jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

10年後の立証 ・・・・・・・ STAN GETZ & BILL EVANS

2019-04-20 |  Artistry of Bill Evans

その昔、ゲッツがpを弾いたらエヴァンスに、エヴァンスがtsを吹いたらゲッツに、なんて噂が実しやかに囁かれた事があった。「クール」と「リリシズム」の微妙な混ぜ具合がベースになってそれほど的外れな話ではなったけれど、もっと重要な共通項を見逃すわけにはいかない。それは両者とも、そのイメージとは真逆の「ハード・ヒッター」、「武闘派」という本質だと思う。そのギャップの幅と奥行きが聴く者を魅了し、死の直前まで第一線で活躍できた根源ではないでしょうか。

1964年録音の共演盤。二人とプロデューサー、C・テイラー、三人共に「リリースに値しない」と判断し、1973年まで「お蔵入り」したと言う音源。多分、エヴァンスが一番渋ったのだろう。

折角、コストを掛け録音したのに・・・・・・とVERVEは腹いせかどうかは兎も角、だんまりで、しかも、他の未発表作品群と画一的なカヴァ・デザインでリリース、おまけに尻尾に一休み中の悪ふざけトラックをこっそり差し込んでいる。もう嫌味?ですね(笑)。

  

 

リアルタイムで聴いた時は「なるほど」と思ったが、今日の耳で聴くと、それほど悪くない。お蔵入りの元凶は誰の耳にも凡そ見当が付きます。でも、本来、ヴァーサタイルなエルビンの名誉のために視点を変えてみると、テイラーからセッションに指名され、指示通りにプレイしたはずなのに、期待通りの出来に仕上がらなっただけで、明らかなミス・キャストですね。「つわもの」が三人揃うと調整がなかなか難しい好事例では?

このアルバムはbをR・カーター、R・ディビスと変えて(二日間)、それぞれA面、B面に律儀に振り分けていますが、実はこれがあまり面白くない。TOPの”Night And Day”なんかちょっとラフでベタ過ぎますね。

例えば、A面を”My Heart ・・・”、”Night And Day”、”Grandfather's ・・・、B面を”But Beautiful”、”Melinda”、”Funkallero”の曲順したらどうなんだろう? 結果的に成功に至らなかったテイラーの制作意図が朧気ながら見えてくる。

 

10年後、ベルギーでのライブもの。ゲッツ +エヴァンスの当時のレギュラー・トリオ の組合わせだけに、上作に比べ遥かにしっくりして、期待通りの内容となっている。愛聴盤の一枚。

後にCD化された際(未聴)、オランダでのライブ音源4曲にサンドウイッチされ、曲順も異なり”You And The Night ・・・・・・”の冒頭には、エヴァンスの誕生日を祝うゲッツのパフォーマンスが入っているようですが、当アルバムはその部分はカット?され、 いきなりゲッツの無伴奏ソロからスタートしている。これがHappy Birthdayの即興演奏とは聴こえないのですが・・・・・・・・

A面、”You And The Night And The Music”、”But Beautiful"、”Emily”、B面、”Lover Man”、”Funkallero”、”The Peacocks” 

VERVE盤と”But Beautiful"、”Funkallero”の2曲がだぶっている。

 

 

”Funkallero”では特別、新しい試みをしているワケでないが、欲張らず2、3のキー・フレーズを中心に、リフと絶妙なタンギングを織り交ぜながらリズミカルに、時にはラフにブローするゲッツのテナー、ライヴ演奏の極意を憎らしいほど熟知している。

本作のハイライトはラストの”The Peacocks”、ゲッツとエヴァンスの「常軌を逸した」デュオである。あまりにも美しすぎるのだ。恐ろしいまでに深々とした叙情性に身震いするほどです。大袈裟ではなく、ジャズという音楽表現が到達した最高次元の一つと言っていいだろう。曲の終わりにGetzが“Happy Birthday Bill!”と言っている。

 

この1974年8月16日のステージの良さは筆舌に尽くし難く、オーディエンスの歓声が全てを証明している。

なお、「音」はやや低域がブーミーですが、逆に厚みが加わり「上等」です。



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