安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ベニー・ゴルソン(ts)、山岡未樹(vo)ライブ (12月20日 山梨県甲府市COTTONCLUB)

2018-12-21 20:10:02 | 演奏会・ライブ

テナー・サックス奏者で、作編曲家のベニー・ゴルソンが来日し、甲府のCOTTONCLUBに出演するというので、聴きに行きました。山岡未樹(vo)のステージにゲストとして出るという形ですが、伝説の巨人だけに、観るだけでもよいと思いながら出かけて行きました。

   

(出 演)

Benny Golson (ベニー・ゴルソン) (ts) 
山岡未樹 (vo)
今泉正明 (p)
川上 修 (b)
広瀬潤次 (ds)

「Stablemates」を演奏しているベニー・ゴルソン(ts)とリズム・セクション。会場内は満席で、チケットは完売とのことでした。

ベニー・ゴルソン(ts)

ライブ開始時の挨拶

今泉正明(p)

川上 修(b)

真ん中に広瀬潤次(ds)と右に山岡未樹(vo)

(曲 目)

(第1セット)

Whisper Not (Benny Golson)
Autumn in New York (Vernon Duke)
Five Spot After Dark (Benny Golson) 【歌抜きのインストナンバー】
Fly Me To The Moon (Bart Howard)
Stablemates (Benny Golson) 【歌抜きのインストナンバー】

(第2セット)

I Love You (Cole Porter)
I Remember Clifford (Benny Golson)
Killer Joe (Benny Golson) 【歌抜きのインストナンバー】

演奏の途中でしたが、翌日の日程があり長野市の自宅に帰らなくてはならず、中央線特急「あづさ」(21時31分甲府駅発)に乗車するためにお店を後にしました(泣)。

(感 想)

伝説のジャズ・ジャイアントであるベニー・ゴルソンを実際に目の前で観て、テナーサックスの音を聴くことができ、それだけで感激したライブでした。現在89歳で近く90歳になるそうですが、椅子に座ってプレイをしていたものの、控室からは誰の手も借りずすたすたと歩いてき、サックスの音もしっかりとしていて、お元気そうでした。

ベニー・ゴルソン本人が作曲したナンバーが歌われ、演奏されましたが、ジャズの名曲中の名曲ばかりが並んでいて壮観です。山岡未樹さんの歌もありましたが、歌抜きのインスト(器楽)ナンバーが、メロディや編曲に往年の名盤を想い起し、スイング感で自然に体も揺れて、聴きものでした。

「Five Spot After Dark」では、ゴルソンはテーマと短いソロをとっていましたが、伴奏の3人がそれぞれ渾身のプレイを行っていたのが印象に残りました。特に、広瀬潤次のドラムソロは、メロディアスでタイミングも面白く、日本のライブ現場で滅多に聴けない素晴らしいものでした。先週、片岡雄三(tb)カルテットのライブで、広瀬さんの演奏を聴いたばかりですが、当夜は一段と良いものでした。

「Stablemates」では、ゴルソン(ts)がいくぶん高い音も使いながらソロをとり往年のウネウネしたゴルソン節を髣髴とさせる嬉しいプレイを行っていました。この曲は、ジョン・コルトレーンが売れていなかったマイルス・デイビスを連れてきて、彼のために曲を書いてほしいという依頼があり、ゴルソンが作曲したものだそうですが、この曲で、マイルスが有名になり、ゴルソンも名前を知られるようになったと語っていました。

曲と曲の間にも話が入るのですが、後半は、トークタイムから始まり、映画「ターミナル」出演の話とか、尊敬しているミュージシャンはアート・ブレイキーだといった話があったりで20分以上その時間が続きました。演奏が始まったのは午後9時近くになってからで、残念ですが、3曲目の途中でお店を出ざるを得ませんでした。

【当日の甲府COTTONCLUB】

住所:山梨県甲府市中央4丁目3−20
電話:055-233-0008
ホームページ:cottonclub (インスタグラムのページです)

お店の受付カウンター

夕食に食べたキーマカレー。

ビールを飲みながら食べたチキンのから揚げ。ポテトも盛られていて、ヴォリュームが多く食べ過ぎました。

【山岡未樹、ベニー・ゴルソン「One Day, Forever」】

会場で購入したCDです。ベニー・ゴルソンのサインは、当日のライブ開始前にされたものだそうです。

   


レストラン ヒルトン (洋食 長野市豊野)

2018-12-20 20:06:27 | グルメ

先日、所用で長野市の北部方面に行ったので、昼食はレストラン「ヒルトン」でとりました。昭和45年創業という、このあたりでは老舗のお店で、僕も何度か寄ったことがあります。昼時のお終いの方に入ったのですが、広い店内はお客様が結構入っていました。

