池波正太郎さん(1923~90年)の書いたものは昔から好きで、「剣客商売」や「鬼平犯科帳」といった小説、「散歩のとき何か食べたくなって」といったエッセイなどかなり読みましたが、読了後は古書店へ売却しているので、その点は後悔しています。
今になって再読したいものや新たに読みたいものが出てきて、新たに購入してぼつぼつと読んでいます。この「映画を見ると得をする」は、今回、初めて読みました。
表紙。カバー装画は、池波正太郎さん自身が行っています。フィルム状の写真が映画のことを書いているんだと主張していて、記憶に残る表紙(カバー)です。
裏面にある本書の紹介文。
(目 次)
第一章 何を観ようかと迷ったときは
第二章 見方によってもっと面白くなる
第三章 なぜ映画を観るのかといえば
(感 想)
著者の池波さんは、まさにシネマディクト(映画狂)で、縦横無尽かつ率直に映画について語っています。
『一週間に一本は映画を観なくてはいけない。映画くらい観て得するものは他にない』とし、『映画というものは、いろいろな人生を教えてくれるし、さまざまな芸術全般に対する導入の役割というのかな、それが大きい」と記しています。まさにそのとおりですが、一週間に一本は忙しい中ですごい。
圧巻だったのは、映画文法について語った部分(107~116ページ)です。同じ場面を描くにしても、小説、芝居、映画では描き方に違い(特徴)があって、それを踏まえてそれぞれ作る必要があることを実例を交えて記しています。
著者は芝居の脚本を書き、上演にも関与していること、さらに自分の小説がいくつも映画化されているなど、文学、演劇や映画に関する豊富な経験が背後にあっての上記の文章であり、説得力があります。
映画のタイトルがたくさん出てきますが、ビットリオ・デ・シーカ監督の「終着駅」(149~151ページ)を観たくなりました。
(池波正太郎が愛した松本の喫茶店 まるも)
松本を代表する喫茶店です。ぼけていますが、先日の松本の街散策の際に撮りました。
【珈琲 まるも】
住所:長野県松本市中央3丁目3−10
電話:0263-32-0115
ホームページ:まるも (食べログのページです。)