「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        震災復興”かまど起こし”を祈願

2011-03-27 07:22:46 | Weblog
旧東海道品川宿のはずれにある曹洞宗海雲寺は、江戸の昔から千軆荒神が”かまどの神様”として信仰を集め,春秋二回、3月、11月の27,28日が大祭日だが、今年は東北関東大震災のため中止となった。わが家では先祖の代から参詣しているが、大祭が中止になったのは昭和20年3月の東京大空襲以来である。

東北関東大震災で予定していた集まりや行事のキャンセルが多い。40年前に勤めていた郡山のテレビ局のOB会も早々と中止と決まった。毎年開成山のお花見をかねて開催され、今年は傘寿のお祝いも貰えそうなので楽しみにしていた。しかし、それどころではない。福島県は地震と津浪それに原発事故と三つも災難に見舞われてしまった。お世話になった地だけに心からお見舞い申し上げる。

娘から品川の荒神様のお祭りは今年は中止だよ、と聞いていたが、こんな年だからこそ出かけてお参り、しようと夫婦でバスを乗り継いで出かけた。江戸の商人は”かまどを起こす”という縁起かつぎと同時に”火の用心”を祈願し、さらにはお寺が東海道筋、江戸湾に面していることから”水難”への祈願もこめられている。

大祭の中止は地元の警察の要請によるものだという。しかし、信者への徹底がかけているみたいで、ツエをついたお年寄りが本堂で手を合わせて拝んだあと、がっかりした表情で帰って行く。いつもなら近くの京急青物横丁の駅からお寺まで並ぶ縁起物の”お釜おこし”や海産物など売る屋台の店が一軒もでていない。僕ら夫婦は中止を承知の上ででかけたのだが、やはり年に二回の楽しみがないは寂しい。ただただ被災地の犠牲者に対して手をあわせ、一日も早く”かまど”を起こされんことを祈願した。
(写真は祭りの中止と火の用心のポスター)