安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

シーネ・エイ FACE THE MUSIC

2018-02-22 20:02:33 | ヴォーカル(S~Z他)

先日、今年(2018年)初めて安曇野市豊科のコメダ珈琲に入ったのですが、そこで、珈琲のおかわりを半額で楽しめるキャンペーンをやっていたので、さっそく薄めのアメリカンを注文し、二杯目もいただきました。こういう思いがけないサービスは嬉しいもので、コメダのサービスのやり方は上手です。思いがけず、オリジナル曲がスタンダードに負けていないアルバムに遭遇。

SINNE EEG (シーネ・エイ)
FACE THE MUSIC (Stunt 2014年録音)

   

シーネ・エイ(1977年生まれ)は、デンマークの歌手ですが、来日もしていて日本でも知られているのではないでしょうか。彼女のアルバムは、数作持っていますが、いずれもどこかしら聴きごたえがあるものばかりです。このアルバムは、比較的新しいものですが、スタンダードに加え、彼女の書いた曲のメロディ、雰囲気がよく、全体にオーソドックスな4ビートということもあり、気に入っているアルバムです。

メンバーは、シーネ・エイ(vo)、ヤコブ・クリストファーセン(p)、Moten Ramsbol(b)、モーテン・ルンド(ds)。2曲に管楽器が入るなど、編曲にあわせてメンバーを増強しています。クリストファーセンは、長い活動歴を誇り、ヴォーカルの名伴奏者として知られていますが、自身のアルバムもStuntから出しており、日本でも評価されているピアニストです。

曲は、スタンダードとシーネ・エイのオリジナルです。スタンダードが「What A Little Moonlight Can Do」(月光のいたづら)、「Somewhere」、「Let's Face The Music And Dance」、「What Are You Doing The Rest Of Your Life」、「Caravan」、シーネ・エイのオリジナルが「Crowded Heart」、「The Best I Ever Had」、「High Up In The Sky」、「New Horizon」、「I Draw A Circle」、他にベーシストのトーマス・フォネスベック作「Taking It Snow」、ジョー・サンプル作「One Day I'll Fly Away」の全12曲。彼女の自作では、「Crowded Heart」や「The Best I Ever Had」が注目されます。

スタンダードに加え、シーネ・エイのオリジナルも味わえ、彼女の多様性を知ることのできるアルバム。最初の「What A Little Moonlight Can Do」は、ラテン系のリズムに乗ってスキャットを繰り出すなど快調、続くオリジナルの「Crowded Heart」ではクールな出だしにまず引き込まれます。「Let's Face The Music and Dance」では、軽快なシーネの歌と、ヤコブ・クリストファーセン(p)のソロが印象的、ミシェル・ルグランの「What Are You Doing The Rest Of Your Life」は思い切ったスローテンポで歌われ、ドラマティカルな感じを受けます。ベースとのデュエットで歌われる「Caravan」もじっくりと聴きたいトラック。

【コメダ珈琲安曇野店】

看板。隣は洋菓子のシャトレーゼです。

ヒレカツのミニプレート。

アメリカンコーヒー

「くつろぎをもう一杯」のキャンペーンのお知らせ。見たら注文したくなりました。


原田マハ著「モネのあしあと」(幻冬舎新書)

2018-02-21 20:40:36 | 読書

原田マハさんの小説は何冊も読んでいますが、書店に「モネのあしあと」(幻冬舎新書)という本があったので購入しました。著者には「ジヴェルニーの食卓」というモネを扱った小説があって、それを面白く読んでいたので、その関連もあり買ったものです。副題に「私の印象派鑑賞術」とあり、2015~16年に行われたマルモッタン・モネ美術館所蔵モネ展のイベントとして著者が講演した内容をとりまとめたものです。

   

大きな目次は次のとおりです。

プロローグ 私とモネとの出会い
第一章 モネが生きた新しい時代
第二章 印象派絵画の新しさ
第三章 モネのあしあとを追って
第四章 小説『ジヴェルニーの食卓』について
第五章 マハによるモネのあしあと案内
エピローグ いま、改めてモネと出会う意味

