都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

朝陽館

2022-07-22 | 文京区  
朝陽館
所在地:文京区 本郷1-28
構造・階数:木・2
解体年:2016〜17(平成28〜29)
備考 :1904(明治37)創業、2016(平成28)廃業
Photo 2014.7.15

 明治後期創業の本郷の老舗旅館。創業時当初は下宿屋と兼業だったそうで、戦後、旅館専業になったという。
 関東大震災でも戦災でも焼失を免れたそうで、古い部分は昔のままだったという。旧弓町界隈は関東大震災でも部分的に被災したし、戦災でも被災したところが多いが、朝陽館は運が良かったのだろう。増改築やリフォームはされているが、創業期の様子も一部留めていたという。

 東京大学にも近いエリアなので、昔から本郷界隈には下宿屋が多く、それが旅館も経営したことから近辺には旅館が多かった。戦後になると修学旅行の学生がそこに泊まるようになり、菊坂下の通りなどには手配されたバスがたくさん並んだという。戦前・戦後の火災保険特殊地図には、朝陽館を含め多くの旅館が記されている。

 数寄屋造風でむくり屋根が印象的。右端の石燈籠は、跡地に建てられたマンションの外構部分に移設されている。

 通り側は一部を除いて瓦が載った塀で囲まれていた。建物壁面はモルタル塗り。これは恐らく戦後の改修時にそうしたのだろう。
 1950年代には手塚治虫が缶詰めになったりしたという話でも知られ、同氏のエッセーにも「本郷の旅館」として記されているという。またここに逗留して執筆した作家も多くいたという。缶詰めは嫌だが、こういう旅館に逗留してゆったり書き物ができたら良いなと思ったりする。

 西側の道路沿いには複数の形が異なる塀が長く連なっていた。複数の建物がつながった大きな旅館だったが、1934〜39年に測図された火災保険特殊地図では、後に「ふじや旅館」となった北隣の場所(写真左外)も朝陽館別館になっており、戦前はもっと大きかったようだ。

 建物が老朽化し修繕が難しくなってきたことなどから、朝陽館は2016(平成28)年3月に廃業。
 跡地にはザ・パークハウス本郷という14階建てマンションが2018年11月に竣工している。

朝陽館本家 - Wikipedia
本郷の老舗旅館「朝陽館」が112年の歴史に幕 手塚治虫が宿泊した部屋も現存 - 文京経済新聞
手塚治虫さんも宿泊 本郷の老舗旅館「朝陽館」廃業へ - YouTube/TOKYO MX TV
手塚治虫も愛した都内の老舗旅館が閉館 本郷の『朝陽館本家』一般公開レポート | ガジェット通信 GetNews
本郷 朝陽館本家 松の間(360°映像)
朝陽館本家 大浴場(360°映像)

Tokyo Lost Architecture  
#失われた建物 文京区  #ホテル・旅館   ブログ内タグ一覧

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 聖母美術院ビル | トップ | 溝田経理事務所 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