「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          末期高齢者時代の悲劇

2010-03-14 06:50:15 | Weblog
札幌の高齢者施設で深夜,火事があり、入居者7人焼死した。犠牲者のほとんどが身体
の不自由な認知症高齢者であった。施設は「認知症のグループホーム」と言い、介護の
必要な認知症の年寄りが、施設の職員の支援を得て共同生活をする場所だという。病院
ではないが、介護の必要なお年寄りの施設である。それなのに夜間の当直は、若い女性
の介護師一人だけだったという。

後期高齢者医療保険が発足した時、当時の福田康夫首相は”後期をやめて長寿に名前を
変えよ”と言った。その直後には”長寿”の名前を使用した役所もあったが、今や後期どころ
か、現実には”末期高齢者”時代になってきた。昨年3月には群馬県渋川市の高齢者施設で
札幌と同じように深夜の火災で10人の、ほとんどが身寄りのない老人が犠牲になっている。
起こりうるして起きた事故であった。

先週発覚した兵庫県佐用町の病院看護師の場合は”末期高齢者”殺人事件ともいえる。女性
看護師が”職場のイライラ”から75歳から99歳までのお年寄りの肋骨を折って6人も殺していた。
これは事故ではなくて事件である。

末期高齢者という役所言葉が実際あるそうだ。いつから日本の社会全体が年寄りを蔑視する
ようになったのであろうか。年齢的には末期高齢者は80歳以上を指すらしいが、この世代は
戦争に巻き込まれ、男性は戦場へ行き、女性の中には20代で”未亡人”になった方もいる。
そして戦後の日本の復興のために働いてきた。

鳩山総理は”命を大切にする”政治を説く。が、現実は末期高齢者の悲劇の時代である。総理
のようなのを総理の選挙区、北海道では”言いフリこき”(格好だけで身がともわない)という。