わかりやすくエッセンスをまとめたモネと印象派に関する本です。スラスラと読めますが、絵のみどころを記した箇所などワクワクしました。モネのあしあとを追って旅にでようというお誘いの内容でもあり、実際読み終わると、国内の美術館でもいいので、モネの絵を観に出かけたくなりました。

第一章では、モネ(1840年生まれ)の生い立ちと19世紀後半のパリに都市文化が花開いた様子が記され、印象派の画家が活躍できた背景を描いています。第二章は「印象派絵画の新しさ」として、浮世絵からの影響で大きな風景の一部を切り取るカットアウトの手法が導入されたこと、絵筆の筆跡を残すようにしたこと、チューブ絵具が登場し戸外で絵を描けるようになったこと、日々の暮らしの中にある新しい風景を対象としたことなどについて触れています。

   

(この本で紹介されている絵の一つです。)

第三章では、モネの転居の足跡とともに、モネの連作作品の「ポプラ並木」や「ルーアン大聖堂」、「睡蓮」といった作品に触れています。第四章は、原田さんの小説「ジヴェルニーの食卓」を書いたきっかけや設定などについて記しています。

   

(この本で紹介されている絵の一つです。)

第五章は、文字通り、モネのあしあとを辿るとともに作品が収蔵されている美術館を紹介しています。それがフランス編と国内編になっていて、国内の美術館にたくさんのモネの絵があることが書いてあり、驚きました。その理由は、モネの生きていた時代に、松方幸次郎、大原孫三郎、薩摩治郎八といった先見の明をもった人が購入したからで、現在ではほしくても手に入らないだろうと記されています。

巻末にモネの絵を収蔵している施設の一覧も載っていて、「国立西洋美術館」や「大原美術館」など国内の美術館に機会を見つけて行こうと考えています。パリの「オランジュリー美術館」、「オルセー美術館」「マルモッタン・モネ美術館」は必須ですが、オランジェリーだけは入ったことがあり睡蓮を見ることができました。いつかまたパリへ行ってみたい気持ちになりました。


安曇野「書翰集」の自家製ケーキと珈琲 (安曇野市穂高有明)

2018-02-20 20:05:22 | グルメ

先週末の午後のひと時、穂高有明方面にドライブに出かけ、喫茶店の「書翰集」に寄りました。低めの音量でジャズが流れているので、ジャズ喫茶といってもいいお店です。以前、ジャズ喫茶の項目で書きましたが、今回ケーキを注文したところ美味しく、しかも自家製というのですごく感心し、グルメのカテゴリーに入れました。

外観

一階

CDをかけています。入店時は、ロックのグレイトフルデットが低い音量でかかっていました。

二階へ

二人のお客様がいましたが、二人とも静かに読書していて、静かなのがありがたい。

僕の座った席。彫刻も置いてあります。

壁に設置されたスピーカー。二階に平行になるように置かれています。

濃いめのブレンドに、林檎のコンポート。

素材の良さがわかるようなケーキだったので、どこで作っているのか知りたくなり、「自家製ですか、それともどこかの」と訊きましたが、ケーキは全て自家製だということです。

珈琲。こちらも美味しい。

【書翰集】

住所:安曇野市穂高有明2186-140
電話:0263-81-5165


仲道郁代ピアノリサイタル (2月16日 長野県上田市サントミューゼ)

2018-02-19 20:02:05 | 演奏会・ライブ

昨年デビュー30周年を迎えた人気ピアニストの仲道郁代さんが、シューマンの作品ばかりを取り上げるリサイタルを開催するというので聴きたくなり、仕事のあと上田市まで出かけました。小ホールでの演奏会なので、近くで演奏姿もみることができそうです。

(曲 目)

(第一部)
シューマン/アベッグ変奏曲 Op.1
シューマン / 交響的練習曲 Op.13

(第二部)
シューマン / 幻想曲 ハ長調 Op.17
シューマン / 「3つのロマンス」から嬰ヘ長調 Op.28-2

(アンコール)
ショパン / バラード第1番 ト短調 Op.23
エルガ― / 愛の挨拶
シューマン / トロイメライ

(感 想)