メニューは豊富で、洋食の定番ものやコースなどいろいろとあり、子供からお年寄りまで、どの世代にも親しまれやすそうです。本日は、ステーキ・ランチにしましたが、前菜、お肉ともボリュームがあって、満足しました。

国道18号沿いにあります。この看板は目立ちます。

建物外観。

入口

お店に入ったところ。

店内。

前菜。野菜やハム、サケのカルパッチョなどがのっていました。さっぱりとして美味しい。

ステーキ。ケッパーソースがかかっていて、ボリュームもありました。

ランチのごはん。

デザートと珈琲。

ブドウのシャインマスカットが使われていました。

珈琲。

【レストラン ヒルトン】

住所:長野県長野市豊野町浅野1778
電話:050-5589-6097
ホームページ:レストラン ヒルトン (食べログのページです)


ドン・パターソン HOLIDAY SOUL 【クリスマス曲集】

2018-12-19 20:09:37 | ヴァイブ、オルガン他

ジャズ批評誌の2018年11月号は、クリスマス・ジャズ特集で、クリスマスの曲が収録されたディスクを142紹介しています。多くのアルバムがあって、クリスマスは欧米では最高に楽しい行事であることが実感されました。僕は曲自体に馴染みのないものが多いので、村尾陸男著「ジャズ詩大全 別巻・クリスマス編」を読みながら、レコード・CDを聴いてみました。

DON PATTERSON (ドン・パターソン)
HOLIDAY SOUL (Prestige 1964年録音)

   

ハモンドオルガン奏者のドン・パターソン(1936~88年)は、ソニー・スティット(as,ts)との共演で知られていて、プレスティッジレーベルなどにリーダー作も残しています。初めはピアノでしたが、ジミー・スミス(org)の演奏を聴いて楽器を変え、1959年にプロデビューし、ソウルフルなプレイを行いました。

メンバーは、ドン・パターソン(org)、パット・マルティーノ(g)、ビリー・ジェイムス(ds)。ハモンドオルガンは、演奏者がペダルでベース音を弾くので、ベース奏者が加わることは一般的にありません。オルガンの音と相性のよいギターが加わることは多く、ここでもパット・マルティーノが参加していて、マルティーノのプレイも気になります。

クリスマス曲集です。「Rudolph the Red-Nosed Reinder」(赤鼻のトナカイ)、「What Are You Doing New Year's Eve?」、「You're All I Want for Christmas」、「Silent Night」(きよしこの夜)、「O Holy Night」、「Santa Claus Is Coming to Town」(サンタが街にやってくる)、「Merry Christmas Baby」、「Jingle Bells」(ジングル・ベル)の8曲。

シンプルなオルガントリオにより、クリスマス曲をソフルフルな演奏で楽しめます。定番曲については、テーマ部分は崩さずに弾いていて、一気にクリスマス気分になります。ソロに入るとドン・パターソン(org)は、スピードのある長いラインも弾いていて、実力を披歴し、パット・マルティーノ(g)は、細かなフレーズも挟みながら好調です。パターソンの調子のよいロング・ソロが入る「Santa Claus Is Coming to Town」やマルティーノのグルーヴィーなソロが聴きものの「You're All I Want for Christmas」、「Jingle Bells」あたりが面白い。

【ジャズ批評 2018年11月号】

   

【村尾陸男著「ジャズ詩大全 別巻・クリスマス編」(中央アート出版社)】

   

表紙。以下目次です。代表的なクリスマスの曲が網羅されています。歌詞と、特別にこの巻だけは楽譜つきです。

   

小冊子の「WHITE CHRISTMAS」も添付されています。 


若杉実著 「裏ブルーノート」(シンコーミュージック)を読み、「ブルーノート アルバム・カヴァー・アート」(美術出版社)を眺めました。

2018-12-18 20:05:01 | 読書

音楽ジャーナリストで、CDやDVDの企画を手がける若杉実さんが書いた「裏ブルーノート」(シンコーミュージックエンタ-テイメント)を読みました。39枚のブルーノート・レーベルのアルバムについて、なにを聴くかではなく、どう聴くかという視点で、書かれた本です。

 

   

数多いアルバムから39枚選択されて論評されていますが、選択自体がどう聴くかに関連したもので、日本ではあまり話題にならないものも入っています。例えば、エディ・ゲイル「Ghetto Music」(1968年録音)、ジュレミー・スタイグ「Wayfaring Stranger」(1970年録音)、ロニー・スミス「Move Your Hand」(1969年録音)、V.A.「Blue Note At The Roxy」(1976年録音)です。

