ビター☆チョコ

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シャイン

2007-07-29 | 洋画【さ】行

オーストラリアの実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの半生を綴った物語。
劇中のピアノは、ほとんどデヴィッド本人が演奏している。

幼い頃から天才少年と呼ばれてきたデヴィッド。
父は幼い頃の自分の夢を息子に託し、厳しいレッスンを課すのだった。
やがて成長したデヴィッドは、父の元から飛び立ちたいと願う。
しかし、父は息子を手放そうとはしない。
家出同然でロンドンに留学したデヴィッドは、今まで以上にピアノにのめり込むのだった。



ロンドンで貧しい暮らしをしながらデヴィッド(ノア・テイラー)は、ひたすらピアノを弾き続ける。
コンクールの決勝に残ったデヴィッドが選んだ曲は「ラフマニノフ協奏曲第3番」。
難関中の難関、と呼ばれる曲で
実は決別した父との思い出の曲だった。

猛練習の末、コンクールで見事に演奏しきった彼は、観客の喝采を受けながら倒れてしまう。
そして、不幸なことに彼はその後、精神に異常をきたしてしまうのだ。
留学先からオーストラリアに帰った彼を、それでも父は受け入れようとしない。

医者にピアノを弾くことを止められ
翼をもがれたような空白の長い時間があって
ある日突然、デヴィッド(ジェフリー・ラッシュ)のピアノへの想いが目を覚ます。

体は大人でも
まるで子供に戻ってしまったようなデヴィッドは
これまで「勝つ」ことだけを期待されて弾いてきたピアノとは違うピアノを弾きだしたようだ。

体中からあふれるように湧いてくるピアノへの想い。
強く、激しく弾く姿は、彼がピアノに愛されてる人間なのだと思い知らされる。

ひとつの道を究めようとするものの苦悩と
歪んだ形ではあっても、心から息子を愛した父と
父から逃れようとして、それでも父を愛する息子と
子供のようになってしまったデヴィッドを応援する人々と
いろいろな想いがデヴィッドのピアノを、より輝かせているようだ。


才能を持って生まれた人間というのは
たとえどんな境遇になっても輝くことが出来るのだと思う。
たとえばデヴィッドのようにピアノに愛された人間は、
一度見失っても、必ずピアノが見つけ出す。

平凡な私は
選ばれた特別な人が放つ輝きを
時々、遠くから見つめて
それだけでも、けっこう勇気をもらって生きていけるのだ。
そんな人生も、それはそれでいいものかもしれない。
ラフマニノフの3番を、きちんと聴いてみたくなった。