「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       お彼岸 ”ぼたもち”と”おはぎ”の違い

2010-03-22 06:43:20 | Weblog
戦前は、東京の区部でもお彼岸には家で”ぼたもち”(おはぎ)を作り、お重に入れ
て隣り近所の親戚や知り合いに配った。また、その逆にご近所からも、同じような
配りものがあった。懐かしい想い出である。人と人との暖かい心の通いがあったが、
戦後いつのまにか、こういった風習はなくなってしまった。

昨日、友人と外で飲んだ勢いもあって駅の構内で売っていた”ぼたもち”を買って家
へ帰った。早速、仏前に供えたあと、老妻と一緒に食べた。”ぼたもち”は昔に比べ
て小型で甘味も薄かったが、やはり季節の食べ物である。お彼岸に食べるからこそ
味しいのである。

八十路に差し掛かる年なのに恥ずかしい。僕はこの年になるまで”ぼたもち”と”おは
ぎ”の違いを知らなかった。”おはぎ”は”ぼたもち”の上品な言葉ぐらいとしか思って
いなかった。そこで僕よりは物知りの老妻に聞いてみたらさすがである。明解な答えが
かえってきた。

春のお彼岸に食べるのが”ぼたもち”で、秋のお彼岸に食べるのが”おはぎ”なのだそ
うだ。”ぼたもち”は春に咲く牡丹の花の色と形状が似ているから”ぼたもち”で、一方、
”おはぎ”は、秋に咲く萩の花の色と形に似せて昔は作ったとのことだ。調べてみると、
「和漢三才図会」という本にも同じことが記されている。

今は”おはぎ”も”ぼたもち”も混同して使われている。東京では牡丹の花など周りには
ないし、秋には萩の花の咲く所などない。季節感の喪失から僕のような”おはぎ”と”ぼ
たもち”の違いが判らない男が出ても仕方がないのかしれない。

      「バターン死の行進」ではなかった写真

2010-03-21 06:37:49 | Weblog
「バターン死の行進」の写真説明をAP通信が65年ぶりに訂正した。この写真は
wikipediaにも紹介されているほど有名なもの。フィリピン戦線で捕虜になった米
軍の捕虜が二人がかりで戦死者の遺体をかつぎ行進している姿を撮ったものと
されていた。ところが、最近になって生存者の証言から、そうではなくて行進の数
週間後、収容所で撮影されたものだった。

「バターン死の行進」は昭和17年4月、フィリピン戦線で日本軍に投降した連合軍
捕虜8万人を収容所まで移動させる際、自動車不足から80㌔の道のりを歩かせた
ため数千人が炎天下の疲労とマラリアで病死したといわれるもの。戦後、この責任
を問われ、本間雅晴・第14軍司令官らがマニラ法廷で処刑されている。

すこし考えれば、この写真はおかしかった。捕虜が延々と80㌔もの道を遺体を担い
で行進するわけはなかった。普通、戦死した遺体は、戦闘が終わった後、その場で
土に埋め、日本軍の場合は手の指を切断して戦友が持ち運んだ。マレーのコタバル
では、イスラムで火葬できないため、舟で仏教国のタイ領まで運んだ例もある。

戦争写真の問題性については「南京虐殺」ですでに証明ずみである。中国側が日本
軍の残虐としている写真の多くはインチキか、合成されたものだ。写真の和蘭戦争博
物館発行の出版物の表紙の写真は、戦時下の民間人強制収容所としているが、実
際は戦後、和蘭人がインドネシア人によって襲撃されるのを保護すため、日本軍の兵
士が歩哨にたっているものだ。

        谷垣総裁のメガネのふち

2010-03-20 07:35:52 | Weblog
”時の人”民主党の小沢一郎幹事長が、これまた”時の人”の自民党の与謝野馨・元
財務相と都内のホテルで会談した、という小さな新聞記事をみた。二人が何を話をし
たのか知らないが、二人は政界きっての碁打ち、まさか次の対局の打合せをしたので
もあるまい。先日テレビで自民党の山本有二・元金融相は”党の大事な時に野党の幹
事長と囲碁などの遊びに興ずるとは何事だ”と与謝野氏を批判していた。

