Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

乱暴と待機

2017-12-08 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★乱暴と待機
原作:本谷有希子
監督:冨永昌敬監督
キャスト:浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之の4人のみ
主題歌:相対性理論と大谷能生
2010/日本

タイトルそのもが意味不明であり、そこにこの作品の可笑しさがある。まったく不条理である。こんな男と女たちが存在すること事態が可笑しくも悲しくも、ぞしてなにより不条理である。ぼくの感性では理解できないのだが、でもでも、まったく完全否定しきれないところに、この作品に妙なリアリティがある。

どのようにも物語は展開可能なデタラメ展開である。しかも、「のぞき」が題材であり、これはやっぱり不条理な男と女の物語である。しかし、どこか可笑しくもほっこりする。一人ひとりの感情がしっかり捕らえられて、不条理だけれどもうなづいてしまう不思議さ。それぞれの局面では、男と女の真実に迫っているのかもしれない。感情をうまく表現できない現代人への皮肉とも受け取れる。登場人物は4人のみ。不器用で滑稽だけど、誰にでも潜んでいる人間性。優しさと切なさと乱暴が切ないくらい混在する不条理である。浅野忠信の描く人間は想像を超えるキテレツさ。凄みと笑いが混濁して人間を逸脱している。

相当「乱暴」な描き方ではあるが、人の湧き上がる感情をじっくり「待機」させながら、物語はトリッキーに突き進む。予定調和で終わらない刺激が笑いを誘う。

主題歌は「相対性理論と大谷能生」。この不条理なそして4人だけの閉じた社会に、幸せな音楽を聞かせてくれていた。


この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 少林少女 | トップ | ガチ☆ボーイ »
最新の画像もっと見る

chinema(日本映画)」カテゴリの最新記事