予想以上の素晴らしいリサイタルでした。仲道さんは、MCも上手で曲の背景や引用されている楽曲なども紹介してくれましたが、シューマンのピアノ曲は、様式が型にはまらず自由で、聴きどころがどこかわからなくなることがあるので、このMCはありがたかった。

最も印象に残ったのは、大曲の「幻想曲 ハ長調」でした。第1楽章におけるベートーベンの歌曲「遥かなる恋人へ」からの引用ではメロディをくっきりと浮き彫りにし、第2章はかなりダイナミックで、反対に第3楽章では細やかに歌っていて、振幅を大きくとって表現していました。

アンコールでは、開催中のピュンチャンオリンピックでフィギャア男子の羽生結弦選手が使用した曲だと言って、ショパンのバラード第1番を弾いてくれましたが、過度に嫋嫋とならずに颯爽とした演奏で印象に残りました。エルガ―の「愛の挨拶」は、仲道さんのクロージングテーマのような曲だそうですが、穏やかなよい曲です。

オールシューマンプログラムを上田市で聴けたのは特筆に値しますので、このホールを運営する方に感謝しながら、帰りの新幹線(上田駅→長野駅)に乗り込みました。

【仲道郁代オフィシャルオームページ】

ikuyo-namamichi.com


ビリー・テイラー ONE FOR FUN

2018-02-18 10:00:52 | ピアノ・トリオ

先日、前橋のジャズ喫茶「木馬」へ寄ったのですが、マスターから伊香保温泉のお土産だといって「桜餅」をいただきました。本白根山の噴火は、スキー場や草津温泉に影響を及ぼしていますが、そこからかなり離れている伊香保温泉でも客足が落ちているとのことです。早く落ち着いて元に戻ればよいのですが。いただいた桜餅を食べながら聴いたアルバム。

BILLY TAYLOR (ビリー・テイラー)
ONE FOR FUN (ATLANTIC 1959年録音)

   

木馬では、ビリー・テイラー(p, 1921~2010年 )のアルバム「Uptown」(Riverside)がかかっていました。ピアノのサウンドに芯があり、テイラーについては淡白なイメージを持っていましたが、意外にブルージーなところもあり見直してしまいました。自宅でもテイラーのものを聴こうと、「One for Fun」を取り出しました。珍しくオリジナルレコードを持っています。

メンバーは、 ビリー・テイラー(p)、アール・メイ(b)、ケニー・デニス(ds)。テイラーも広く名前が知られているわけでもありませんし、他の二人も地味といっていいかもしれません。ビリー・テイラーは、バド・パウエルに範をとったスタイルですが、ブロックコードを使ったり、レッド・ガーランドに似たところがあり、リラックスした演奏を聴くことができます。

曲目はスタンダードとテイラーの自作です。スタンダードの「Summertime」、「Blue Moon」、「Makin' Whoopee」、「Poinciana」、「At Long Last Love」、「When Lights are Low」、テイラーのオリジナルが「One for Fun」、「That's for Sure」、「A Little Southside Soul」で、全9曲。テイラーのオリジナルも小唄みたいに聴こえて悪くありません。

ごく久しぶりに聴きましたが、ピアノやドラムスのサウンドが良くて驚きました。ビリー・テイラー(p)は難しいことはやらず、きれいなタッチで右手のシングルライン中心のソロをとっています。アール・メイ(b)も上がり下がりのあるバッキングをつけ、ケニー・デニス(ds)もずっしりとした心地よいリズムを奏でています。LPでいうとB面に当たる「Makin' Whoopee」、「Poinciana」、「At Long Last Love」あたりが、トリオが一体となり快調な演奏になっています。テイラーの自作では、タイトル曲の「One For Fun」がよかった。

【桜餅】

いただいたのは、伊香保温泉の老舗和菓子屋の清芳亭のものです。上品な甘さで美味しくいただきました。

包装紙のデザインも和菓子店らしいものです。

五個もいただきました。

香りも漂い、極上の和菓子でした。

【清芳亭】

住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保544-38
電話:0279-20-3939
ホームページ:Seihoutei.com

最後にジャズ喫茶「木馬」のスピーカーです。