「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            京都のコロッケ

2007-10-04 04:54:12 | Weblog
”今日もコロッケ、明日もコロッケ”-大正時代に流行した歌だそうだが、
そのコロッケが京都の名物だという。テレビのグルメ番組かなにかで得た
知識だが、インターネットで検索すると、本当にそうだった。あるわあるわ
京市内の美味しいコロッケ店の紹介やそのマップまであった。

僕は京都のコロッケについて想い出がある。65年前のこと、参宮旅行(修
学旅行)の帰途、京都駅前の旅館で食べたコロッケの味が今でも忘れられ
ない。当時の友人達と会うといつもその味の話になる。

昭和17年10月2日ー6日、東京の国民学校(小学校)6年生だった僕らは、
緒戦の勝利の”ご褒美”として、伊勢、奈良、京都、4泊6日(2日車中泊)の
参宮旅行をプレゼントされた。旅館で食事が出たのだから、まだ食糧事情は
それほど悪くなっていなかったのだが、京都のコロッケ以外、他の所でなにを
たべたのか、まったく記憶にない。

その頃からコロッケが京都の名物だったかどうかは知らない。まだ京都市内
には市電が通っていた。僕らはそれに乗って御所と平安神宮へでかけた記
憶があるが、コロッケの味が美味しすぎて、他の事は忘れてしまった。

後年、昭和の終わりから平成の初め頃にかけて、十数回京都へ行く機会が
あったが、一度もコロッケを食べる機会がなかった。どうしても京都へ行けば
やはり伝統の京料理が食べたくなる。コロッケ・マップには鴨川を揚げたての
コロッケをたべながら散策するのもいいものだ、と書いてある。一度、コロッケ
のノスタルジア旅行をしてみたいが、昔の味はただ追憶の中にとどめていた
ほうがよいのかも知れない。