幕末掃苔屋 公式ブログ

幕末掃苔屋のブログです。掃苔録不定期更新中。ご意見、ご感想はご自由にどうぞ。

サヨナラダケガ人生ダ

2011年03月20日 | 歴史余話

お彼岸のお墓参りのため品川を訪れました。
その帰り、前々から気になっていた品川区立品川歴史館に向かいました。
一番のお目当ては、遊郭旅籠・相模屋の模型です。
残念ながら地震の影響で臨時休業中でしたので、相模屋の跡地だけ見てきました。
文久二年、高杉晋作らは相模屋に滞在し、御殿山に建設中だった英国公使館の焼き討ちを計画しました。
この相模屋を舞台とした「幕末太陽傳」という映画があります。

「幕末太陽傳」は昭和32年7月に封切られた日活作品です。
「居残り佐平次」をはじめとする古典落語を下敷きに、実在した幕末の志士を絡めたストーリーで、話のテンポのよさ、幻のラストシーンのインパクトもあってか、今なお熱狂的な人気を博しています。
※幻のラストシーンについてはウィキペディアに解説があります
主役の佐平次にはフランキー堺が、高杉晋作には石原裕次郎が起用されました。
なおフランキー堺は川路利良の嗣子となる利恭の弟の孫にあたります。
そのため昭和四年に川路生誕地記念碑が建てられた際と、平成二年に川路の銅像が建てられた際には式典に出席しています。
監督の川島雄三は当初B級監督のレッテルをはられていましたが、日活に移籍してからはヒットを連発しています。
しかし「幕末太陽傳」封切りの六年後、心臓衰弱により四十代の若さで亡くなっています
そのため黒澤明や小津安二郎のような巨匠という評価は受けていませんが、今村昌平や寺山修司や庵野秀明など、数多くの映画監督に影響を与え続けています。
「幕末太陽傳」が大好きな私は、青森県むつ市の徳玄寺を訪れ、川島監督の掃苔をしたことがあります。
川島監督が好んだ言葉というと「ハナニアラシノタトヘモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ」が有名ですが、陶淵明という学者の詩を川島監督が意訳したものも伝わっています。

人間無根帯(にんげんねもなくへたもない)
瓢如陌上塵(みちにさまようちりあくた)
分散随風転(ときのながれにみをまかすだけ)
此己非常身(しょせんこのみはつねならず)
落地成兄弟(おなじこのよにうまれりゃきょうだい)
何必骨肉親(えにしはおやよりふかいのだ)
得歓当作楽(うれしいときにはよろこんで)
斗酒聚比隣(ともだちあつめてのもうじゃないか)
盛年不重来(わかいときはにどとはこない)
一日難再晟(あさがいちにちにどないように)
及時当勉励(いきてるうちがはなではないか)
歳月不待人(さいげつひとをまたないぜ)

相模屋跡地を訪れたあと、釣洋一先生の「春廼舎/幕末酒場・新選組屯所」に行きました。
釣先生は日活で支配人を務めていたこともある映画人です。
「幕末太陽傳」の感想を聞きましたところ、先生もその面白さを認めていました。

※写真は青森県むつ市新町の徳玄寺にある川島雄三の碑



最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
土蔵相模 (森重和雄)
2011-03-20 20:46:27
現在の北品川1-23角にあった「土蔵相模」ですね。
http://ginjo.fc2web.com/005inokori/sagami.htm

この相模屋の一族のお墓は近くの法禅寺にあったと記憶しています。
返信する
森重さまへ (カワチ)
2011-03-20 23:14:04
へー!
それは知りませんでした。
「幕末太陽傳」ファンにとっては貴重な情報なのではないでしょうか。
私も今度お参りに行きたいです。
返信する
松泉寺 (森重和雄)
2011-03-20 23:39:03
今日(3月20日)は、東京都写真美術館で、『夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 四国・九州・沖縄編』という古写真展が行われいて、早速行ってきました。
地方の博物館や郷土資料館になかなか行く機会のない僕としては、こういう古写真の現物展示はありがたいことです。
大変勉強にもなります。

さてお得な(廉価な)図録も買ってルンルン気分の僕は、東京都写真美術館の帰路に近くの「松泉寺」に立ち寄って、織田信長の弟・信包の子、信則と信則の子、信勝の宝篋印塔のお墓を掃苔してきました。
このお寺には他にも静岡県士族(幕臣)・蜷川敬之のお墓もありました。

返信する
森重様へ (カワチ)
2011-03-21 01:34:56
古写真展、最近多い気がします。
気のせいでしょうか。
森重様は地方にはあまり行かないのですか。
千葉の佐倉は地方になりますか?
木戸家の写真展は行かれましたか?
森重さまにお願いなのですが、いつかどこかで川路や警視庁の写真が見れる展示会などがあれば、教えていただけませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
返信する
国立歴史民俗博物館 (森重和雄)
2011-03-21 02:40:45
こちらは明日は国立歴史民俗博物館の木戸孝允アルバムの写真展に行こうかと考えています。
返信する
佐藤泰然のお墓 (森重和雄)
2011-03-21 23:46:21
河内屋さま

こんにちは!

こちらは今日はわざわざ佐倉まで「木戸家の古写真展」を観に行ったのに、
国立民族博物館がこの地震で臨時休館してまして、しかたがないので、そのまま帰るのも口惜しく、予備知識なしで古いお寺を観て歩いて、お墓を調べてました。

そうしたら全くの偶然ですが佐藤泰然のお墓と佐藤一族のお墓を見つけまして、
写真を撮ってきました。
佐藤泰然のお墓は谷中にもあるのですが、地元佐倉にもあるとは知りませんでした。

それにしても古いお墓や灯篭がかなり倒れてました。
佐藤一族の墓域では小さい墓石は起こしておきましたが、
もうひとつのやや大きい墓石の方は重くて起こせませんでした。
(やれやれ)

返信する
森重さまへ (カワチ)
2011-03-22 00:09:05
お疲れ様です。
佐倉まで行って目的を達成できなかったのはショックですね。
今は臨時休館が多いのはしょうがないですね。
私も今日は佐藤泰然の墓を訪れました。
谷中の方ですが。
返信する
松本家のお墓 (森重和雄)
2011-03-22 02:04:37
河内屋さま

こんにちは!
谷中の佐藤泰然の墓域には松本良甫とかの松本家のお墓もありましたね。
返信する
千葉県巡査部長 (森重和雄)
2011-03-22 02:13:26
河内屋さま

ご興味、感心があるかどうかわかりませんが、佐倉では西南戦争に従軍した千葉県巡査部長・戸塚吉雄の殉職顕彰碑と千葉県巡査部長・鈴木清助のお墓も観てきました。
返信する
森重様へ (カワチ)
2011-03-22 07:44:24
情報をありがとうございます。
興味あります。
私は警視庁を調べていますが、今後県警についても調べてみたいと思っています。
今度詳しく聞かせてください。
返信する

コメントを投稿