あるBOX(改)

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書籍紹介「ロベルト・デュラン "石の拳" 一代記」(2)

2014年09月17日 | ボクシング
「ロベルト・デュラン "石の拳" 一代記」は
デュランがスーパースター候補レナードとの世紀の再戦で
「ノー・マス」(ノー・モア)と言って勝負を放棄したとされる不名誉な
話から始まる。
この選手を最初にイメージさせるのが「ノーマス」である・・・と。



そうじゃないだろう。そんな思いから、取材が始まる。
※まぁ、それ以前のライト級王者時代の実績だけでもボクシング史に
 残りそうな偉大さだからねぇ。
 10連続KO防衛、王座統一・・・。

大一番で勝ってはパーティー。試合が無い時は体重がハネ上がる。
この繰り返し。
レナード第2戦の前は、それが顕著だったという。
その結果、キャリアの絶頂からどん底へ落ちた。
しかし、闘うことをやめなかったデュラン。彼を追う旅が始まった。

まず、パナマのスラムで生まれた彼の少年時代。
デュランにはメキシカンの血も流れている。父の血だ。
しかし、父は息子と母から去った。
ご多聞に漏れず貧しい少年時代を送ったデュランは、いつも腹を
空かせた少年だった。
食うために幼い頃から働き、母には必ず金を渡していたという。
※この辺の下りを読むと、ボクサーとなった後年のデュランが
「食う事を我慢できなかった」事も少し理解できちゃうんだよなぁ・・・

ケンカ坊主だったが、母親を泣かせるような事はせず、
抗議先で市長にパンチを見舞ったという祖母譲りの腕っ節で当然のように
ボクサーを志すようになるロベルト少年。

攻撃的なファイトスタイルと「石の拳」と呼ばれた強打によるノックアウトで
パナマの有望株として注目を集める事になった。
※デュランの場合は
「前に出て距離を詰めないとパンチが当たらない」タイプじゃなく、
「アウトボクサーになっても十分なくらい体格に恵まれてるのに
 性格が攻撃的で、相手に強打を叩き込みたくてしょうがないから
 前進してくる」手の付けられないタイプだったから、まあ相手から
 すると性質の悪い事この上なかったでしょう。 



酒代を浮かすため馬を一撃でノックアウトしたという伝説も紹介され
女性関係も各試合のコンディションも詳細に記されている。

533ページもありますから、
試合の多くが臨場感をもって再現されてますわ。
貧困への怒り、渇望、欲望の探求・・・その生々しい感情を全て
発揮したライト級時代のデュランは最も野生的で魅力的なファイターだったですよ・・・。