加藤浩子著「オペラで楽しむヨーロッパ史」(平凡社新書)を読みました。加藤さんの著書は、「オペラでわかるヨーロッパ史」、「音楽で楽しむ名画」と2冊読み、本作で3冊めです。
(著者について)
加藤浩子さんは、慶応大学大学院終了(音楽史専攻)、インスブルック大学に留学。大学講師、著述のほか、オペラ、音楽ツァーの企画・同行なども行っています。著書は、「ヴェルディ」、「オペラでわかるヨーロッパ史」(平凡社新書)など多数。
(大まかな目次(本書で取り上げるオペラ))
(感 想)
フレッシュな視点が面白く、一気に読みました。前作の「オペラでわかるヨーロッパ史」は、オペラの背景なども描きヨーロッパ史を解きほぐしてくれる内容で、取り上げたオペラの数も多いものでした。今回は、歴史上の出来事がオペラでどう表現されたのかという、一歩踏み込んだ内容です。
モーツァルトの「フィガロの結婚」では、台本にも音楽にもフランス革命の時代背景があることが書かれています。そのフランス革命が引き金になってイタリア統一、ドイツ統一がおこり、「統一」というキーワードで、ヴェルディとワーグナーの作品について書かれています。
今回最も印象に残ったのが、フランスの国民的ヒロイン「ジャンヌ・ダルク」のオペラを扱った第5章でした。そもそもジャンヌ・ダルクついて、どういう人だったのかを実はこの本では初めて知りました。オネゲルのオラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」をDVDで観てみたくなりました。
登場するオペラの中で、ヴェルディの「ナブッコ」を観てみました。ヴェルディの旋律は歌謡性に富んでいて、『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』は、大好きな合唱曲です。
第二章の扉
第五章の扉
【DVD ナブッコ】
ディアゴスティーニ社から出されたオペラコレクションの一つです。レオ・ヌッチ、マリア・グレギーナなど一流歌手が出演しています。
冊子のついています。
冊子の中に解説とともに掲載されている「行け、わが想いよ、金色の翼に乗って」の楽譜。それにしても素晴らしい旋律。