goo blog サービス終了のお知らせ 

「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       台湾旅行記(3) 近歩五 上等兵の友

2010-11-10 06:04:51 | Weblog
今回の台湾旅行で僕ら夫婦は在台北の林大正さん一家に大変お世話になった。林大正さんは名前から判るように日本統治時代の大正(14年)生まれの85歳。旧日本陸軍近衛歩兵第五連隊の上等兵である。林さんは昭和17年11月、17歳の時、第二五軍司令部の軍属として当時の昭南島(シンガポール)に渡り、第二五軍のブキティンギ(西スマトラ)移動と共に同地に移り、19年、志願兵でアチェ駐屯の近衛歩兵第五連隊(近歩五)に入隊、終戦時は上等兵であった。

林さんは戦後、日本兵として21年10月、シンガポール経由でリバティ型復員船で佐世保に上陸、いったん東京へ行ったが22年1月、故郷の台北に帰った。その直後に林さんは、外省人(国府軍)による内省人(台湾人)虐殺事件(2・28事件)に遭遇、2か月間も山中に身を隠して九死に一生を得た経験をしている。

僕が林さんと最初に知合ったのは、平成8年、東京の九段会館で催された第二五軍司令部の戦友会の席上であった。当時僕はブキティンギにあった同司令部の防空壕で日本軍が3千人の労務者を殺したという虚報について調査していた。以来、僕は林さんと"戦友”としてお付き合い願っている。

林さんは僕らの今回の旅で、ライオンズ・クラブ幹部の多忙の身なのに台北市内の旧日本統治時代の遺跡、旧総督府の建物、台湾神社跡(圓山大飯店)園芸試験所跡(士林官邸)などを案内してくれた。林さんは日本統治時代の功績を口に出してこそ賞賛しなかったが、懐かしんでおられた。そして尖閣諸島の今回の日本政府のとった態度を批判し、尖閣諸島は日本の固有の領土だと中国を非難されていた。
(写真は士林官邸、日本統治時代の旧園芸試験所)