「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            タガが緩んできた日本の社会

2011-05-30 07:15:47 | Weblog
北海道占冠村付近のトンネル内の脱線、火災事故て焼け焦げ外に運び出された特急の車体をテレビで見た。すさまじい破壊ぶりだ。よくこれで大惨事に至らなかったのか不思議なくらいである。災難にあった乗客によると、”車内に出ないで”という乗務員の制止を振り切って、扉を開け線路を歩いて外に脱出、難を免れたという。この間、運転士や車掌は火災に気づかず司令室にも連絡していなかったという。信じられない話だ。

どうも東京電力福島原発事故後の政府や東電の対応をみていると、この事故と共通点が感じられる。それは日本社会全体のタガが緩んできたのではないのだろうか。タガとは広辞苑(岩波書店)によると”竹を割ってたがねた輪で、桶や樽などにはめて外側を強く締め付けるのに使われる”とある。これが、年代を経てゆるむと、中までバラバラになってしまう。つまり緊張や束縛から解けてしまりのない状態のことだ。

タガが緩むとどうなるかー。しまりがなくなり勝手な行動に出る。東電福島原発では現地の所長が、政府(本社)からの海水注入停止指令を無視して、注入を継続した。占冠村トンネル内の特急事故では、乗客たちは乗務員の制止を無視して、車外に出て生命をとりとめた。両方とも結果的にはよかったが、間違えれば逆の事態だってありえた。

"菅おろし”の政局もいよいよ山場にきた。菅総理不信任案が、今週中には提出される模様である。可決されるかどうかは予断は許されない。いつにもって与党民主党内部の動きにかかっている。小沢氏一派をはじめ、すでに公然と不信任案に賛成を投じると公言している。民主党のタガはすでに緩んでいる。社会全体のタガの緩みには賛成ではないが"菅おろし”は、民主党内のタガを締めなおした程度では、もう無理である。