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京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

新型コロナ感染症に打ち勝つT値戦法

2020年04月05日 | 環境と健康

 

       (図1)

 

まず病原性ウィルスの感染と防御のメカニズムについて解説する。

 上の図1において横軸は身体に侵入したウィルス量(個数)を表す。一方、縦軸は侵入したウィルスが身体の細胞で増殖した人の割合(%)を示している。これは発症(感染)の割合とほぼ同じである。この図は用量反応曲線(dose-response curve)と呼ばれる。

我々の身体には自然免疫系というのがあって、NK(natural killer)細胞とかマクロファージ細胞などが、身体に入ってきた病原微生物やウィルスを捕らえて殺すべく臨戦態勢をとっている。だから、たとえ小数個のコロナウィルスが体内に入ったとしても、よほど身体が弱っていない限り、この免疫システムにより駆逐されてしまう。

 

侵入ウィルスの個数がT個をこえると、呼吸組織などの細胞に入り込んだウィルスが増殖を始める。ウィルス量に応じてそのリスクは増加する。このT値を「しきい値(threshold)」と呼ぶ。増殖感染と発病を防止するには、侵入するウィルスの量(個数)をTより小さくすればよい。すなわち、図の点線より左側に制限すればよい。しかし、問題のコロナウィルス (SARS-CoV-2)のT値が平均で何個かはまだ分かっていない(追記参照)。大事な事はこのT値が個人によって違い、またそのコンディション(体調)によって変動する事である。

増殖感染のリスクを減らすもう一つの方法は、T値そのものをグラフの右にずらすことである。すなわち体力を付けて自然免疫系を増強すれば、より多くのウィルスを封じ込める事ができる。

自然免疫という外堀をこえてウィルスが増殖し始めると、最後は獲得免疫の出番になる(下図2)。この内堀でウィルスを食い止めないと重症化リスクが高まる。この段階の初期には、軽い炎症反応や身体がだるいといったシグナルが出ることがある。ここで無理せずに、安静にする事が肝要である。ここで無理すると、重症化したり下手すると重篤化するといわれている。

 

 コロナウィルス撃退のT値戦術をまとめると以下のようになる。

外的には身体に入るウィルスを<マスクー手洗いーうがい>で減らすこと、内的には栄養をつけ睡眠をとってストレスを減らし免疫力をつけること。

 

 

追記(2020/03/09)

ノロウィルスは100個に1個が細胞に感染するが、ほとんどのウィルスは1000個から1万個に1個だけしか細胞に感染できない。1個や2個のウィルスが体内に入っても感染も発病もしない(『新型コロナウィルス超入門』水谷哲也 東京化学同人 2020)

 

追記 (2020/03/30)

風邪のコロナウィルスの場合はT値は接種実験で数千個であると言われている(『たたかう免疫:NHKスペシャル』講談社 2021)。

 



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