 5.路線バス    ;180系統    10. ボート;定期観光、水上バス多数

 

1.路面電車(トラム)

 1-1. 系統#2;

  ペスト側のドナウ川沿いを走る最も観光客にお馴染みの路線。

  使用されている電車は、ハンガリーのGanz社製のKCSV-7型で1996~1999年に、旧型

  CSMG型車両を改造して名称を替えた。 全部で36両製造され30両が現存している。

 ● ヴィガドー広場(Vigadó tér)にて                 Feb. 17 2019

 

 ● ハンガリー科学アカデミー前にて                   Dec. 22 2017

 

 ● 国会議事堂 (Ország ház) 前にて                  May 16 2018

 

 1-2. 系統#4;

 セール・カールマン広場 (Széll Kálmán tér)~ウィブダ・クスポント (Újbuda-központ)

 のドナウ川の上流と下流を2回渡るペスト市街地の外回り路線。

 使用されている電車は、Combino Supraと呼ばれるSimens社製で2006年より採用され、

 合計で155両購入され、ブダペストでは2016年時点で47両が運行している。

 ● マルギット橋 (Margit hid) 上にて                 May 16 2018

 

 ● 終着駅折り返しのウイブダ・クスポント駅にて            Feb. 17 2019

 

 1-3. 系統#47&49;

 ブダ側南端の Fehérvári通り~自由橋~Deák Ferenc 広場までのペスト市街地の内回り。

 使用されている電車は、Ganz社製CSMG型で、CSMG-0は1964年に生産され、その後

 CSMG-1, -2, -3 と改良を重ね1978年までに全部で154両が製造された。

 ● 中央市場前にて、                    May 16 2018

 

           

 ● 自由橋 (Szabadság hid) を渡る                 Oct. 11 2018

 

  

                                                                                                    Feb. 17 2019

 1-4. 系統#19)

 ブダ側のドナウ川沿いを南北に走る、ゲッレルトの丘から王宮の丘に繋がる人気路線。

 使用されている電車は、最近では新型のスペインCAF社製のUrbos3型に切り替えつつあるが

 ブダペストで40両の現存(2016年時点)で不十分を旧型のタトラ T5C5型と併用している。

 ● コストラーニィ広場 (kosztolányi tér) にて             Feb. 17 2019

                                                                                     

 ● クラーク・アダーム広場 (Clark Ádám tér) にて           Feb. 10 2019

 

● クラーク・アダーム広場 (Clark Ádám tér) のT5C5型車両         

 チェコのタトラ社製T5C5型は、1978~1984年に製造され、ブダペストに186両が現存、

 他に改良型としてタトラT5C5K型も134両が現存している(2016年時点)

                                  Feb. 10 2019

 

 1-5. 系統#17=

 王宮の裏側に沿ってブダ側の中心セール・カールマン広場 (Széll kálmán tér) を通って

 南北に縦断する路線。 セール・カールマン広場は旧称でモスクワ広場と呼ばれていた。

 ● 各路線が合流するセール・カールマン広場にて            Aug. 27 2016

  手前が系統#17でCAF Urbos3型車両で、左上が系統#61のテトラ社製T5C5K型車両。

 

 左が系統#17のテトラ社製T5C5K型車両で、右が系統#4のSiemens社製Combino車両

 

 1-6. 系統#3;

 ペスト側の最も外回りの路線で、メキシコ通り (Mexikói út)~Gubacsi út を結ぶ。

 この路線には、TW6000, TW6100という旧型車両が残っているらしいが、現在ほとんど

 見られず、スペイン製の新型CAF Urbos3 に切り替わった。

 ● 路線途中の合流駅ウルシュ・ヴェゼール広場 (Örs vezér tér) にて    Feb. 17 2019 

 <補足説明1>

  TW6000, TW6100とは、1976~1983年にSiemens の前身 DÜWAGとLHB社から

  合計103両製造されたもので2016年までは走っていた。      (BKVの写真拝借)


<補足説明2>

 ハンガリー製のGanz社製UV型車両は、今はクリスマスの電飾トラム等のイベントでしか

 使われなくなったが、まだ記憶に残っているだろうこの車両は1956~2006年までの51

 年間も活躍していた。 UV-1からUV-5まであり1965年までに合計377両が製造された。

 その後に、前出のGanz CSMGが1964~1978年まで製造され、2006年まで両車両が共に

 走っており、現在は系統#2で依然と走り続けている。          

 ● 自由橋 (Szabadság hid) 渡るUV-2型               (BKV写真拝借) 

 UV型の特徴は系統番号の標示位置が真ん中上で、系統#2で走っているCSMG型は左上。

 

<トラム路線図>

 

    

  これにて「ブダペスト市内のトラム」は、お終いです。

 

 

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ハンガリーの鉄道(2)

2019-02-01 22:35:45 | 海外生活

2.バラトン湖北回り路線

 ① M412*** ディーゼル気動車 (***は固有の車両番号である)

                              2007 Nov. @Csajág

 別称は 418 331 とも呼ばれ、MAV-START には 418系として104台が残っている。

 Ganz社で1973~1984年まで、Északi社で2002~2007年まで製造していた。

 最高時速は100km/h.

