ジャズ批評誌の2017年5月号(隔月誌です)は、「ジャズ100年の名曲&名盤」と題し、ジャズライターやミュージシャン、ジャズ喫茶店主ら60人にアンケートした結果が載っていました。各人10枚のアルバムを挙げてあり、それぞれ自由に選んでいて、統計をとっても「一番」は決めかねる結果で、頗る興味深かった内容です。「Ichi-Ban」という曲が入っているアルバムを聴きます。
LOUIS HAYES (ルイス・ヘイズ)
ICHI-BAN (TIMELESS 1976年録音)
ルイス・ヘイズ(ds)とジュニア・クック(ts)の双頭バンドのアルバムです。この二人は、ホレス・シルヴァーのグループで1959年から60年まで一緒に演奏をしていた仲ですが、1975年には、ルイス・ヘイス=ジュニア・クック・クインテットを結成して本アルバムを残しています。ホレス・シルヴァー繋がりの豪華なメンバーが特徴です。
メンバーは、ルイス・ヘイズ(ds)、ジュニア・クック(ts)、ウディ・ショウ(tp)、ロニー・マシューズ(p)、スタッフォード・ジェイムス(ds)、ギレルミ・フランコ(per)。ウディ・ショウもホレス・シルヴァーのところにいたので、卒業生が集まっています。
曲は、ロニー・マシューズ作「Ichi-Ban」、セロニアス・モンク作「Pannonica」、テックス・アレン作「Brothers and Sisters」、ウディ・ショウ作「The Moontrane」、ウォルター・ブッカー作「Book's Bossa」の5曲。「Ichi-Ban」は、ロニー・マシューズがアート・ブレイキーの日本ツァーに参加した際に覚えた日本語の「一番」で、言葉の響きが気に入って曲名としたものだそうです。
モーダルな曲想の曲が多く、ウディ・ショウ(tp)の鋭いソロ・フレーズも入り、全体に熱くタイトなセッション。「Ichi-Ban」は、日本的な響きがするのが面白く、ギレルミ・フランコ(per)が参加した「Brothers and Sisters」は、ラテンナンバーといってよく賑やかで楽しい。「The Moontrane」はショウの代表作ですが、ショウとマシューズ(p)が爽快なソロを繰り広げています。「Book's Bossa」も、各人のソロが聴きもの。リーダーのヘイズ(ds)は、縁の下の力持ちといった役割で、ジュニア・クック(ts)もバラード「Pannonica」でフューチャーされています。
【ジャズ批評2017年5月号】
以下、僕と嗜好がある程度似ていると思われる3人が挙げた1~5番までのアルバム。曲名は省略します。
(高田敬三さん) マット・デニス、ナット・キング・コール、メル・トーメなど
(武田清一さん) リー・ワイリー、べヴァリー・ケニー、ビル・エヴァンスなど
(宮川 純さん) オルガン、ピアノ奏者です。大野雄二ルパンティック・シックスで聴きましたが、グルーヴィーで、かっこいいオルガンプレイをしていました。注目すべきミュージシャンです。ハンコック、ケリー、ブレイキー、ラリー・ヤングなど