ハンガリー出身で、フランスを拠点として活躍したピアニストのジョルジュ・シフラ著「ジョルジュ・シフラ回想録 大砲と花」を読みました。
表紙。帯に概要が記してあります。
(帯裏に掲載された目次)
(著者について)
ジョルジュ・シフラ Georges Cziffra(1921.11.5~1994.1.17)
ハンガリーのピアニスト。ブダペスト郊外の貧民地区に生まれ、フランツ・リスト音楽院で学んだのち、第二次世界大戦に従軍。復員後はバーやナイトクラブのピアノ奏者として生計を立てたが、亡命に失敗したことで投獄される。その後、1956年のハンガリー動乱のさなかにオーストリアへ亡命すると、フランスを拠点に各地で演奏会を開きながら、世界的な名声を獲得していった。1968年にフランスの市民権を得て以降は、慈善活動や若手音楽家の支援にも力を注いだ。
(感想など)
ジャズ喫茶「M-gate」の試聴会で、Iさんが持ってきたレコードで、ジョルジュ・シフラ(p)の演奏するリストのハンガリー狂詩曲を聴く機会があり、その素晴らしさに圧倒されて、シフラのファンになりました。新たにCDを購入し、回想録を読んでみました。
自叙伝ですが、小説や映画になりそうな波乱に富んだ人生が描かれています。才能に恵まれ、リスト音楽院に入学したものの、兵役で3年間、第二次大戦終結後のハンガリーで亡命に失敗し投獄され、また3年間、ピアノを弾けない期間がありながら、復活したのには、驚愕を通り越して感動しました。
リストやショパンなどの作曲家に関する叙述も面白く、民謡などを元にした即興やジャズも演奏したことなど、演奏面にも触れています。記述は、意外に客観的で、翻訳の良さもあり、一気に読了しました。
本書掲載の写真から。
(訳者について)
八隅裕樹(やずみ ゆうき)
1989年、兵庫県に生まれる。神戸大学経営学部卒業。地域金融機関に勤務する傍ら、文化振興に取り組む。米国コロンビア大学客員研究員(2017年から2018年)、ピアノ演奏音源アーカイブ〈VIRTUOSO PIANISTS BEFORE 1950〉の共同管理人(2020年から現在)、特定非営利活動法人レミニセンス代表(2021年から現在)などを務める。これまでに、西洋文化論を福野輝郎氏と井上裕氏に、ピアノ音楽を両澤隆宏氏に、それぞれ師事。訳書に『フレデリック・ショパン──その情熱と悲哀』(フランツ・リスト 著、彩流社、2021年)がある。
【ジョルジュ・シフラのCDから】
リスト名演集。収録曲は、ハンガリー狂詩曲第2番、ラ・カンパネラ、愛の夢第3番、リゴレット・パラフレーズなど。
(参考)ラ・カンパネラが聴けます。
リスト 「ラ・カンパネラ」 ジョルジュ・シフラ Franz Liszt 《la Campanella》 - YouTube
リスト:ピアノ協奏曲第1番・第2番ほか。伴奏は、息子のシフラ Jr.指揮パリ管弦楽団。