安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

山中千尋(p)トリオライブ (2月11日 山梨県甲府市桜座)

2018-02-15 20:05:35 | 演奏会・ライブ

山中千尋(1974年生)のCDは2枚持っていましたが、関心を持つには至りませんでした。しかし、今年(2018年)の元旦に群馬交響楽団の高崎元旦コンサートにゲストで出演し、ラプソディ・イン・ブルーや八木節のソリストを務め、特に後者がよかったので、ピアノトリオでも聴いてみようと、甲府桜座で行われた公演に出かけました。

   

(メンバー)

山中千尋(p)
山本裕之(b)
桜井裕範(ds)

(曲 目)

(第1セット)
1.Living Without Friday (山中千尋)
2.Take Five (ポール・デズモンド) 
3.エリーゼのために (ベートーヴェン)
4.Summertime (ガーシュイン)

(第2セット)
1.The Entertainer (ジョップリン)
2.Panonica (セロニアス・モンク)
3.愛の夢 (フランツ・リスト)
4.Heartbreak Hill (山中千尋)
5.八木節 (民謡)

(アンコール)
So Long (山中千尋)

(感 想)

素材は、オリジナル、クラシック、ジャズスタンダードですが、全て山中さんの個性が強烈に出た演奏でした。どの曲にも複雑なアレンジを施してありテンポは常に変化し、例えば、「Take Five」はメロディが途中で変更され、「エリーゼのために」はセロニアス・モンク的、「エンターテイナー」はどんな曲かよくわりませんでした。

曲目は、たんなる素材に過ぎず、楽曲を離れて創造をしているといっていい中身で、現代音楽的です。こういった山中千尋の個性やセロニアス・モンクの音楽に親しめるかどうかがファンになるかどうかの境目でしょう。素晴らしいのは、彼女のピアノのテクニックで、速いフレーズを弾いてもきれいで崩れないのはさすがです。

僕が気に入ったのは、アンコールで演奏した、「So Long」で、彼女が子供のころに作った曲だそうですが、どこか懐かしい曲想に、ブルージーなところもある優しげなソロに感情移入しました。このクラスになると、どんなスタイルでもこなせてしまうのですが、年齢のいったハードバップ、ヴォーカルファンの僕にとっては、アンコール曲は別にして難しく、疲れる内容でした。

ベースとドラムスは若手で、山中千尋の音楽を演奏するのに頑張っていました。ベースの山本さんがスコット・ラファロ張りのソロをとっていて、印象に残りました。僕は、山中千尋の音楽のファンにはなれそうにありませんが、丁寧な曲の説明など彼女のステージには好感がもてました。

ベースとドラムスの二人。演奏や雰囲気からして、ストイックな感じがしました。