その小沢幹事長をメデイアで批判したとして、副幹事長の生方幸夫氏が”問答無用”で
解任された。僕らからみれば、政治とカネで秘書ら三人が逮捕されても幹事長の座にい
るのはおかしい。生方氏の意見は正しいのだが、副幹事長の意見としてはどうなのか。
鳩山総理は”規律違反”として解任を許認した。

自民党でも先日、鳩山邦夫・総務相が執行部を批判して離党し、園田博之幹事長代理
も職を辞めたが、解任ではなかった。自民党の体質なのか、谷垣禎二総裁のお人柄な
のかは知らない。

男はある年代になると、自分の顔に責任を持てといわれるし、事実人柄が顔に出てくる。
民主党の小沢一郎幹事長も山岡国会対策委員長も輿石東参院会長も共通な顔をしてい
る。自民党の与謝野氏もそれに近い政治家の顔である。これに反して谷垣総裁の顔は違
う印象を受ける。お人柄なのだろうか。僕はスタイリストではないが、総裁のメガネのフチ
に問題があるようだ。もっとフチを太くし、いかめしくしたらどうだろうか。


          江戸前壽司とクロマグロ

2010-03-19 06:44:45 | Weblog
大西洋・地中海海産のクロマグロを禁輸しようとモナコが提案した案が、反対多数で
否決された。回転壽司のテーブルから安いマグロが姿を消すののではないかと心配
していた庶民は、まずまずの一安心である。採決前はクジラ同様、欧米の食習慣の
エゴでマグロまで國際取引が禁止されるという予想が強かった。が、結果は”マグロ”
党の勝利に終わった。

東京生まれ、東京育ちの僕は、まぐろは嫌いではないが、壽司ネタのマグロにはそれ
ほど未練はない。戦前江戸前壽司といえば、江戸湾(東京湾)で獲れた魚介類が中心
だった。シャコやあなご、青柳、こはだ,いか、たこにかんぴょう巻き、卵焼きなどなど、
マグロや鉄砲巻きもあったが、今よりワサビがきつく子どもの舌には向かなかった。

昭和10年代、僕は目黒川添いの五反田に住んでいたが、東京湾で朝獲れたばかりのサ
カナや貝を大森海岸の漁師がリヤカーに乗せて売りにきていたし、北品川の三共製薬の
あたりまで漁師の舟が上ってきていた。

昭和40年代、僕は転勤で札幌に住んでいたが、どうも北海道の壽司ネタになじめなかった。
イクラやウニ、ホタテ,ホッキなど新鮮な高級ネタもあったし、子どものとき大好物だったシャ
コもあったが、北海道でガサエビと呼ばれるシャコは似て非で大味で美味しくなかった。

食の好みは、幼児期の食習慣が大部影響しているのではないだろうかー。札幌にいた時、
「屯田壽司」というチェーン店があり、大型壽司を売物にしていたが、シャリがおにぎりほど
あって閉口した。大西洋・地中海からのクロマグロが来なくても、僕にはいっこう問題では
ないのだが、やはり回転壽司の世代には問題だ。禁輸がなくなって良かった良かった。でも
今のマグロ・ブームはちょっと異常のように思えるのだがどうだろう。




       昔 万年青(おもと)  今 洋ラン

2010-03-18 05:13:21 | Weblog
部屋の出窓に置いていたデンドロビュムが今,満開である。老妻が昨年、花の散りか
けた一鉢を安く買ってきた。果たして今年は花をつけるかどうか心配していたが、見事
に咲いた。(写真)

デンドロビュム,シンビデイムなど舌のかみそうな洋ランが庶民の家でも楽しめるように
なったのは、そんなに昔ではない。昔は温室などがある一部のお金持ちの愛玩の花で
あった。庶民の家でも育てられるようになったのは、エアコンが普及して居間が温室化
されるようになってからでは、ないだろうか。

戦前の東京では、園芸といえば万年青(おもと)を育てている家が多かった。万年青は日
本の古典園芸植物で、江戸時代から庶民に愛好されていた。東京の狭い路地を入った長
屋の軒先にも万年青の鉢が置いてあり、肥料の卵のカラが添えてあった。万年青の面白
さは葉の縞や紋のようであるが、子どもであった僕にはわからなかった。

万年青は洋ランなどとは違って半日陰を好む植物らしく、亡くなった母も一鉢持っており、僕
が北海道へ転勤した際も持っていった。札幌の雪の下でも生き延びて今も庭のかた隅で
育っている。