 

 ● 車両番号 418 332 と標示されている(最近はこちらの呼称の方が多い)が

 M41 2332(旧称)である。           2018 Dec. @Balatonakarattya

   この路線で唯一のトンネルで、その距離の短さも珍しく、トンネルのすぐ上が最も 

 お気に入りの秘蔵の撮影スポット、春夏秋冬に必ず脚を運ぶ所である。

 

● 418 330型とBzmot330が偶然にも、車両番号の-330同士が肩を揃える。

                            2018 Oct. @Balatonfűzfő

 

 

 ● 車両番号 418 140                                                  2019 Jan. @Balatonalmádi

 

 ● 車両番号 418 332                                                      2011 Mar. @Alsóörs

 

 ● 標示は、M41 2187 であるが 418 187型である。      2011 Mar. @Alsóörs

 

 ● M41 2311 (418 311型)                2007 Jul. @Révfülöp

 

② 117 *** 型ディーゼル気動車

 ● 車両番号 117 290                                     2018 Oct. @Balatonakarattya     

                        

 別名Bzmot *** の愛称で呼ばれている。 よってこの車両は Bzmot 290 ということ

 になり、旧称は M152 とも呼ばれ、1975~1986年までに230台ほど製造された。

 チェコスロヴァキアのStudenka社製でLIA2 ML634 直6横置きエンジン搭載、

   最高時速 80km/h.

 

 ● 標示は 117 349 であるが別称 Bzmot 349            2017 Sep. @Balatonakarattya

 

 ● 車両番号 117 334 (Bzmot 334)                                 2017 Oct. @Balatonkenese

 

 ● 車両番号 117 308 (Bzmot 308)                              2018 Oct. @Balatonkenese

 

 ● 車両番号 117 338 (Bzmot 338)

 湖岸まで迫った坂道の多い美しい街アルマーディと、Bzmot が良く似合う。

                                                                       2018 Oct. @Balatonalmádi

   

 

③ Bzmot *** ディーゼル気動車

 ②の 117 *** 型と呼称は異なるが同じ車両である。前章で数台しか残っていないと

 述べたが、117型と呼ばれている物を含めると、全国で230台が登録されている。

 ● Bzmot 294                                                 2013 Oct. @Balatonnederics

 (参考)この地域には見掛けないが Bzmot 4** と呼ばれている機種もあり、

     別名 127 ***型となり、1984~1999年までに23台製造された。

     エンジン仕様が変更されているらしいが詳細は把握できていない。

 

 ● 後ろ姿は至ってシンプル、何も飾らないレトロ丸出しが堪らない。

                          2013 Oct. @Balatongyörök

  

 ● 全線単線であるので、すれ違いは駅構内で、車掌さん同士も笑顔のすれ違い。

                          2013 Oct. @Vonyacvashegy

 

④ MÁV-START 426 ディーゼル気動車

 Siemens-Deriro の愛称で呼ばれ、車体前面には 6342-***と標示されている。

 2003~2006年にシーメンス社で31台製造された。 MTU6R183TD13Hエンジン搭載。

 最高時速は 120 km/h.

 電化されていない路線で走るディーゼル気動車としては最新のタイプ。

                        2018 Dec. @Balatonakarattya

 

 ● MÁV375蒸気機関車(SL)の横を走り抜ける            2011 Mar. @Csopak 

 

 ● 吹雪の中を力強く、                      2019 Jan @Csopak

 

 ● 車両番号 6342 024-4                                        2013 Sep. @Balatonfüred

 座席スペースの広さは快適な旅を提供(混むことがないのがまた最高)

 

 ● 木漏れ陽の中を樹々すれすれに走り抜ける。        2007 Jul. @Balatonakali

 

 ● 車両番号 6342 019-4                                                      2013 Sep. @Zánka

 

 ● 雄大なバダチョニ山の麓を白い駅舎とお似合いの赤い車両。   

                                                                               2013 Oct. @Badacsony Lábdi

 

 ● 路線の終着駅で Bzmot 290 と共に次の旅立ちを待つ。        2013 Oct. @Tapolica

    そこは山々に囲まれた列車基地タポルツァ駅。

 

<ロケーション>   赤丸印は撮影スポット

 以上、バラトン湖北回り路線であるが、運行されている列車はすべてディーゼル気動車

 であり、環境保護団体には睨まれるかも知れないが、音といい、煙の臭いといいレトロ

 愛好者には堪らない路線である。

 

           これにて「ハンガリーの鉄道(2)」は、お終いです。

 

 

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