「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           ”地の果て”アルジェリアの悲劇

2013-01-19 08:04:13 | Weblog
北アフリカのアルジェリアの首都、アルジェから1300㌔も離れたイナメナスという砂漠の中の天然ガス関連施設で10人もの日本人が現地政府軍とアラブ過激派との間の戦闘に巻き込まれ安否が気づかれている。安倍総理は急きょ、インドネシア公式訪問を取りやめ帰国、陣頭指揮で情報収集に当たっている。一日も早く問題が解決されることを祈っている。

事件を知って僕らの世代は昭和30年(1960年)ヒットした「カスバ}の歌を思い出した。
         ♯ カスパの女(作詞大高ひさお 作曲久保山明)
           涙だじゃない 浮気な雨に ちょっぴりこの頬(ほほ)濡らしただけさ
           ここは地の果てアルジェリア どうせカスバの夜に咲く
           酒場の女のうす情け
この歌は最初エト邦枝が歌い、その後ちあきなおみや八代亜紀らもカバーしている。昭和30年といえばまだ日本的な演歌が多かったが、この歌には”アルジェリア”とか”カスバ”といった聞きなれない歌詞があり、メロディ自体も哀調を帯びた独特の響きがあった。

何故、当時この歌がヒットしたのか、今回の事件をきっかけに調べてみたら、作詞家の大高ひさお(故人)は戦前日本でも大ヒットしたジャン.ギャバン主演の「ぺぺルモコ}(望郷)に触発されてこの歌を作詞した。折からアルジェリアは宗主国フランスとの間の独立戦争中で、毎日のように「アルジェリア」やフランスの「ドゴール」大統領の名前が新聞紙上を賑わせていた。

この”地の果て”と歌われたアルジェリアにも外務省の調査によると、1000人もの日本人が滞在している。戦前1930年代、何故か「望郷」をはじめ「モロッコ」「外人部隊」など北アフリカの「マグレブ」(西部)を舞台にした映画が世界的にヒットした。子供だった僕もそのうちの幾つかを見たような記憶があるが、今回の事件で改めてこの地がやはり”地の果て”であることを知らされた。