有名アルバムでもフレッシュな視点からの記述がされています。ジョン・コルトレーン「Blue Train」に関しては、コルトレーンがこの一枚だけのリーダー作を当レーベルへ録音した経緯が語られ、リー・モーガン「The Sidewinder」については、同曲のイントロからテーマに入る休符5拍分から話が始まり、ケニー・バレル「Introducing」では、バレル抜きのリズムだけによる演奏にスポットを当てています。

ハービー・ハンコックの「Empyrean Isles」から「Maiden Voyage」にかけてのリーダーアルバム相互の関連について記した章、黒人差別の解消運動にフランシス・ウルフ(ブルーノート経営者)が一役買っていたという指摘があるエディ・ゲイル「Ghetto Music」の章などは、特に印象深く読みました。

僕の知らないブルーノートレーベルのアルバムを聴きたくなった本でもあります。

【ブルーノート アルバム・カヴァー・アート(美術出版社)】

ジャケット集である「ブルーノート・アルバム・カヴァー・アート」(美術出版社刊)を取り出して眺めてみました。Vol.1とVol.2の表紙を掲載しましたが、大型本なのでスキャナーに入りきれず空間ができてしまいました。Vol.1には、LPジャケット233点がフルカラーで収録され、うち51点はLPサイズで掲載されています。僕の持っているのは旧い版ですが、vol.1については、新版が出ています。

音が聴こえてきそうなレコードジャケットばかりです。上記のうち、若杉実著「裏ブルーノート」では、ソニー・クラーク「Cool Struttin'」、リー・モーガン「The Sidewinder」、ジョン・コルトレーン「Blue Train」について書かれています。

 

こちらは続編のVOL.2です。「裏ブルーノート」では、SABUの「palo congo」、アート・ブレイキー「A Night at Birdland vol.1」について記述されています。


片岡雄三(tb)カルテット・ライブ (12月15日 長野県上田市信州国際音楽村ホール)

2018-12-17 20:12:27 | 演奏会・ライブ

片岡雄三カルテットのライブが、信州国際音楽村で開催されたので、聴いてきました。片岡さんは1967年生まれで、「宮間利之とニューハード」、「原信夫と♯&♭」などビッグバンドでプレイし、現在は自己のカルテットなどで活躍中のトロンボーン奏者です。

   

 (出演者)

片岡雄三(tb)
菊池太光(p)
楠井五月(b)
広瀬潤次(ds)

片岡雄三カルテット

片岡雄三(tb)

菊池太光(p)

楠井五月(b)

広瀬潤次(ds)

演奏終了時の挨拶で、片岡さんが菊池さんを再度紹介しているところ。菊池さんは、演奏中は顔が見えないので、この写真も載せました。

(曲 目)

(第1セット)

I'm Getting Sentimental Over You (Geroge Bassman)
Someone To Light Up My Life (Antonio Carlos Jobim)
Jitterbug Waltz (Fats Waller
My Foolish Heart (Victor Young
Esprit (片岡雄三)

(第2セット)

Autumn Leaves (Joseph Kosma)
Cura de gatos (片岡雄三、日本語で「いやしの猫」と曲名を言っていました。)
No More Blues (Antonio Carlos Jobim)
The Good Life (Sacha Distel)
Spain (Chick Corea)

Have Yourself a merry little Christmas (Hugh Martin)【アンコール曲】

(感 想)

最初の曲「I'm Getting Sentimental Over You」のイントロで、ピアノトリオのサウンドが出た瞬間、よいライブになると確信しましたが、そのまま最後まで、スイングした素晴らしい演奏が続きました。片岡さんのプレイは、よく歌って、多彩な表現で楽しませてくれましたが、さらに司会ぶりが愉快で、クリスマスに相応しい演奏会になりました。

トミー・ドーシー楽団のテーマ曲「I'm Getting Sentimental Over You」はミディアムテンポで演奏していましたが、最後の方でトミー・ドーシー(tb)のスタイルでスローで片岡さんがスイートに吹いてくれて印象深く、自作の「Esprit」では、バップ的なハードな吹奏を行い、エキサイティングでした。A・C・ジョビン作の2曲のボサノバも、トロンボーンに相応しく編曲されていてかなり楽しめました。

ピアノの菊池太光さんは、ライブで初めて聴きましたが、音色がよくて、バラードの「My Foolish Heart」や「Cura de gatos」では本当にきれいな響きでした。もちろん早い曲もよく、歌の伴奏をやったCDなどは持っていたのですが、注目すべきピアニストだと思いました。

楠井五月(b)さんは、昨年、南青山の「Body & Soul」で聴いて感心してリーダー作を購入し、感想を拙ブログに掲載しました(その記事へのリンク)が、「Cura de gatos」では弓弾きを披露するなど活躍していました。広瀬潤次(ds)さんは、椎名豊(p)グループで聴いたことがありますが、今回も柔軟で行き届いた演奏ぶりでした。