先日、長野駅から松本駅への電車内で読もうと、新潮文庫の「親不孝長屋(人情時代小説傑作選)」を購入したのですが、その中の、宮部みゆき作「神無月」が人情の機微を描き、結末が余韻も残し、素晴らしくよかった。ミステリーのベストセラー作家ですが、僕ははじめて彼女の作品に触れました。続けて彼女の時代小説ものを購入しましたが、久しぶりに読みたい小説家に行き当たりました。音楽の方も、女性のピアニストです。
JUTTA HIPP (ユタ・ヒップ)
AT THE HICKORY HOUSE VOL.1 (Blue Note 1956年録音)
女性ピアニストは、最近では多く出ていますが、かつては、秋吉敏子、マリアン・マクパートランド、ユタ・ヒップ、パット・モラン、メリー・ルー・ウィリアムスなどと限られていました。出身がアメリカ以外の人が目に付きますが、本作の主人公、ユタ・ヒップもドイツ出身です。
ジャズ評論家のレナード・フェザーに見出されて渡米後、ヒッコリーハウスへの出演中に録音されたのが「At The Hickory House」で第1集と第2集があります。今日聴いたのは、第1集の方です。同年(1956年)7月にズート・シムズと共演したアルバムを作ったあと、音楽シーンからは姿を消してしまいました。
メンバーは、ユタ・ヒップ(p)、ピーター・インド(b)、エド・シグペン(ds)というレ二ー・トリスターノ影響下の3人です。彼女はバド・パウエルを基調として、リラックスしたスイング感をよく出しています。トリスターノの影響があると言われますが、ライブということと、渡米後に変化をしたのでしょうか。
「Take Me In Your Arms」、「Dear Old Stockholm」、「Billi's Bounce」、「Lady Bird」、「These Foolish Things」、「The Moon was Yellow」などリズム陣も寄与して心地よく聴けます。特に、「Take Me in Your Arms」、「Dear Old Stockholm」がよく、後者における魅力的なソロは、長いラインの続きで、トリスターノをちょっと想起させます。
【宮部みゆきの本】
ライヴということもあってか、馴染みの曲が多く収録された嬉しいアルバムですね。ライヴ録音らしい雰囲気も良く伝わってきます。彼女は極度のあがり症だったらしいですが、そのあたりは曲紹介のアナウンスに少し聞き取れるような気がします。
ズートとの共演盤「コートにすみれを」で聴かれる彼女のソロが好きですが、このライヴでは少々活発な面を楽しめるような気がします。
あっさりと引退してしまったのは惜しいですね。
ズートとの共演盤もよいですね。実はどちらをとりあげようか迷いました。このアルバムには、フェザーとヒップのアナウンスも入っていて、当時のクラブの雰囲気が味わえるのもよいですね。
おっしゃるように、A・ライオンもドイツですね。そのへんもあったのかもしれません。ブルーノートは前向きなレーベルだとつくづく思う1作でもあります。