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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

    四人の百歳の誕生日会を祝った福島の介護老人保健施設

2013-01-30 07:49:55 | Weblog
福島原発事故現場から市の一部が30㌔圏内に入る田村市滝根の介護老人保健施設で施設長をされている女医の田中リナさん(インドネシア国籍)から施設の「聖オリオンの郷」の名前をとった機関誌「オリオンだより」最新号と共に先生が「福島県医師会報」に寄稿された老人医療についての冊子を頂戴した。

田中先生はこの老人介護施設に施設長として赴任されてから8年目に入るが、先生の原稿によると、この間施設で百歳の誕生日会を祝ったお年寄りは4人もおり、逆に死亡診断書を書いたのは105歳の方一人だけだという。このことを東京の施設でケア.マネージャーをしている僕の知人に話をしたところ、とても信じられないと驚いていた。もちろん、これは先生も原稿で書いておられるように地域の関係医療機関、救急隊員、住民の支援それに施設の全職員の誠意ある仕事の賜物である。

老妻と二人で先生の原稿を読んで”お医者さん嫌い”の老妻が我が意を得たと僕に言った。それは先生が必要以上にお年寄りに薬を投与していないことだ。お年寄りの中には、薬をたくさんくれる医者が名医だと誤解し、風呂敷包みを持って病院に出かけていたとのこと。先生はもともと産婦人科が専門なこともあって出来るだけ薬に頼らない治療をされている。

田中先生は昭和21年、9歳だった時、日本海軍の軍属だったお父さん夫妻と共にインドネシアの小さな島から日本に引揚げてきた。当時の東京は一面焼け野原だった。戦後の苦しい生活の中で、先生は私立の小中一貫校から都立の高校を出て難関の医大を卒業、日本での医師免許と博士号を得ている。南の国生れだが、先生は今はこの雪深い阿武隈の山あいの生活がすっかり気にいっておられ、手紙には施設のきれいな雪景色の写真が添えられてあった。