映画については、コメディやドラマ、ミュージカルなどが好みで、アクションやスパイ物はパスしていました。しかし、このごろは派手なアクションものにも慣れてきて、そういうものも受け付けるようになり、1950年代のロサンゼルス市警が舞台の刑事もの「L.A.コンフィデンシャル」を借りてきて観ました。時間の経つのを忘れさせ、ドキドキハラハラもある面白い映画でした。今夜は、ロサンゼルス録音の明るいジャケットのアルバムにしてみます。
HOWARD McGHEE (ハワード・マギー)
MAGGIE'S BACK IN TOWN (CONTEMPORARY 1961年録音)
ハワード・マギーは、チャーリー・パーカーとの共演歴もあるバップ・トランペッターですが、麻薬の悪癖により、キャリアに中断期間があるので、ベツレヘムの「The Return of Howard McGhee」(1955年録音)、この「Maggie's Back in Town」と、タイトルにリターン、バックという文字が目につきます。空白期間後のこの2作がいい出来なのは、やはり本来の実力がものをいっているのでしょう。
トランペットのワン・ホーン・アルバムで、ハワード・マギー(tp)、フィニアス・ニューボーン・ジュニア(p)、ルロイ・ヴィネガー(b)、シェリー・マン(ds)というメンバー。このリズム陣は素晴らしい人選といってよく、ことにニューボーンのプレイが好調で、意外にもファンキーさも感じられます。
曲目は、マギー作「Demon Chase」、テディ・エドワーズ作「Sunset Eyes」と「Maggie's Back in Town」、クリフォード・ブラウンの「Brownie Speaks」に、スタンダードの3曲「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、「Softly, As In A Morning Sunrise」(朝日のごとくさわやかに)、「Summertime」です。T・エドワーズ(ts)の2曲が入っていますが、エドワーズの「Together Again」にマギーが参加するなど、親しかったせいでもありましょう。
マギーのプレイには、ゆったりとしたスイング感もあり、中音域を主に用いるなど、バップというイメージだけではとらえられません。「Demon Chase」で、マギーは、ハリー・エディソンを想いうかべるようなフレーズも交えながらご機嫌なプレイをしています。「Sunset Eyes」や「Maggie's Back in Town」では、ブルージーさを醸し出しています。フィニアス・ニューボーン(p)は、「Demon Chase」、「Maggie's Back In Town」をはじめ、随所でリズミカルでアイデアに富んだソロやバッキングを行っています。
【L.A.コンフィデンシャル】
1997年公開。監督はカーティス・ハンソン、出演は、ケヴィン・スペイシー、キム・ベイジンガーらで、この演技によって、ベイジンガーはアカデミー助演女優賞を獲得。
時代背景は、1950年代なので、バックの音楽には、ジャズやヴォーカルが用いられていて、「But Not for Me」や「OH! Look Me at Now」などのメロディが流れます。さらに、映画にちょこっと出てきたバンドの編成はジェリー・マリガンのカルテット風で、ジェリー・マリガン(bs)とチェット・ベイカー(tp)があたかも演奏しているようなショットになっていました。