老妻と異なり植物にはまったく無縁の男だったが、最近は加齢のせいか多少花鳥にも関心
が出てきた。デンドロビュムの華やかさにも魅かれるようになった。

        アニメの性描写とセックス・アニマル

2010-03-17 06:31:34 | Weblog
日本の男性の性モラルはどうなったのか?昨日の新聞をみると名古屋高検の検事が
携帯カメラで女性のスカートの下を盗撮していたという。また、別の新聞には東大の準
教授が指導の女子学生にセクハラ行為をして解雇された、と載っていた。こんなくだら
ない、セックス・アニマルの記事が最近多すぎる。

東京都ではアニメ、漫画など架空の人物の性描写を規制するため青少年健全育成条
例の改正案を都議会に提出することを検討している。これに対して漫画家たちが”表現
の自由の侵害だ”と反対している。都のPTA協議会は街頭の書店に”目をおおいたくな
る”漫画が多すぎると都の改正案を支持している。

セックス・モラルについては人それぞれ違うが、戦前の日本の社会は”猥褻”(わいせつ)
に対して厳しかった。例えば、出版物の性描写は検閲で許可されず、すべて○○△△と
伏字にされた。明治大正文学全集に出てくる文豪の作品でもそうだった。戦後でも昭和20
年代、英国の作家、D・H・ローレンスの「チヤタレー夫人の恋人」の翻訳が”猥褻”視され
有罪判決を受けている。

こういった環境の中で育った僕らの世代には、今の日本の社会の”性はんらん”には目を
おおいたくなる。”猥褻”かどうかは別にして、世界でもこんな国は珍しい。イスラム国家
では”鞭打ち”刑に処せられるかもしれない。スカートの中の盗撮とか電車の中のセクハラ
といった馬鹿げた行為は、戦後の日本の社会の誤った性の解放と関係がなければよいの
だが。


         お花見の提灯が飾られました!

2010-03-16 05:03:36 | Weblog
娘婿一家が昨夕、雪の北海道から”寒かった”の言葉を連発して帰宅した。娘婿の
実家のある函館へ孫(僕にとって)の大学合格報告と仏事をかねての久しぶりのお
郷かえりである。長い日本列島は、この時季「北」と「南」とでは気候がまるっきり違
う。東京と函館とでは気温の差は10度以上はある。

29年前になる。僕は当時勤めていた札幌の会社を辞めて故郷の東京へ帰った。55
歳の定年を控えて異郷で、これを迎える不安からだが、北海道の気候がその引きガ
ネでもあった。東京育ちの僕にとっては11月から4月まで、氷と雪の中で生活するの
がきつかった。

東京へ戻って友人、知人に出した僕の挨拶状は”沈丁花の匂う東京”という形容句で
始まっていた。その沈丁花の芳香が今年も漂い始めてきた。昨日、散歩に近くの暗渠
の上の桜並木を通ったら、蕾はまだ固いのに、早くもお花見の提灯が飾られていた。

福岡からはもう花の便りが届いた。東京も今年はお彼岸前に開花するという予報もある。
自然の動きは正直である。これに反して政治はどうなんだ。何事も先送りである。沖縄
では花が散って葉桜だというのに、いっこうに普天間問題解決の先がみえない。政治資
金問題について、きちんと説明がつかないならば、桜のように潔く散ったらどうだろうか。


         ”鳩印ブランド”はもう結構

2010-03-15 05:59:52 | Weblog
自民党の与謝野馨・元財務相が月刊「文藝春秋」に書いた”新党結成に腹をくくる”
論文が自民党党内に波紋を呼んでいるようだ。これが自民党内部の”コップの中の
嵐”なのかどうかしらない。が、今こそ自民党にとって一致団結、がけ淵の鳩山内閣
を追い込むチャンスなのにおかしい。

昨日テレビの番組を見ていたら新党結成にからんで鳩山邦夫・元総務相が発言して
いた。ちょっと聞いただけで不正確かもしれないが、内容は新党結成を目指す与謝野
氏と舛添要一・元厚労相との間の接着剤、”坂本龍馬”役をしたい”という趣旨だった。
これを聞いた僕は、今さら”鳩印ブランド”の出番でもないのにと思った。

