幕末掃苔屋 公式ブログ

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冬こそ不識塔②

2011年02月15日 | 侍たちの警視庁

「雪上トレッキング不識の塔」に参加するため、西目屋村を訪れました。

不識塔は世界遺産である白神山地に建つ高さ約20メートルの煉瓦造りの塔です。
大正元年に開拓記念碑として建立されたそうですが、建立者である斎藤主は自らの遺体を塔
の底部に埋葬するようにと遺言しているので、自らの墓として建てたと考えられています。

不識塔へ至る山道は、十一月から五月までは雪のために通行が難しくなります。
私が不識塔の存在を知ったのは十一月の終わりでした。
私はいつも、興味ある人物の墓が見つかるとすぐにでも駆けつけたくなります。
今回も五月まで待ちきれず、その前に掃苔する手段はないかとネットで調べているうちに、
白神山地ビジターセンターが主催する「雪上トレッキング不識の塔」というツアーの存在を
知りました。

白神山地ビジターセンターは、弘前駅からバスで約50分、西目屋村役場駅下車5分ほどの場
所にあります。
集合時間の朝9時、集合場所には3人の講師と12人の参加者が集まりました。
参加者はカンジキかスノーシューの着用が必須ですが、雪山初心者の私は持っていません。
ビジターセンターでカンジキを貸してくれるのですが、他の参加者のみなさんはmyカンジキ
とmyストックを持参していました。
みなさん雪山トレッキングに慣れている様子で、私とは服装からして違います。

ビジターセンターからは、専用バスでトレッキング出発地点である川原平に向かいます。
出発地点からしばらくは車も通れる道を進むと「不識の塔 1.5km」の看板が見えてきまし
た。
ここから先は雪が深くなるため、カンジキを装着します。
山道に入ると、そこはもう白銀の世界です。
美しくも、迷い込めば死につながりかねない恐ろしい世界に感じました。
しかし雪上はたくさんの動物達の足跡があり、確かに命が育まれていることがわかります。
白神山地の動植物について、講師の先生が解説してくれました。
参加者のみなさんは不織塔よりこちらがお目当てのようで、熱心に耳を傾けています。
私は植物にはあまり興味はありませんが、動物には興味津々です。
教えてもらったウサギやタヌキの足跡、ムササビの爪痕、キツツキがつついた穴、ヤマネの
巣、カモシカのかじった枝などを撮影しました。

カンジキのおかげで快適に進むことができ、不識塔と同じく斎藤主が建立した広泰寺に着き
ました。
煉瓦造りの独特な寺です。
広泰寺はもともと山形県米沢市にあった上杉謙信ゆかりの寺ですが、斎藤主がこの地に移
し、自らが住職となって再興したものです。
不識塔の名前も上杉謙信の号「不識庵」からきていますし、斎藤主は謙信フリークだったよ
うです。
広泰寺は現在では廃寺となっています。
ここで少し休憩をとることになったので、講師の先生に不識塔についていくつか質問をしま
した。

先生は子どものころ不識塔の内部に入り、塔の上まで登ったことがあるそうです。
うらやましい限りです。
現在では損壊が激しいため塔全体が鉄骨に覆われ、中部に入ることはもちろん塔全体の姿を
見ることすら難しい状態です。
先生によると、不識塔は一度解体され、建て直し復元されたのだそうです。
そのときに使える煉瓦はそのまま使いましたが、足りない分はこの土地の土を使ってつくっ
たそうです。
ホルマリンで永久保存されることを望んでいた斎藤主の遺体は火葬にされ、遺骨も弘前市内
の寺に移したということです。
幼い頃から不識塔に親しんできただけあって、先生の話はとてもリアルでした。

つづく

※写真は不識塔への道

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