安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ヨアヒム・キューン LIVE IN PARIS

2017-06-28 19:54:02 | ピアノ・トリオ

電車の中で読もうと、とりあえず買った文庫本が面白いと得した気分になるのは僕ばかりではないと思います。宮藤官九郎著「え、なんでまた?」(文春文庫)はそういう一冊でした。元は週刊文春の連載コラムで、その一編が1000文字で完結していく中に、笑える話や刺激的なセリフがテンポよく詰まっていて、さすがに人気脚本家が書いた文章です。音楽も刺激的なものを聴いてみました。

JOACHIM KUHN (ヨアヒム・キューン)
LIVE IN PARIS (CMP 1989年録音)

   

僕は、ハードバップやヴォーカルを主に聴いていますが、フリー過ぎない硬派なジャズも嫌いではありません。ピアノトリオの三人が火花を散らす、この「Live」盤は、エネルギーの放出がすごくて、一気にジャズを聴いた気分になります。キューンのピアノはもちろんですが、特にユメールのドラムス、中でもシンバルの音は奔放で聴き耳をたてずにはいられません。

メンバーは、ヨアヒム・キューン(p)、ジャン=フランソワ・ジェニー・クラーク(b)、ダニエル・ユメール(ds)。完成されたユニットといってもいいくらい、緊密なコラボレーションが行われています。ライブアルバムで、聴衆の興奮ぶりが伝わってきますが、こういったピアノトリオが支持されるのもフランスのパリだからでしょうか。

曲は、ヨアヒム・キューンの自作が「Changement」、「Clever Feelings」、「Para」、ダニエル・ユメールとキューンの共作「Guylene」、ガトー・バルビエリ作「Last Tango in Paris」(ラスト・タンゴ・イン・パリ)、スタンダードの「Yesterdays」の6曲。ご当地ものといってもよい「Last Tango in Paris」が、サービスの意味もあってか演奏されています。

メンバーの3人ともテンションが高いですが、特に、ダニエル・ユメール(ds)のシンバルには、音のきらめき・豊かさがあります。ジェニー・クラーク(b)も、躍動感たっぷりで、キューン(p)が、ドラムスとベースから時々煽られているような錯覚を覚えます。オリジナル曲の「Clever Feelings」や「Guylene」では、抒情的であったり、テンポを変化させるなど、変幻自在な即興演奏を聴くことができますし、「Last Tango in Paris」や「Yesterdays」では、おなじみのメロディが浮かんだり消えたりと、熱いプレイを楽しめます。 

【宮藤官九郎著「え、なんでまた?(文春文庫)】

   

著者は、現在脚本家、構成作家、俳優、映画監督として活躍。また、パンクコントバンド「グループ魂」のギタリストとしても活動。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の脚本を担当するなど広く知られています。