鳩山由起夫総理が不人気なのは政治資金法違反にからむ”おかあさん”からの多額の
贈与だ。弟の邦夫氏は、兄の由起夫氏を批判して”兄は黒い鳩、自分は白い鳩”といっ
ている。邦夫氏が白い鳩かどうかは知らないが、素朴な国民感情は”お二人ともお金持
ちのお坊ちゃんでいいなあ”という僻み根性もある。

それに邦夫氏は”アルカイーダの友の友”的おかしな発言が多く、政局の節目節目に名
前が登場してくる人物だ。

自民党にとっては、マニフェスト違反で迷走を続ける民主党政権を追い落とすチャンスであ
る。それなのに、内部で執行部批判をしても始まらない。”高い月謝を払った”のだから、今
こそ、その反省の上にたって日本の国を正常な形に戻してもらいたい。

          末期高齢者時代の悲劇

2010-03-14 06:50:15 | Weblog
札幌の高齢者施設で深夜,火事があり、入居者7人焼死した。犠牲者のほとんどが身体
の不自由な認知症高齢者であった。施設は「認知症のグループホーム」と言い、介護の
必要な認知症の年寄りが、施設の職員の支援を得て共同生活をする場所だという。病院
ではないが、介護の必要なお年寄りの施設である。それなのに夜間の当直は、若い女性
の介護師一人だけだったという。

後期高齢者医療保険が発足した時、当時の福田康夫首相は”後期をやめて長寿に名前を
変えよ”と言った。その直後には”長寿”の名前を使用した役所もあったが、今や後期どころ
か、現実には”末期高齢者”時代になってきた。昨年3月には群馬県渋川市の高齢者施設で
札幌と同じように深夜の火災で10人の、ほとんどが身寄りのない老人が犠牲になっている。
起こりうるして起きた事故であった。

先週発覚した兵庫県佐用町の病院看護師の場合は”末期高齢者”殺人事件ともいえる。女性
看護師が”職場のイライラ”から75歳から99歳までのお年寄りの肋骨を折って6人も殺していた。
これは事故ではなくて事件である。

末期高齢者という役所言葉が実際あるそうだ。いつから日本の社会全体が年寄りを蔑視する
ようになったのであろうか。年齢的には末期高齢者は80歳以上を指すらしいが、この世代は
戦争に巻き込まれ、男性は戦場へ行き、女性の中には20代で”未亡人”になった方もいる。
そして戦後の日本の復興のために働いてきた。

鳩山総理は”命を大切にする”政治を説く。が、現実は末期高齢者の悲劇の時代である。総理
のようなのを総理の選挙区、北海道では”言いフリこき”(格好だけで身がともわない)という。


        後期高齢者にはお手上げのe-Tax

2010-03-13 06:37:28 | Weblog
昨日、老妻が夜なべをして作成した確定申告書を持って二人で税務署へ出かけ納税
してきた。わが家では僕がサラリーマンの現役時代から確定申告つくりは”多忙”にかま
けて老妻の仕事になっていた。鳩山総理も国会で確定申告の作業はやったことはない
と答弁していたが、その点は僕も同じだ。が、違うのは僕には生前贈与もないし、これを
逃れる才覚もないことだ。

確定申告書の作成は、老妻の夜なべ作業をみていると大変のようだ。今年は国税庁が
e-Taxに力をいれ、これでやると手間暇が省けると宣伝している。老妻に同情し、僕も
e-Taxに挑戦してみようと、国税庁のhpをみたが、とても僕のパソコンの技能では無理
である。下手してやれば”振り込め”サギにかかってしまいそうな恐怖もある。とても後期
高齢者向きではない。僕の周りにはFAXさえ使えない者が沢山いるのが現状だ。

毎年、年金生活者で確定申告をする者が増えてきているそうだ。昨日もそれとおぼしき老
人の姿が多かった。税務署員の対応は、へんな”鳩山効果”のお陰でいつになくよい。でも
考えてみると、80歳近い老人に納税の書類を作らせ、交通費までかけさせて出頭させる制
度は”いかなるものか”である。

国民に率先して納税を呼びかける立場の行政のトップが”知りませんでした”ですむ問題で
はない。脱税を取り締まる国税庁が”総理”だからといって、手心を加えているのは、国民感
情が許せない。わが国は法治国家である。