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引きこもりに“救世主”?

2005-08-03 23:58:55 | Weblog
 数日前にNTVがやっていた「ひきこもり」に関するドキュメンタリー番組は、その構成もさることながら、取り上げた活動の内容の劣悪さに驚かされた。
 活動の核になるのは、かつて自らもひどいいじめに遭った経験を持つという中年の女性だ。学習塾を夫と経営する内、見るに見かねて始めた活動だと言うが、彼女を見ているとまるで新興宗教の教祖だ。
 彼女が強調するのは、親の責任。「そういう子供にしてしまった原因は親にあるのだから、親が変わらなけりゃ、子供が治るはずがない」と言うのは、基本的に間違いはない。だが、その手段が全く私には理解ができない。
 何年も自室に引きこもり、家庭内暴力を繰り返す若者の家に彼女が乗り込み、親に子供を室外に強引に引きずりださせようとする。たとえ暴力を振るってでも子供を外に連れ出させ、最終的には自分が運営する寮に連れて行く。
 寮には同じような体験を持った「先輩達」が共同生活をしており、先輩の1人が「指導係」としてつく。入所直後はほとんど口を利かなかった若者が、時間の経過と共に口を開くようになり、活動に参加する様をカメラは追う。
 これだけを見ていれば、「引きこもりの子供を持つ親の救いの神」に思えてしまうかもしれない。だが、このような力ずくのやり方が多くの若者や子ども達を救えるはずがない。それどころか下手をしたら、いやほぼ確実に近い将来、悲劇が起きるであろう。随分前に子供を死に追いやったとして「戸塚ヨットスクール」が話題になったが、この女性は見る者にどこか「戸塚校長」を想起させた。